和気藹々
「須藤さん、もう一尾いきますか?」
「え、いいんですか?」
アシスタントのヒロコ先生は、ハルコ先生よりちょっと歳上で落ち着いた感じの、ショートボブが似合っていた。
「ええ、一人二尾です。」
「ハイっ!」
流石だな〜。そりゃそうだよなー。一尾じゃうまくできっこないもんなぁ〜。
んでもさっきっから同じテーブルの皆さんからの少おし眼差しってーか、感じてるんだよなー。ま、そんなことよりもオレのに集中!
えーと、さっきできなかったのは、ココとココだろ。ハルコ先生のデモの再生流してくれててありがたいんだけどさ、もう少し先なんだよな。あ、ココか。はぁ、もうちょっと刃を寝せるんだな。それからあっちは立ててと。
あ、右の人…。
「あッ」
「…なにか?」
そりゃあ途中でこんな声かけられたらジロリと見上げるよな。
「いま、ちょうど再生されてるとこ…」
「…ああ。」
「あの角度がいいみたいですよ。」
右の人は返事もしなかった。やっぱ、悪かったかな。
ま、…オレのに集中!
「ほんとだ。ココ、キレイにいけました!」
おおっ、すげぇ、右の人。
「本当だ〜、イイですねー。」
おっ、前の人が乗ってきた。
「いやいや、須藤さんが言ってくれたから。」
「いやいや、ハルコ先生の動画が…。」
「あの〜、こうですか?」
同じテーブルのあっちもこっちも、皆スキズキに喋り始めた。
…楽しいッ!