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お節の想い出
「あ、えーと…」
ほんと、うちのオセチってどんなだったっけか。母さんが居た頃は作ってくれてたよな。なにひっとつ思い出せないって、なんだ?
「おせち、久しぶり?」
冷たいのか優しいのか分からない声のトーンで冴子が聞いてくれた。
「あら、ごめんなさいね。」
「あ、いえ、そんな。」
「さ、もう一杯。」
お義父さんはすかさずビールを勧めてくれた。こうゆうところ、冴子は似てる。さりげなくフォローしてくれてるんだ。
「すいません。あの、なんだか思い出せなくって。母はお節を作ってくれてたと思うんですけど…。」