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ラグ・コード 〜遅延能力でバグった世界をぶち壊す〜  作者: Kaいト
切り捨てし飢餓、その果てに秩序は成る

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40/50

戦争の定義 それは奪い取るものか、用意されたものか...

「...おい 漣。このログを見てみろ。お前が地上で戦ってた時の 治安維持局の裏パケットだ」


神城が投げ飛ばしたデータ群が 漣の視界を黄金色に埋め尽くす

コンソールに向かう指を止めず 漣はそのログを網膜のエイジャスで高速走査した


その瞬間 断片的だった点の繋がりが 一つの線へと収束していく



「.....やはりな。全部 あいつの書いたシナリオ通りだったってわけだ」



地下の熱気に混じり 漣の低い声が響く


視界に流れるのは 過去の自分の足跡

それが自分自身の意志ではなく 誰かに引かれたレールの上だったことを示す残酷な証拠



「...まず『赤』を少年に持たせ その翌日に事務所を襲撃させた。俺に『赤』の緊急性を叩き込み 廃棄場へ向かわせるための誘導。そして凛をぶつけたのも 俺の演算で不純物のない『赤の情報』を精製させるためだ。...あいつは最初から 俺を精製機ツールとして利用していた」



「.....なら そこであの娘を救ったのが お前が初めて出した計算外だ」



「....そっか。あの時、漣くんは(データ)を『バグ』と『飢餓(こころ)』の二つに切り離した。手に入るはずの赤にはバグしか残っていないし その赤も烈くんが壊したんだ」



凛と神城の発言に 漣は自嘲気味に口角を上げた



「ああ。だから雨宮は即座に別のプランへと切り替えた。第二特殊情報大隊のドローンを展開し 俺たちの足を止めさせている間に...本命の『烈』をさらった。第三小隊の接敵すら 時間稼ぎの囮。全ては烈を確実に奪うための....」




ーー全ては烈を確実に奪うための時間稼ぎだ





そして、一つの答えに辿り着く



「そうか!雨宮の狙いは『凛の赤、その情報の奪取』。ここまでの全ては この目標達成から逆算した結果ってわけだ」



自分の頭脳が 誰かの掌の上で踊らされていた事実


その屈辱を噛み締めながら 漣はさらに深く 敵の正体へと踏み込む



「ただの官僚が組めるロジックじゃない。...あいつは何者だ」



神城が 漆黒のプラグを深く叩き込んだ



「.....『白夜びゃくや』。そう呼ばれる連中を知っているか」



その名が出た瞬間 地下の空気が一段階凍りついた



「ああ。詳しいことは知らないが 『人類の希望』、その証ってことだけは知っている」


「……なら、その証を誰が与えているのかも知っているか。政府じゃねえ。『社会存続院しゃかいそんぞくいん』だ」



漣の眉がわずかに動く



「存続院……。大崩壊の後始末を仕切ってる、あの独立組織か」



「ああ。国を動かすのが政府なら、あそこは『人類の明日と安寧』を維持するための最後の砦だ。戸籍、インフラ、生活保障……俺たちが今日まで生きているのは あの院がシステムを回してるからに他ならねえ」



神城はコンソールを睨み据えたまま、声を低めた



「そして『白夜』ってのは、その存続院が認めた人類の希望の証だ。大崩壊という厄災にたった一人で対抗し、文明の火を繋ぎ止めることができると証明された怪物……。単なる称号じゃねえ。存在すること自体が、この壊れかけた世界がまだ終わっていないっていう『物理的な証明』なんだよ」



「雨宮はその一人だ。あいつの演算は 未来すら確定させる。だがな漣。お前には今 俺たちがついている」



神城の号令一下、鼠のメンバーが物理スイッチを一斉に切り替える

地下室の照明が一瞬だけ落ち、代わりに壁面へ走るのは、無数の演算ライン



低く唸るような高電圧の駆動音が、床下から腹の奥へと響いた


「まず、分かってるだろうが これは情報戦だ」



神城の声は淡々としていた。

だが その静けさが逆に この場の全員を縛り付ける



「そしてこの戦いにおける最大の敵は、雨宮じゃねえ。第二特殊情報大隊だ」



神城は最後に言った



「覚悟しろ。ここから先は、常識に囚われた奴が負ける」



その瞬間 地下室の壁面に展開されたデータが 無秩序に増殖していく


時刻、通信断点、監視ログ、熱源反応


廃棄区画

地下水路

閉鎖された居住ブロック


それぞれが「人が存在していた痕跡」だけを残している


この何百もの情報。

そのどれかにーー 烈はいる




地下室に 次の演算準備音が鳴り響く



情報戦が 動き出す

ーーここからが、本当の戦争だった。

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