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また親父が先に

風呂から上がって髪乾かして台所に戻ったら、親父がテーブルについてた。キッチンには一応テーブルと椅子は置いてあるけど物置台と化していて、どんなに忙しくってもこの椅子に座ってご飯食べるなんてことはなくって、たいてい続きの居間や自分の部屋に持ってって食事するようになってた。ここに人が座るのを見ること自体、何年ぶりだか思い出せない。


「うまいな、これ。」


俺の方を振り返りもせずに親父が言った。

「なんで先に食ってんだよ!」というのを忘れた。


「だろ。」


親父よりも目一杯食ってやるつもりで自分の茶碗と箸を手にして親父の横の椅子に座った。食器棚を正面にして、楕円形のテーブルにカウンターみたいに横並びで隣に座って、上出来のコロッケとオムレツを食べた。うまかった。けれどそれ以上に、正面の食器棚の薄い安っちいガラス戸にくぐもって映る親父と俺と二人でうまそうに飯を食ってる姿がぼんやりと映し出されているのが嬉しかった。

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