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風の契約と絆を紡ぐ物語  作者: 蒼燈
魔法の祭典と嵐の予兆
17/19

2平和な日常

街の石畳の道を歩きながら、ステラはあちこちの屋台を眺めた。


色とりどりの果物が並ぶ店。

魔法で光る飾りを揺らすパン屋。

香ばしいスパイスの匂いが漂う雑貨屋。


子どもたちは光の精霊たちに頼んで小さな光の球を空に浮かべてもらい、楽しそうな声を上げながら追いかけている。


「ふふ。この街、賑やかだね」


ステラは屋台を一つ一つ、ゆっくり眺めながら歩く。

その顔は、いつもよりも楽しそうだった。

ゼフはそっと風を送り、ステラの髪を軽くなびかせる。


「わっ、ゼフ! またいたずら?」


「あんまよそ見してると誰かにぶつかるかもしれないだろ? 

だから意識をこっち向けといた」


「……確かに、そうかも。ありがとう」


ステラは真面目に頷きつつ、髪を整えた。


屋台の商人が魔法で小さな光の装飾を揺らし、通行人に呼びかける姿はこの街に活気をもたらしている。


石畳の広場は、人の熱気と音で満ちていた。

色とりどりの布で飾られた屋台、空に浮かぶ光の魔法、笑い声と音楽。

旅の途中で立ち寄った都市とは思えないほど、そこは明るく、にぎやかだった。


「……すごい、たくさんの人」


ステラは小さく息を漏らしながら、行き交う人の流れを見つめる。

村や小さな街とはまるで違う。

肩がぶつかるほどの人混みも、空気に漂う甘い匂いも、全部が新鮮だった。


「祭りでも近いのかな。魔力の流れも騒がしいし」


隣を歩くゼフが、周囲を見回しながら言う。

翡翠色の瞳が、楽しそうに細められた。


ステラはとある雑貨屋の前で、ふと足を止めた。

そして並べられていた、イヤリングを手に取る。

ひし形の、水色のイヤリング。


「気に入ったのか?」


「⋯⋯うん。これ、綺麗な色してる」


イヤリングを空にかざす。

今日の空――晴れ上がった、雲一つない空と同じ色をしていた。


「これ、ください」


「はいよ」


店主にお金を渡し、早速つけてみる。


「どうかな?」


「⋯⋯ん、似合ってる」


「そう。よかった」


ステラは軽く笑い、先へと歩き始めた。

その足取りは、軽くなっていた。

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