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001

僕は一匹の黒と白の縞模様のシマウマみたいな柄の猫に話しかけていた

「やあ、子猫ちゃん」それは子猫なんて柄ではない

ひょっとすると化け猫か猫又なんて言葉が出そうなほどの

老猫であったがなぜかそんな言葉が出た

しかし自分はどんな猫にあおうとも「子猫ちゃん」と言っているせいで

別段自分の中ではおかしな分類には、入りそうもなかった


「にゃぁごおおおおおろー」

それは相応の大声で僕に挨拶すると

一目さんなどできないのか、カタツムリのような異様な遅さを兼ね備え

威風堂々とコンクリート塀を歩いていった

それは「お前なんかに子猫呼ばわりされる筋合いは無いぜ子猫ちゃん」

とでも捨て台詞を吐いて遠ざかるボスの貫禄を感じさせた


さて行きますか


誰でもない自分にでも言い聞かせて寒空の中

僕はコンクリートに足を踏み出した




時はかなり遡り自分という名の馬鹿さかげんに付き合いきれず自分を置くための逃避行に行くも失敗して日本について地元まで向かうそんな頃の時

僕は一人虚しく日本の空気を吸いながら

久しぶりの日本の文字を眺めていた


「おーーーーーーーーーぃい」

そんな大声を出し合いながら別れるのを惜しむように呼び合うカップル

嫌々普通で会うときの呼び方だろうとその恥ずかしいプレイを眺める反対側には、閉店間近のカレー店がカツカレーフェアーを開催していたが

現金が非常に不味いのであきらめて又、恥ずかしいカップルに目を移した


そこで偶然というのは恐ろしいことに

中学の頃の美人というかマドンナというかが居た

トレンチコートに身を包んだ彼女はあの頃より幾分も大人びていて

今現在、乞食のような大荷物に、真冬なのにTシャツ一枚しかも土派手で変な文字や絵の描かれているそれは、人間何をどうしたらこれほどの差が生まれるのだろうと、あいたいを通り越した羞恥心により

僕はすぐさま目をそらし、カレー屋を見つめた

何が楽しくて閉店間際のカレー屋を金もないのに見つめなければならないのか

そして運命はやはり残酷であった


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