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風の契約と絆を紡ぐ物語  作者: 蒼燈
森の精霊と村の昔話
15/22

番外編 甘い贈り物

旅の途中で立ち寄った街で。


「なんか、甘い匂いがするね」


「そうだな」


二人の言う通り。

街中でチョコレートなどのお菓子を売っている店が多く、甘い匂いが漂っていた。

不思議に思った二人は、近くの店の店員に理由を聞いてみる。


すると、「バレンタインだからね」と言われた。


「⋯⋯バレンタイン?」


「そうだよ。仲のいい人や、感謝を伝えたい人にお菓子を渡す日。

お姉さんも一つ、隣のお兄さんにどうだい?」


ステラは少し考えた後、チョコレートが六個入った箱を一つ、買うことにした。

綺麗にラッピングされたチョコレートの箱。

人があまりいない所に行き、ゼフに箱を渡すステラ。


「はい、あげる」


「いいのか?」


「うん。いつもありがとう」


普段はあまり言われない感謝の言葉。

その気持ちが嬉しくて、自然とゼフの顔に笑みが浮かぶ。


「ありがとう、ステラ」


その夜。

チョコレートを食べようと箱を開けたゼフ。

星型、猫の形、花の形⋯⋯。

かわいい形のチョコレートが並んでいて、なんとなく恥ずかしくなるゼフだった。


季節が過ぎ。

今日は、街の雰囲気がいつもより明るい。

にぎやかで、楽しそう。


「⋯⋯今日は、何の日なんだろう」


首をかしげているステラに、ゼフが箱を差し出す。

さらに不思議そうな顔をするステラ。


「なに?」


「今日は、ホワイトデーだ」


「⋯⋯何をする日なの?」


「バレンタインのお返しをする日だな」


「バレンタイン⋯⋯。何かしたっけ?」


自分がチョコレートを渡したことを、本気で忘れている様子のステラ。

少しして、はっと顔を上げる。


「あ。ゼフにチョコ、あげたんだった。それのお返し?」


「ああ。忘れてたのか?」


「今思い出した。ありがとう、ゼフ」


ステラは嬉しそうに箱を受け取った。


「⋯⋯どういたしまして」


さっそく、箱を開けるステラ。

中には、ホワイトチョコとクッキーが入っていた。


「⋯⋯おいしい」


「なら、よかった」


「ゼフにもあげる」


「一応、俺からのプレゼントなんだけど」


「⋯⋯別に、いいでしょ」


頑なに引き下がらないステラ。

ゼフは小さくため息をつきながら、ステラが持っているクッキーを受け取った。


お菓子を食べながら、二人のホワイトデーはゆっくりと過ぎていった。

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