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Sec.1-3「Battle,and than,"Noticed"」

「・・・だから遊びたかったのか」


アクセスありがとうございます。第三話です。まもなく「始動」。

「立てるかー?せーの、よっ、と」

まだくらくらするが、東香里さんに支えられてなんとか立つ。

「あの、あれは、いったい・・・」

「それは後で聞くから、とりあえずどっかに隠れてて!」

・・・東さんの言う通り、だ。

ひとまず境内へ向かい、お賽銭箱の陰に座り込んだ。こっちに来るかもしれないから顔は出しておく。

アヤちゃんだった黒い木のようなモンスター・・・異形、という方がいいか、そいつに東さんは対峙している。

異形は東さんの倍以上の高さになってるし、4本だった腕みたいなのが10本ぐらいに増えてる。ほんとに木みたいだ。


・・・んえ!?


東さんの後ろにある、さっきまでいた東屋が半壊してる!??

じゃああの轟音はあれか!?でも土砂崩れではなく、なんかが突っ込んだような壊れ方なんだけど。

「もしもーしひろしー?まーた”悪霊”かよ、今日だけで3回目だって!」

本人は全く気にすることなくオレンジ色カバーのスマホ片手に叫んでいる。

・・・悪霊?

え、どういうことだろう?

「はい、はいはい、」

東さん誰かと電話している、って、悪霊ソイツ来てる!!

「っ危ない!!!」

思わず叫んだ。長い黒い腕が東さんに迫る!!

しかし東さんは動かない。



「ふんっ!」



腕が襲うより速く、東さんの右足がその悪霊を・・・回し蹴り!?

ズガッ!!

おおお、キレーにかかとがそいつの顔面ヒッt・・・え?

・・・おかしい。普通の回し蹴りだけだったはず。




ボゴオオオオン!!!





なんで10メートルくらい先の鳥居(しかも上のほう)まで吹っ飛んでいるんだ!!!????






派手な激突音のあと、悪霊は落下。かろうじて階段から落ちなかった。

ぐちゃ、と聞いちゃまずい音を聞いたしまった気がする。

そして蹴った当の本人は、その右足首を準備体操のように回し、左手を腰にあてて首をかしげている。

「うーん、イマイチ」

それでイマイチ!?

「まー今回はちゃちゃっといけそうだな。おーい、さっきの人、大丈夫ー?」

「ふぁっ、は、ハイ・・・」

目の前で普通離れすぎることが連続して、頭が考えることを捨てていた。

たぶん間抜けな顔してたと思う。

「もう出てきていいよ~」

さっきの響く頭痛も収まり、お賽銭箱の裏から立つ。

言われた通り現場に来ると、東さんが胸ポケットにスマホをしまい、代わりにくしゃくしゃの白い紙を取り出した。

そのまま広げると、サイズはスマホと同じくらい。

なんかよくわからない記号みたいなのがキッチキチに書いてある。

「ぬっ、簡易用しかないか・・・しゃーない、今日結構使っちゃったしなー」

「何?」

「あ、こっちの話。とりあいず強制送還ね」

そのまま、紙をピクピクしている悪霊に近づけていく。






「アアア・・・あ・・ア・・さ・・・・・み・・しイ・・・・」






悪霊のノイズ声の中に、あの姿になる前のアヤちゃんの声が混ざっていた。


「・・・東さん!」


「ん?」

なぜ叫んだんだかわからない。けど、紙がさわるかさわらないかのところで東さんの手が止まった。

「あの、さ。この悪霊?みたいなヤツ、もとは女の子だったんだけど」

「え!?」

「あたしと遊びたい、とかってくっついてきた。でさ、無理って言ったらこうなった」

「それじゃあ最初っから悪霊じゃなかったてこと?」

「たぶん、なんていうか・・・少なくとも最初は人のカタチしてた」

「・・・嘘だろ」

東さんが固まる。本当に驚いているようだけど、あたしとしてはさっきのキック力の方に驚きたい。

「・・・ねえ、」

固まってる東さんをよそに、なぜかあたしはしゃがんで悪霊のほうにしゃべってた。

「遊びたいとか言ってたけどさ、ほんとは一人が寂しかったんでしょ?さっきだだもれてたし」

「・・・・・・・あア・・う・・・ん・・・」

「ごめん。気づいてやれなくて。でもアヤちゃんはもう・・・『ここにはいない』でしょ?」

《・・・おねえ、ちゃん?》

はっきりとアヤちゃんの声がすると、悪霊から黒い靄が抜けていく。

「マジ!?・・・浄化、した!?」

東さんの驚く声がしたがどういうことかわからない。

靄が完全に抜け、空に消えると、悪霊がいたところには赤いランドセルの女の子がしゃがみこんでいた。

「戻った・・・?」

《おねえちゃん・・・》

「ねえ、その子いるの?」

東さんが隣にきてあたしと同じくしゃがむ。

へ?

「どういうこと?」

「その、うちは何も見えないけど・・・」

「え???」



いま目の前にいるアヤちゃんは、東さんには「見えていない」??



《・・・アヤね、もうしんじゃったのはわかってた》

「うん」

《まっくらなとこで、とってもこわくて》

「うん」

《ひとりぼっちで、にげてきちゃった》

「そっか」

《でもね、だーれもアヤのこと見つけてくれなかったの》

「ああ・・・」

《だからアヤのこと見つけてくれたの、せのたかいおねえちゃんがはじめてだよ!》

「ふぁい!?」

「何?!」

これにはびっくりして目を見開いた。東さんはたぶんあたしの変な叫びに驚いた、と思いたい。

《ありがとう、見つけてくれて》

アヤちゃんはちょっと泣きそうな顔で・・・笑った。

ふと、アヤちゃんの体が光りだす。



《バイバイ、おねえちゃん》



今度は優しい白い光に覆われ、空中に浮かぶと、突然速度を上げて遥か上空に消えた。

思わず立ち上がって見あげる。

夕焼けのかかった空を、散る桜の花びらが横切った。


「・・・まさか、浄化して送らせるなんて・・・。そういや、さっきなんでびっくりしてたの?」

東さんも立ち上がり空を見上げていた。白い光は東さんにも見えていたようだ。

「なんかさっきの女の子が言ってたのは、自分を見つけてくれたのはあたしが初めてだ、って・・・」

東さんの背丈はどうみてもあたしより10センチ以上低い。本人には決して言わないが。

「・・・決まりだ!」

東さんはにっと笑うと、あたしに向き直る。

「すっかり忘れとったけど、あんた、名前は?」

あ、こっちも完全に忘れていた。



「夏希。あたしは、榊原夏希」

「夏希さんね。あのさ、突然だけど、うちらの仲間になってくれないかなあ?」



・・・。

・・・・・・んん!?




い き な り ど う い う こ と だ 。



「ほんとに突然だよ・・・!?」

「ほんとごめん。だけど間違いない、あんたはうちらとおなじ”霊能力者”だ。しかも、かなり珍しいタイプの!」

「はあ!?何のことかわからんし、そもそもあたし別に人とつるむとかy」

やだ、と言う前に両肩をがっしりとつかまれた。

「たのむから!あんたとならあの怪奇を解明できそうなんだ!



-港名坂学園高校の七不思議を!!」




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「また ひと り はぐる まが まわ り だした」


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