109/1866
喫茶店へ移動
「もういいわ。」
高橋さんはなんだかゲンナリしていた。それにしたって約一時間半、ああだのこうだの言いたいことを言っていた。そんなこと言い続けてる自分自身に腹が立ったのか、あんまりに僕の薄い反応がお気に召さなかったのかは知る由もない。
「本当に申し訳ありませんでした。以後、気を付けます。」
そう言って僕はオフィスを去った。
駅の中へ入って階段を下りてデパ地下をくぐって反対側へ向かった。この辺は新しい美しい高層ビルが立ち並び、冬空とはいえ、立派な姿を誇示していた。
なんとなくエスカレータを上って、そこに見つけた喫茶店の、奥の薄暗い大きなソファに腰をかけた。予想以上の柔らかさに腰が沈み過ぎ、慌てて座り直したところへウェイトレスがやって来た。