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隠れ家喫茶店への道のり
店までは実は十五分くらい、割りと遠い。僕は故意に右に曲がり、左に曲がりし、狭い小路を通り、ビルの脇道を通り抜けるなどして野間さんに距離を感じさせないようにした。閑散とした路地裏に聳え立つ古めかしいビルの玄関口には看板も出てなくて、エレベータもない。腿上げと呼ぶのに近いくらい膝を折り曲げてやっと次の段に足がかかる階段を上った三階にその喫茶店はある。
どうやって僕がこの店に辿り着いたかってことは…、野間さんとの話が途切れたときにでもネタにするつもりだ。