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篠田さんたら

「…課長に伝えてください。精算書はシステムの管理書棚の5番フォルダ、熊田製作所さんとの仮契約書は申請中で通ったら通知メールが今日にも届きます。」

篠田さんたら、課長が聞こうとしてたくらいのことはお見通しなのか。

「はい。」

「…戻ってください、仕事に。ありがとうございます、わざわざお見舞いに来ていただいて。」

「あ…。」

返す言葉がなかった。長居する理由もないし。だけど、しばらく突っ立ったままでいた。

「お願いです。姉さんが戻って来る前に。」

「また来ます。」

「もう大丈夫です。」

それ以上はなにも言わず、深くお辞儀をして病室を後にした。

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