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ラグ・コード 〜遅延能力でバグった世界をぶち壊す〜  作者: Kaいト
プロローグ:孤独を揺らすは、重き残響

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9/50

孤独の代償、共闘の代価

孤独な特攻、その先にある絶望。

獅子堂が背負う「死の呪い」。


そして...漣が出した【唯一の正解】とは...

「……おい 解析屋かいせきや。本気かよ」


壁に埋まったまま 獅子堂ししどうが掠れた声で笑った



全身に走る『火事場力リミットラッシュ』の反動


だが 目の前でれんが構える 古めかしく無骨なエイジャスの筐体から投射されたホログラムパネルが 獅子堂の戦意を強引に繋ぎ止めていた



「本気じゃなきゃ お前の自爆に付き合わない。今生きていることがいい証拠だ」



漣はエイジャスのパネルを血の滲む指でなぞり 敵の絶望的な「無敵」の正体を突きつける




「あの『確定事象』をブチ抜くには面じゃ足りない。……敵が再構成する瞬間に生じる コンマ数秒の『情報の空白』。そこを一点、全力で叩き込め」



「……ハッ 言うじゃねぇか。わかったよ 解析屋かいせきや!」




獅子堂が地を蹴った。



肩から腕を覆う巨大な重機籠手『パイル・バースト』が重厚な駆動音を立て 先ほどまで面であった三角形の蓋が開く


そして 中央から鈍い光を放つ極太のロッドが牙を剥く




可変式重機籠手:貫徹形態パイル・モード




獅子堂が肉薄する


だが 特異欠落体もまた周囲の瓦礫を飲み込み肥大化した「確定事象」の鉄拳を振り下ろした






獅子堂の脳裏に あの日の光景がフラッシュバックする。



(……まただ。また俺のせいで 誰かを巻き込もうとしてる)



あの日 あたり一面が業火で焼け落ちていた中 自分を生かすために死んでいった大人たちの顔がよぎる






「誰かに助けを求めることは 相手に死の肩代わりをさせることだ」






その呪いが 彼に孤独な特攻を強いてきた。


























その考えを真っ向から否定するように漣が叫ぶ
























「『二重遅延デュアル・ラグ』!!」



激突の瞬間 漣がエイジャスの物理ボタンを粉砕せんばかりに叩き込んだ
















一瞬 世界から音が消えた















一つ。烈の鼻先数センチで 敵の巨大な拳が空中に縫い付けられた




二つ。烈が敵の胴体に突き立てたパイルの先端 その全爆発エネルギーが「沈黙」した





「……ッ!? 二つ同時に 止めたのか……!?」





獅子堂が驚愕に目を見開く




漣の鼻からは鮮血が流れ エイジャスの画面は負荷によるノイズで真っ赤に染まっていた



パキ と。漣の脳内で何かが壊れる音がした


視界の端から色が抜け落ち 世界が急速にモノクロームへ染まっていく




変化し続ける事象を一つ保留するだけでも命懸けの代償を 漣は二つ同時に背負ってみせたのだ



「……お前がそこまで一人で背負う必要はない!! お前をそうさせた人らも……そんな事を望んでたのかよ……!」





漣自身 自分の口から出た言葉に驚いていた



(俺はお前の過去なんてこれっぽっちも知らない。……でも そんな消えちまいそうな戦い方を目の前で見せられたら....嫌でも察しちまうだろうが……!)



論理的ではない。解析屋として これほど不合理なリスクを冒す理由が自分でも説明できない




だが エイジャスが弾き出す膨大なエラーログの向こう側に 獅子堂という男が抱える「歪み」が見えてしまった



それを見過ごすことは...もはや 計算外の感情が許さなかった。






漣は歯を食いしばり 脳を焼く激痛の中でパネルを操作する



敵の攻撃という『確定の死』を空中に縫い付け 同時にパイルの全爆発エネルギーをロッドの先端一点へと強引に集束させていく







「お前の負債も……その命も 俺がまとめて『保留』してやる。……行け 獅子堂!!」








「『実行エンター』!!」



「おおおおおおおおおおおおおおッ!!」








保留が解除された瞬間 頭上の鈍器が再び動き出すよりも速く 極限まで圧縮された衝撃が杭の先端から一気に解放された











ドォォォォォォォォォォォォォォォォン!!











一点に凝縮された破壊は 無数の『情報の空白』を生み出しては貫きながら突き進む


世界が固定した確定事象の装甲さえも 内側から完璧に上書きした(食い破った)




杭は敵の核を正確に粉砕し 巨体は修復の暇もなく情報の塵へと還元されていく


頭上にあったはずの巨大な鈍器も持ち主を失い 衝撃波に吹き飛ばされて夜の闇へ消えた







爆鳴の残響が 廃墟の壁に反響して遠ざかる



舞い上がる砂塵と 白煙を吹くパイル・バースト

熱気だけが淀んだ戦場で 獅子堂は膝をついた


一人で死ぬまで抱え込もうとした「死の結果」を漣が横から奪い 二つ分まとめて背負ってみせた




その「お節介な論理」が獅子堂の孤独を静かに溶かしていく



「……はは ……マジかよ。……」



獅子堂は 震えの止まらない右腕を呆然と見つめていた



「…………お前の熱は 少しばかり……お節介だな」



獅子堂の言葉には どこか救われたような 穏やかな影が差していた

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