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約束
今日も客足はそこそこ。絶対僕が一人ってことはないんだよね。奈都さんはどのお客さんに対しても慣れ慣れし過ぎない口調で話す。「敬語」というほどではない、まるで久し振りにあった友人に語りかけるような。ああいった感じも経験から滲み出るものなんだろうな。
「明日のお弁当も作るんでしょ?」
僕があんまり晩くならないように一〇時過ぎに奈都さんは声をかけてくれた。そして、僕一人なのにのれんの外側まで送ってくれるんだ。
「今度、あたしにもお弁当作って頂戴。」
もちろん僕は快諾した。って言うか、楽しみだ。なに作ろう。あ、お弁当箱…、プレゼントしちゃう?…うちになんかあったかなあ…。