魅了魔法により貶められて人買いに売られた公爵令嬢、三年後、王子、父の公爵、義弟の3人が人買いから公爵令嬢を買い戻そうとした話
ある地方で深刻な飢饉が起きました。
親は我が子を売らなければ生きていけない。
泣く泣く、我が子を売り出す農家が続出しました。
しかし、何の因果か。翌年は大豊作になりました。
子供を売った親は人買いに申し出ました。
「我が子を買い戻したい。金ならある。二倍だそう」
ええ、人買いは依頼通りに売った子供達を探し出し養親を説得して買い戻しました。
喜んでくれるものかと思ったら、親から非難囂々です。
「よくも、窮状にかこつけて子供を取り上げて・・」
「全くだ。しかも、廉価で買い取りやがった・・」
「「「許せない!」」」
「そ・・・そんな」
村人達から裁判を起されました。
人買いは目が周りショックで寝込むようになりました。
「親父・・・」
「すまない。裁判を頼む・・・」
総勢36名から訴えられました。
その人買いの子は父親に代わり裁判を受けました。
面白いことに買い戻しを拒否した人買いには裁判が起されませんでした。
息子は貯金を使い。弁護士を雇い。1年近く休業して、やっと裁判が終わりました。
「人買いは無罪。1、値段について。飢饉により食料が高騰している中、子供達にきちんと食事を取らせた・・・・」
「「「そ、そんな」」」
裁判に勝ちましたが、心身が疲労しました。
そんなとき、また、飢饉がやってきました。
まさか・・・と思ったら・・・
「子供を買ってくれ・・・」
「そうだ。二度と訴えないから・・」
「値段は前と同じで良い」
「ふ、ふざけるな!!」
人買いの息子は叫びました。
父は絶望の中で病死したからです。
・・・・・・・・・・・・・
「ですから、公爵閣下、皆様、ご令嬢は売り戻しはしません。たとえ、どんな理由があっても、子を売った親は化け物になるのです」
「ふざけるな。人買いごときが!」
俺はその人買いの息子、ジエム、既に30を超えた。
「父上に王命を出してもらうぞ!」
元婚約者の王子殿下もらっしゃる。
地元で一番のホテルに呼び出されたと思ったらやっぱりこうだった。
「どうぞ、王命を出して下さい。人の転売や買い戻しは決していたしません。卑しい人買いにも作法ありです」
あれから、人の買い戻しはギルドで禁止になった。
人買いも商人、安い値段の物を高く買ってもらうために不足している地域に出向いて利益をあげるのは他の商人と変わらない。
人口過密地帯の中央から、東北地域の開拓村に子供を送る。
子供は重宝される。男の子は労働力、女の子は花嫁候補・・・村の貴重な人材として養育される。
これも商売なのだ。
「義姉上と会わせてよ!」
義弟か・・・まだ、若いな。
父親の公爵が言う。
「魅了だったのだ。仕方なかったのだ・・・」
そうだ。三年前に公爵邸に呼び出されて黒髪の令嬢を買い取るように言われた。
☆☆☆
「こやつはとても意地が悪い。義母を敬わずに義妹を虐めるのだ。いくらで買う?」
「畏まりました。金貨三枚でどうでしょうか?」
「うむ。良い。娼館にでも行くのだな」
「ヒィ、お父様、どうか、もう一度、お考え直しを・・・」
当時、令嬢14歳、カバンを一つももたずに、古びたドレスを着ている子だった。手にはフルートを持っていた。これも古い。唯一持ち出しを許された物だそうだ。
「では契約成立ですね」
俺は令嬢を促す。商売用の馬車に乗るように、これに乗ったら完全に公爵家と縁を切ることになる。
「馬車に乗りな」
「せめて、お母様のお墓に・・・」
「それは公爵殿に聞いてくれ」
「人買いよ。さっさと連れていけ」
「公爵殿、本当に宜しいのですか?この馬車に乗ったら本当に縁切りです」
「くどい、悪女を早く始末してくれ」
わずか、金貨3枚、でも通常の子供の10倍の値段で買い取った・・・
「わ、私を娼館に売るのですね」
「う~む。いや、文字読める子は貴重なんだよな。しばらく子供達の教師になってくれ。もちろん、食事だけは与えてやる」
・・・・・・・・・・・・
「ここに金貨300枚ある。これで買い取る!」
今はその100倍の値段、金貨300枚で買い取ると言っているが・・・
「公爵閣下、王子殿下、と坊ちゃん。申訳ございませんが、お嬢様を売り戻すことはできません」
「わ、ワシは亡き妻に申し訳ない・・・もし、帰ってこないのなら、妻の墓の前で自害をする」
「どうぞ」
「私は、魅了にかかったとはいえ。公然と元婚約者を貶めた。もし、また会えないのなら、毒杯を賜ることになる」
「しかたないですね」
「僕は義姉様にムチを打った・・・一言謝罪したい。でも、魅了のせいだったのだ。もし、謝罪が出来ないのなら屋敷を追い出されて路頭に迷うよ」
「大変ですね」
「「「他人事か!」」」
3人は怒りだしたか・・・
「なら、一度、私に買われてみませんか?そしたら、ご令嬢の気持は分かるでしょうね・・・そうしなければ一生わかり合えませんよ。鉱山奴隷をご案内できます。
皆様の身売り金をご令嬢にお渡します。受け入れるどうかは分かりませんが、これが謝罪になるでしょうね」
3人は黙った。
「失礼・・・」
「人買いごときが・・・」
「そうだ、人買いの法だ、仕方なかったのだ。父上も分かってくれる」
「殿下、それでいきましょう・・・」
俺はホテルを後にした。
現実は残酷だ。
法を盾にしたが・・・商会に戻った。
「ジエム、お帰りなさいませ。湯浴みにいたしますか?」
「まず、晩酌だな」
「湯浴みにしますか?」
「・・・湯浴み・・」
今年で17歳、最近、俺に敬語を使わないようになった。
「本当に良かったのか?父君と王子と義弟にお断りをしてきたぞ」
「法がございます」
「何にでも例外がある。実子養子の話もあるぞ・・」
「本当に嫌なのです・・・・魅了魔法、でも、あれは人の心根が表れる魔法なのですよ」
「はい・・・」
どうするか。最近は、法律で人買いが禁止になると噂がある。
東北植民は頭打ちか?
「それと、ジエム、今度はネズミ退治の仕事をなさったら・・・これが仕事着の案と、お母様が残してくれた魔のフルートです。ネズミを退治し農作物を豊かにする魔道具ですよ」
衣装案をみたら、派手なピエロのようで・・・
「こうやって、笛をふいて、ネズミを誘いだしますの。古びた笛にしかみえないので、これだけは義妹から奪われませんでしたわ・・・」
「笛・・・か、いいのか?母君の形見だろうに・・・」
「・・・いいのです。元々は領地の畑に使っていました」
顔が真っ赤になった。
俺はネズミ退治の仕事についたが・・・
ある町での出来事だ。
きちんと仕事をしたのに、町長は・・・
「金は払わんぞ、そのフルートのせいかも怪しい」
「ほお・・・」
なら、今度は子供達を東北の開拓村に案内するか・・・
「何事にも抜け道はある。養子縁組の手数料をとれば良いのだ」
俺はまた、人買いに戻った。
彼女は派手なまるで悪役令嬢のような姿になって子供達に覚悟を植え込む。
「オ~ホホ、皆様、畑持ちになれますわ!良い子だけですわ!」
「「「はい」」」
まるで演劇のトリックスターのような立ち位置だ。
彼女と俺はどうなるか分かったものではない。
これで良いのかさっぱり自信がない。
最後までお読み頂き有難うございました。




