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ラグ・コード 〜遅延能力でバグった世界をぶち壊す〜  作者: Kaいト
切り捨てし飢餓、その果てに秩序は成る

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39/50

反逆の演算(ロジック)ーー溜めに溜めた「お返し」の時間だ

ここまで ずーーーーとやられっぱなし、掌の上だったよな!?

読んでてムカついたよな!?!?


さぁ お楽しみの「反逆」の始まりだ。

「.......ここが 治安維持局の盲目か」


転移の衝撃を殺しきれぬまま 漣は顔を上げた



視界に飛び込んできたのは 無機質な配管が脈動するように這う 地下の巨大なインフラ区画


鉄骨が複雑に入り組み 地上の光を拒絶するその深部で 壁一面を埋め尽くす数百のモニターが黄金のノイズを撒き散らしていた



「......ようこそ。政府の標的ターゲットにされた哀れな解析屋ーー九条漣くん」



部屋の奥 無骨なコンソールの前に座る男がいた

彼がキーを叩くたび モニターに映る治安維持局の監視網が 砂嵐となって崩れていく



「俺はこのねずみの総帥ーージンとでも読んでくれ」



そう言い放ったジンの鋭い視線が 漣の背後に控える少女ーー凛に止まった



「....お前 気でも狂ったのか。そっちの子は治安維持局側の人間、政府の中枢ーー中央演算評議会が用意した『正解』だろうが。何で連れている」



ジンの手に 隠し持っていたナイフが握られる

鼠のメンバーたちにも緊張が走った


だが 漣は凛をかばうように一歩前に出る



「黒猫の一員になる。それが凛の出した答えだ」



「答えだと? あいつら『正解』の側の人間が そんなバグまみれの結論を出すわけねえだろ」



「ああ 計算じゃ辿り着けない答えだったよ。...だが凛は 与えられた正解じゃなく 俺と一緒に地獄へ落ちる道を選んだんだ。あんたたちがかつて そうしたようにな」


漣は ジンの手元にある端末の配列を指差した


「あんた 元治安維持局の『解析員』だろ」



ジンの眉がピクリと跳ねる



「...何の話だ」


「キーボードの配列 暗号化のレイヤー構造。...野良の解析屋を特定し 排除する専門職特有の『狩り』の手癖が この拠点のコードに染み付いてる。隠せてないぜ」



ジンは鼻で笑い 椅子に深く背を預けた



「...気づいてどうする。過去を暴いて 俺を動揺させて....そこまで情報が欲しいのか?」



「いや。同盟を組みに来た。『鼠』と『黒猫』でな」



「同盟? 笑わせるな。俺たちはここで死んだように潜んでいるだけで満足なんだよ。お前の派手な特攻に巻き込まれるメリットがどこにある」




「あるはずだ」



漣の声に 確かな熱がこもる



「あ?」



「......じゃあ なんでここまで巨大な情報網を引いた? なんでここまで大きな組織を作ったんだ」



漣は周囲を見渡し ジンの「嘘」を剥がしにかかる



「ただ隠れて死を待つだけなら もっと小規模でいい。だが あんたはそうしなかった。これだけの戦力を揃えて 虎視眈々と治安維持局の隙を伺い続けてきた。本当は 心の底にあるんだろ? あいつらの描く『正解』を いつかその手で引き裂いてやりたいっていう 執念がさ」



「......お前に何がわかる」



ジンが低く 唸るように言った



合理性ロジックで固められたあいつらに 勝てるわけねえんだ」



そこへ 今まで沈黙を守っていた凛が 静かに だが凛とした声で介入した



「勝てます。私が その証拠です」


ジンの視線が凛へ向く

凛はジンの鋭い眼光を逸らさず 真っ直ぐに見返した



「私は治安維持局が定義した『完璧な正解』として育てられました。でも 今の私は 彼らが最も予測できなかったはずの場所に 自らの意志で立っています。...演算が 私の『心』を見誤ったからです」



凛は一歩踏み出し 漣の隣に並んだ


「漣くんは 正解よりも大切なもののために システムを敵に回しました。その不合理な強さが 私という『正解』を書き換えたんです。...元・解析員の方なら わかるはずです。今の漣くんのロジックは もう誰にも予測できない」



ジンの瞳に 隠しきれない動揺が走った


元「狩人」として 自分たちがかつて恐れ そして惹かれた「予測不能な意志」の輝きを 凛という存在が突きつけたからだ



そして 漣もまた答える


「ああ 勝てる。俺の解析能力ロジックと あんたたちの隠密回線ノイズを同期させればな」



漣は自分の胸をを叩き 一歩前へ乗り出した



「あんたたちが溜め込んできたその怨念 最高に痛快な形で治安維持局の喉元に叩き込んでやれるのは 俺だけだ。...あんたの誇り まだ死んでないなら俺に預けろ」




沈黙



蒸気の噴き出す音だけが響く中 ジンは漣を睨みつけ

そして自嘲気味に口角を上げた


「......そっちの『正解』の娘が バグまみれのお前を選んだ。それが一番の根拠ってわけか」



ジンは重い溜息をつき 横にあるコンソールを乱暴に叩いた



「...ああ クソ。最悪な選択だ」



だが その唇には不敵な笑みが浮かんでいた



「いいだろう。...中央演算評議会の演算には決して現れない 最悪なバグをその目に焼き付けてこい。これより『鼠』は 黒猫のリソースを全面的にバックアップする。しくじれば 全員まとめて地獄行きだぞ」



その言葉が引き金(トリガー)だった


直後 背後の闇に沈んでいた無数のデスクとモニターが 爆発的な輝きを放ちながら一斉に覚醒した



「全回線 解放オープン! 治安維持局の監視網に擬態力(カモフラージュ)をかけろ。ここからは『鼠』の領分だ!」



ジンの怒号が響き渡る

何万ものデータの奔流が 巨大な配管を伝う電子の唸りとなって地下空間に満ちていく


壁一面のモニターには 治安維持局が隠蔽してきたノイズの地図が かつてない密度で描き出された



漣は そのログが視界一面に刻まれるのを 重みを噛み締めるように受け止めた




視界を埋め尽くす膨大な情報戦の戦力

自分一人では決して得られなかった 巨大な「反逆の武器」が今 自分の手の中にある



「...最後に一つだけ言っておく」



ジンがコンソール越しに 鋭い視線を漣に向けた


「俺の本名は 神城かみしろ 慎司しんじ。.......これは俺がお前にできる最大限の信頼の証だ」



神城。かつて多くの解析屋を絶望させ 政府から消されたその名を 漣は無言で胸に刻んだ


慎司しんじーー「ジン」という名の由来に隠された 彼の捨てきれぬ矜持を感じながら



「ああ。ここからは 俺たちの『バグ』を叩きつける時間だ」



暗い地下から 遥か高みの「正解」を射抜く準備は整った。

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