表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/6

ただひたすらに

気がついたらそれは始まっていた。

 カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ……。


 キーボードを叩く無機質で軽い音だけが響いている。僕はそれをまるで腹の減ったハムスターのようだと思う。もちろん、ハムスターなんて飼ったこともないし、あのアニメ(へけっ)でしか見たこともない。いや、うそだ。あのアニメ(なのだ)もミームとやらでやたら見かけるくらいで、僕にとっては電子電脳の世界のものでしかない。でも、イメージというものだ。


 カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ……。


 音がスピードをあげる。キーボードを叩く僕の指が滑らかに動いている音だ。そう、僕は今ただひたすらに脳内の情報を、ただひたすらに(大切なことだ以下略)垂れ流し続けているに過ぎない。


 なぜかって?


 そりゃあ、もちろん決まっている。


 そうしないと正気を保つことができないからだ。しんと静まり返った部屋で数秒でも、少しでも思考を始め、動きを止めてしまったが最後、僕は僕でいられなくなってしまう。


 カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ……。


 キーボードを叩く。それだけで、僕は僕として存在していられる。この場所にいても特にいいのだと思ってもらえる。いや、違う。風景の一部に溶け込めるんだ。それには大切なことがある。


 なにかって?


 それはもちろん——打ち損じた時も、考えてはいけない。逆に少し要らない文字でも足してから、素人が格闘ゲームでボタンを連打し続けるようにバックスペースを叩き続ける。ただひたすらに。


 そう、ただひたすらに。


 僕はキーボードを叩いている。空調の音に負けないくらい、激しく、リズミカルに。()()()()()()()()

終わることは息を止めることに等しい。僕にとっては。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ