表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラグ・コード:この世界は、最初から間違っている。〜世界を壊した大罪人の息子、不遇能力で汚名も理も覆す〜  作者: Kaいト
切り捨てし飢餓、その果てに秩序は成る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/41

残像の檻と、見えない罠

小隊長は 絶え間なく流れるノイズに眉を潜め 通信機を強引にオフへ切り替えた


雨宮のロジックも 本部からの指示も 漣がかけた『遅延』の前ではただのゴミだ



「……これより 第三小隊だけで目標を排除する」


第三小隊長の冷徹な宣告とともに 周囲の兵士たちが一斉に首元のスイッチを入れた


『ガシャリ』という重厚な駆動音


最新鋭の完全密閉型環境ヘルメットがロックされ 彼らの視界は網膜への直接投影データへと切り替わる



もはや そこには肉眼が介在する余地はない




「『追記:遅延実行ラグ・コマンド』」



短い呟き

それと同時に 漣は泥濘を蹴った


ふらつく足取りで 包囲網の隙間へと強引に飛び込む




「無駄だ。逃走経路はすべて再定義済みだ」




兵士たちが銃口を向け 一斉に引き金を絞る


逃げ場のないゼロ距離







放たれた弾丸は 無防備な漣の胸を 頭部を...












完璧に撃ち抜いた













……と思われた







「……な んだと……?」



隊員の困惑した声が漏れる


弾丸を浴び 蜂の巣になったはずの漣は 血を流すことも倒れることもなく 虚空を抜けて平然と走り去ったのだ



そう、小隊のヘルメット内には すでに致命的な「ズレ」が生じていた




漣が放った『遅延実行』


これにより 小隊のシステムへ送られる座標データは常に『三秒前』のものに書き換えられていた



どれだけ正確に狙い 撃ち抜こうとも そこにいるのは三秒前の残像に過ぎない



「反応は確かに撃ち抜いている! なぜ倒れない!?」



三秒という情報の断絶が プロの射撃を虚空を刻むだけの無意味な儀式へと変えていた


本物の漣は すでにその射線から三秒分だけ先の死角へと滑り込んでいる




瓦礫の陰 潜伏していた凛のすぐ側を通り抜ける一瞬




「……あれだ。いいな。合図で 壊せ」




漣は掠れた声で 凛にそれだけを遺した



凛が闇の中で鋭く頷くのを背中で感じながら 漣は崩れ落ちるように近くの廃サーバーに手をつく


指先が筐体を強く掴み 鼻孔から一筋の鮮血が垂れた




さらに 彼らの信じるデータが牙を剥く


逃走経路で漣が触れた廃サーバーの残骸や AIの末路から 突如として九条漣と同じ『生体反応』が膨大に溢れ出した




「反応増殖!? 待て 熱源反応が全方位から……!」



通信兵である山根やまね隊員がバイザーに映る異常な光景に声を荒らげた


逃走経路の至る所から、突如として九条漣と同じ『生体反応』が膨大に膨れ上がったのだ



(――やっぱりだ。奴らは俺の『源生』を感知して追ってきている。それなら……!)



漣は走り抜けざま、廃棄されたサーバーラックやAIの残骸に 自身の『源生』を力任せに擦り付けていった


ただのガラクタに、漣自身のエネルギーという「色」を塗りつけて回る



「バカな……個別の端末すべてから、九条漣と同じ反応が出ている!? 座標が特定できん!」



「一体どれが本物だ!?」



ただの鉄屑が 漣の源生を纏ったことで高性能センサーには「九条漣」として誤認される


虚像の後を追い 無意味な銃弾を浪費する兵士たち



だが そのデコイ群の中に混じって 地を這い ガラクタの隙間に身を捩じ込みながら逃げ惑う漣の姿があった


もはや洗練された解析屋のそれではない



ただ死の淵で足掻く 一匹の獣のようだった





「……動くな。遊んでいる暇はない」




荻原は混乱する隊員たちを尻目に、自身のバイザーに流れる「最適解」を冷静に見据えている



「小細工に踊らされるな。確かに奴の『追記アペンド』は厄介だ。だが.......」



荻原は 影のように動く本物の漣をその眼で捉え 冷たく口角を上げた


「直接的な攻撃能力はない。データを遅らせようが、デコイで座標を隠そうが、それは我々を『倒す』ための力ではない。ただの延命だ」




そう評する荻原であったが、バイザーの奥の瞳は 逃げ惑う漣の「軌跡」を執拗に追い続けていた



(逃げ回っているだけではない……。この動き 何かがおかしい)


プロの直感。

その銃口が 情報の遅延ラグの先にある「本物の漣」の命の波形を 冷酷に特定し始めていた

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!


圧倒的な物量と技術で追い詰める第三小隊

しかし 漣が仕掛けた「三秒のラグ」が 彼らの絶対的な正解を無意味な空振りへと変えていきます



鼻血を流しながらも 泥臭く 獣のように這い回る漣

彼が触れた廃サーバー 凛への短い指示……


そのすべてが 逃走のための足掻きなのか あるいはもっと別の「何か」なのか


「撃たれても歩き続ける漣の不気味さが最高……!」

「小隊長の直感が 逆に彼らを追い詰めそうな予感」

……と 少しでも心が動かされた方は

ぜひ【★★★★★】での評価による応援と ブックマークをよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ