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ラグ・コード:この世界は、最初から間違っている。〜世界を壊した大罪人の息子は不遇能力で汚名も理も覆す〜  作者: Kaいト
切り捨てし飢餓、その果てに秩序は成る

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解析屋の新メンバー!!そして...暴かれる世界の裏側

第一章『第一幕』完結。

激闘から数時間が過ぎ東の空が白み始めた頃


事務所兼住居である『黒猫』の奥にある簡易ベッドで凛が目を覚ました



椅子に座ったまま微睡んでいた漣は彼女が身を起こす微かな衣擦れの音で顔を上げた


「……漣 くん」


凛は自分の身体を包む漣の上着の袖をぎゅっと握りしめた



「……何で 助けたの。私は 政府の道具なのに」


「解析屋の性分だよ。……それに お前を道具のままにしておくのは どうしても俺が許さなかった」


漣は自嘲気味に笑い凛に問いかけた



「そういえば 凛。お前は何で俺の名前を知ってたんだ? 精神世界で繋がった時 俺には君の『本名』が流れてきたが……君の方は?」



凛は遠い記憶を辿るように窓の外を見つめた



「……教官が 話してた。昔の お友達の話。九条さんっていうすごい研究員がいたって。その人の息子さんの 写真も見せてくれた。……昨日 あなたの『源生』に触れた時 写真の人だ って分かったの。だから 確信した」



それから少しして烈も騒々しく目を覚ました


漣は二人の顔を見て真剣な表情で切り出した



「さて 凛。これからのお前のことだが。政府に戻りたければ そのまま出て行っても構わない。それとも どこか遠くの街で新しい人生を始めるか……。選択肢は君にある。俺たちは お前を縛るつもりはないよ」



烈もパンを頬張りながら頷く


「そうだぜ。その後のお前の面構えを決めるのは お前自身だ」



凛は自分の細い指先を見つめ 静かに けれど確かな意志を口にした



「私は……あそこには戻りたくない。漣くんたちが選ぶ『正解』の隣にいたい。……いい、かな」



漣は少し嬉そうな顔をした


「……そう か。ふっ....高くつくぞ うちは」


漣が不敵に笑い 烈がガハハと笑いながら凛の背中を叩いた



凛が正式に仲間に加わってから数日が過ぎた


事務所のテーブルには烈が注文した特大のピザが広げられ 三人は不器用な食卓を囲んでいた



「……美味しい」



凛がチーズを伸ばしながら どこか満足そうに呟く


「だろ? 修羅場の後はジャンクフードに限るぜ!」



烈が豪快に笑う横で漣はピザを片手に膝の上のエイジャスへ視線を落としていた



指先から流れ込む『源生』が深い階層の論理回路を軽やかに解いていく


「……見えた」


エイジャスのモニターに かつては触れることすら叶わなかったログが展開される




『絶対保証レベル8』



『独立隔離レベル2』




大半の情報は依然として強固なロックがかかっているが 覚醒した源生を鍵として 漣はその最深部に刻まれた「世界の設計図」を暴き出した



「源生とは 大崩壊の際 人間の生命エネルギーが異常なまでに活性化した姿である」



本来 肉体という器に収まるはずの生命エネルギーが異常活性化し 内側では押さえきれず外側へと溢れ出したもの


その奔流が個人の特質を媒介として現実を書き換える力――

それが『追記』なのだ



「.......追記が発現した根本的な原因が『源生』」



漣は戦慄しつつ さらに深いログ……


かつて エイジャスの再起動時に聞かされた『.....断層データ』




上手く聞き取れなかったその正式名称が判明した。



七大断章ゼブンス・フラグメント



それは この世界のバグを解くための「鍵」


(七大か...ちょうど棄界と同じ数)


漣はそこから もう一度 棄界の座標データを確認した



今度は源生を用いてより詳細に...

その解析結果を見て 漣は息を呑んだ



「……烈、凛。棄界の場所が分かった」


「あ? なんだよ漣 ピザが冷めるぞ」


「棄界の座標は……この都市の『地下深く』にある。あの時 烈と初めて会った高負荷区深部。あそこをもっと探索すべきかもしれない」




一瞬 事務所に静寂が訪れる



これまでは 棄界は高負荷区から横続きに存在しているものだと考えていた


「それが普通だ」と思い込んでいたのだ



だが この座標は明らかにその定義を壊していた


見上げる空に何かがあるわけではない


真実は 自分たちが立っている地面の さらにその深淵に隠されていたのだ



その衝撃を切り裂くように 凛がふと窓の外を見て 看板の異変に首を傾げた



「……そういえば漣くん。表の看板 あれでいいの?」


「看板? ……ああ 『黒猫』としか書いてないはずだが……」



漣が窓から身を乗り出すと そこには


古びた『黒猫』の看板の横に 烈がペンキでデカデカと

『解析屋:何でも直します』と加筆した跡があった




「.....ははっ...」



漣は少し深呼吸して


「烈ッ!! お前 何てことをしてくれたんだ!!」



「いやぁ 凛も仲間になったし 客が来ねえと食わせられねえだろ?」



「バカッ!! 隠れ家だって言ってるだろ! 即座に当局に割れるわ!」



ガヤガヤと言い合う二人を割くように凛が話に割り込んだ



「じゃあ……」



凛が冷静に提案した


「表向きは『烈くんの何でも屋』ってことにすれば? 荒事は烈くん 裏の解析は漣くん。……私は その手伝い」



「……何でも屋 か。確かに悪くないな。」



漣が苦笑混じりに呟くと 事務所に穏やかな空気が満ちていった


それは ほんの数日前まで死を賭して奪い合っていた者同士とは思えないほど 柔らかく 脆く それでいて確かな熱を持った時間だった



凛は 自分の膝の上で丸まっていた黒猫を ぎこちない手つきで撫でる


その指先には まだ冷徹な暗殺者としての冷えが残っていたが 漣が淹れた安物のコーヒーの湯気と 烈が豪快に笑う振動が 彼女の心の奥底に積もっていた「雪」を ひとひらずつ溶かしていく



(……温かい。バグだらけの この場所が……)



政府という名の 凍てついた檻


そこでは決して許されなかった「自由」という名の陽だまりが 今 彼女を包み込んでいた



凛は 漣の貸した上着の袖をもう一度ぎゅっと握りしめ 自分が今 生きているという実感を その温もりの中に求めた


三人の笑い声が 埃の舞う事務所に響き 窓の外に広がる灰色の空へと吸い込まれていく





だが その安らぎのすぐ裏側で 秩序の牙は静かに 獲物の喉元を狙い定めていた



その頃 治安維持局


感情を檻に閉じ込めた「今」の雨宮は モニターに映る報告を冷ややかに見つめていた



「九条漣……『外部演算ユニット』としてだけでなく 余計な『情』まで拾い上げたか」



雨宮は少し目を瞑り 何か決断したかのように目を開けた


「確かに計算外だ.....」



そして...少し不適な笑みを込めて



「それなら、また計算内に戻せば良いだけ」



雨宮は全隊員へ通信を繋ぐ


その声は氷のように冷徹だった



「これより 第1特殊鎮圧大隊の次なる任務を伝える。第2特殊情報大隊と連携し 綾瀬凛。その精神世界の『特異ログ』を強制抽出する。手段は選ぶな。たとえ脳が焼き切れようとも……九条に『情報戦』の真髄を見せてやれ」



画面には『黒猫』の座標と 次々と起動する電子戦用兵器の群れが映し出された



そして...


閉鎖都市の遥か「下」

そこは 都市の最下層よりもさらに深淵


超広範囲に広がる高負荷区ーー人が「宇宙」と呼ぶ暗黒の虚空に浮かぶ孤独な惑星



『第一棄界』



その神座に 一人の少女が座っていた


モニターに映る地上の「掃除」という名の数字を見つめ 彼女は溢れる涙を拭いもせず呟く



「……ごめんなさい。でも これが世界を保つための代償だから……」



彼女の指先がわずかに震えるたび 地上で災害が連動する


少女は 手元にある九条弦から託された「断章」の一つを抱きしめた



それは漣の源生に呼応するように 静かに そして激しく鼓動を始める

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!


自らをもデバッグし 魂の感触で「死神」の中に眠る一人の少女を救い出した漣

そして 誰に頼まれるでもなく「客が来ねえと食わせられねえだろ!」と 持ち前のお節介で勝手に看板を書き換えて日常を強引に引き寄せた烈


不器用な三人がピザを囲み 偽装店舗『何でも屋』として歩み出した夜明け



しかし その足元に広がるのは 宇宙という名の深淵


次回、第一章『第二幕』開幕


「源生とアペンドの定義が深すぎるッ!!」

「宇宙が地下って……世界の構造どうなってんだ!?」

……と 少しでも心が動かされた方は

ぜひ【★★★★★】での評価による応援と ブックマークをよろしくお願いいたします!

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