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11 不穏な影
月が水面に細く映る、夜の湖のほとり。
そこに、二人の男がいた。
一人は濃い群青の髪と、灰色の目を持つ男。
ゆったりとした服を着て、笑みを浮かべており、穏やかな雰囲気を出している。
もう一人は紫色の髪に、金の目を持っている。
しかし、片目を隠し、ローブのフードを目深に被っていて、暗い印象を与えている。
穏やかな雰囲気の男はゆっくりと歩み出し、後ろに控えている片目を隠した男に視線を向ける。
「あの村は、どうなった?」
「村は……狼と手を結んだ」
雲から月が顔を出し、片目を隠した男の顔を冷たく照らす。
黒い手袋の指先で青緑と翡翠色の石を転がし、少し楽しそうにしながら、穏やかな雰囲気の男は呟いた。
「……そうか、共生の道を選んだのか。しかし、その道は本当に正しいのだろうか」
目を閉じ、少し考える素振りを見せる。
数秒後、男は後ろを振り返り、背筋を伸ばして腕を組む。
「判断はお前に任せる。好きに動いて構わない」
フードの男の口元がゆるむ。
「好きに動いてもいい、か……面白い」
闇の中で、目が鋭く光る。
「——さて、実験を始めようか」
その声だけが、月夜に吸い込まれるように消えた。
湖面には、何も映っていない。
ただ、月だけが静かに残った。




