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ラグ・コード:この世界は、最初から間違っている。〜世界を壊した大罪人の息子は不遇能力で汚名も理も覆す〜  作者: Kaいト
切り捨てし飢餓、その果てに秩序は成る

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零れ落ちた仮面、拾い上げた約束(前編)

本当にすみません!!

ちょっと書きたいこと多すぎて一話にまとめきれず...

前編後編に分けて投稿しようと思います...

空中


パイルバーストの爆流が夜空を焼き システムを粉砕された凛と リミッターを焼き切った烈が 放り出された人形のように闇へ投げ出された



ダイブから覚醒した漣の視界に 二つの「点」が落下していく光景が映る




(……落下地点は、ハイウェイの路面上。だが、あの速度じゃ激突死は免れない)



漣の脳裏に 数瞬先の「死」の着地ルートが青白い線となって描かれる




救う手立ては、一つしかない



(……使うのか? また あれを。解析屋としての『脳』を焼き切り 二度と演算できなくなるかもしれない……あの禁手を)



漣の思考に 自らに課した「絶対禁忌」の制約が過る





だが。




(……そんなガラクタみたいなプライド、こいつらの命と天秤にかけるまでもねえだろ!!)





今、漣の身体には 使い方もわからない『源生』が猛烈な勢いで溢れ出している



その奔流が、追記アペンドの代償を一時的に押し流し 漣に「禁忌」を飼い慣らすための通行証を突きつけていた。






漣は震える指で、エイジャスのキーを叩きつけた











「……二重遅延デュアル・ラグ……発動!!」




世界が 白銀の静寂に沈んだ


解析屋・漣の未来を代償に 世界の時間を二重に「遅滞」させる高等技術



重力に逆らうように 二人の身体が水中を漂うかのような緩やかな動きに変わる





「……ハッ、ハァ……」







血を吐きながら、烈が薄く目を開けた



自身の命を削り、愛機さえも「支点」にして放った一撃




烈の肉体は、もう一ミリも動かない





「……俺の、渾身の一撃を……くらわせた……から………俺より、……あいつを、優先しろ……。頼んだぜ、漣……」




烈の 掠れた声



自分のボロボロな体よりも 凄まじい衝撃に晒された凛の身を案じ 必死に漣へ「命」を託す




その必死な願いが 漣の演算をさらに加速させた






(……源生が、切れかけてる。限界だ……!!)




脳が沸騰しそうな熱を帯び、漣は二重遅延を『解除』した







それは…命を救うため『信頼(賭け)』












【漣 視点】


二重遅延を解くと同時に 慣性が一気に牙を剥く



漣は前へ、重力に従って落ちゆく凛の方へと 全身の筋肉が弾けるのも厭わず飛び出した





――ストッ、と。


衝撃を殺すように、漣は少女の身体をその腕の中に、優しく、しかし離さないように深く収め込んだ










【烈 視点】


二重遅延が解除された瞬間、烈の巨体に殺人的な慣性が牙を剥いた


烈は 意識の混濁した頭で本能的に身体を捻る





ズガガガガガガガッ!!




アスファルトに叩きつけられた衝撃を 烈は右拳と両脚を「楔」にして受け止めた


路面を削り、凄まじい火花と摩擦熱による白煙が烈の身体を包み込む



だが、その急制動すら 死線を越えた烈の肉体には過酷な代償となった




「……ガハッ……ッ!!」



速度は殺しきれない


烈の身体は 十数メートルにわたってハイウェイを抉りながら滑っていく




そして......








ドォォォォォォンッ!!







烈の背中が ガードレールの支柱をひしゃげさせながら激突した



その衝撃で 烈の首がガクンと力なく前に垂れる



「…………」




静寂


烈はひしゃげたガードレールに背中を預け 投げ出した足は力なく投げ出され 片膝だけが辛うじて立っている



凄まじい摩擦熱で ズタズタになったジャケットの裾から 陽炎のような白煙が立ち昇っていた




これは システムとしての『火事場力』の効果が残っていたからなのか


それとも 一人の男としての、本当の『火事場の大馬鹿力』が発揮されたのか




答えを知る者は ここにはいない




ただ 血に濡れた顔で深く首を垂れ、完全に意識を手放したその姿は、敗北とは無縁の、異様なまでの威厳を放っていた




顔は血に塗れ 意識はとうに失われているはずだ


だが その口元は、微かに……本当に僅かだが、満足げな笑みを刻んでいるように見えた




「…………」





それを見た瞬間、漣の胸の奥で 何かが静かに熱を帯びた


解析屋として、常に数字と効率 そして「個」としての最適解だけを追い求めてきた日々



他者というノイズを排除し続けてきた自分には 一生縁のない言葉だと思っていた





けれど。



漣は凛を抱き上げたまま 夜明け前の空を見上げる


視界の端で、烈が抉り取ったアスファルトの傷跡と、自分が焼き切ったエイジャスの光が混ざり合っていた



抉れたアスファルト。

ひしゃげたガードレール。


そして、すべてを出し切り、月光を浴びて静かに眠る一人の男


その凄惨で けれど何よりも誇らしい光景のすべてを 月は静かに照らし続けていた。






「……ふっ、……勝ったんだな。俺たち」







独白は、冷たい夜風に溶けて消えた






「俺」ではなく、「俺たち」。



その響きが、これほどまでに重く、そして心地よいものだとは





漣は一歩、また一歩と、重い足取りで歩き出す



背後で眠る最強の相棒と、腕の中で呼吸を取り戻した一人の少女


満月の光が 彼らの泥だらけの背中を押し、長く、力強い影を前方の道へと伸ばしていく



これが、彼らが命を賭して書き換えた 新しい世界の夜明けだった

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。


脳を焼く禁忌を犯してまで少女を抱き上げ、一人の人間としての温もりを噛み締める漣


そして、自分を二の次にして凛の命を最優先し、不敵な笑みを浮かべたまま満月の下で眠りにつく烈



ボロボロになりながらも 彼らが命懸けで掴み取った「俺たち」の勝利。


「烈の意地と、漣の決意に魂が震えた……!」

「満月の下の着地シーンが格好良すぎる……!」

「凛が救われて、本当によかった……!」

と感じてくださった方は、

ぜひ【★★★★★】での応援と、ブックマークをよろしくお願いいたします!

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