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メガネを掛けたウェイトレス
「ブレンドください。」
「かしこまりました。」
メニューも見ずに注文した僕に、ウェイトレスの女性は開きかけたメニューを閉じて小脇に挟んで、冷えた水が注がれた小さめのグラスと温かなおしぼりを僕の前に置いて去った。細い銀縁の眼鏡が、彼女の気の強さを誇示しているようにさえ見えた。
スマホを見ると誰からも連絡はなくて、Facebookのタイムラインにはいろんな情報が流れていて、でもどれもさしあたって大事はなかった。
注意して座っていないとソファに埋もれてしまいそうで、なんとなく気が抜けなかった。