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ラグ・コード:この世界は、最初から間違っている。〜世界を壊した大罪人の息子は不遇能力で汚名も理も覆す〜  作者: Kaいト
切り捨てし飢餓、その果てに秩序は成る

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オーバーライド:死神という名の修正プログラム

書いてて胸が締め付けられた.....グハッ...

視界を埋め尽くすのは、燃えるような赤ではない


しんしんと降り積もる、静かな、けれど凍てつくような白



れんの意識が同調した記憶は、十数年前の、ある冬の夜から始まった。




大崩壊。

すべてを奪ったその災厄で父を亡くし、りんの中に芽生えたもの


それが、呪いのような超強力な追記アペンド...

慣性維持アクセル極点跳躍コード』だった。



それは存続させるだけで膨大な源生エネルギーを喰らい尽くす


日々やつれ、死の淵を彷徨う娘

最愛を誓った夫はもうこの世にいない



そんな地獄のような日々の中、母は一筋の希望に縋った



「娘さんを保護します。我々なら、彼女の命を繋ぎ止めることができる」



現れた治安維持局の言葉を信じ、母は泣きながら凛の手を放した



「凛、行きなさい。……絶対に、後ろを振り返っちゃダメよ」


それが、永遠の別れになるとも知らずに


凛の記憶の中で、母の背中は雪の中に溶けて消えていった




送られた先は、治安維持局員養成所


そこで凛の親代わりとなったのが、担当教官の佐伯さえきだった



そしてその傍らには、当時、凛の驚異的な適性に一目置き、頻繁に視察に訪れていた若き日の雨宮あまみやの姿もあった



佐伯さえき教官、甘やかしすぎですよ。……でも凛、今日の演習は実に見事だった。その集中力、僕らも見習わなくてはいけないな」



「へへ、雨宮あめみやさん、褒めすぎだよ」



三人の日常は、奇妙に穏やかだった


佐伯が父親のように凛を世話し、雨宮が兄のように彼女の才能を認め、共に未来を語る



「いつかこの力が、世界を平和にするために使えるようになるといいな」


そんな言葉を、凛は本気で信じていた




だが、運命は最悪の形で牙を向く



凛の才能が「神殺しの計画」の鍵として選ばれたのだ




「感情の、切り離し。それが、彼女を『成功サンプル』とするための唯一の道だ」



上層部からの命令を携えて現れた雨宮の顔は、幽霊のように蒼白だった



「……雨宮、正気か!? この子から心を取り上げるなんて、そんなこと……!」


「僕だって……僕だってやりたくない! でも、これが秩序だ。拒めば彼女も、君も、処分されるんだぞ!」



佐伯の咆哮が響く中、雨宮は唇を噛み締め、俯いた


今の冷徹な姿からは想像もつかないほど、当時の雨宮の表情には、取り繕うことのできない凄まじい「罪悪感」が滲み出ていた



冷徹なエリートとしての仮面が、その内側にある激しい感情で今にも割れそうに震え、悲鳴を上げている




そんな二人の様子を、凛は見ていた


自分のせいで、大好きな二人が傷つけ合い、泥沼の絶望に引きずり込まれていく





その光景は、幼い凛にとって、自分の身体が焼かれることよりも何倍も苦しい拷問だった




(……凛のせいで、二人がケンカしてる。雨宮さんが、あんなに泣きそうな顔をしてる……)





凛は、決意した







その夜、凛は一人で雨宮の執務室を訪ねた



「……おじさん。凛、やるよ。その、心を分けるやつ」



「凛……君、何を……」



「教官には内緒だよ。教官が悲しむのはもう嫌なの。雨宮さん、お願い……凛を、ちゃんとした『道具』にして」





雨宮は崩れ落ちるように膝をつき、凛の小さな肩に額を預けた



「……すまない。……本当に、すまない……」



嗚咽を押し殺した雨宮の声が、静かな夜の部屋に響く



冷徹であろうとすればするほど、内側の人間性が剥き出しになる


それは「秩序の体現者」としての彼が見せた、あまりにも無様な、そして人間らしい姿だった





だが、佐伯はすべてを悟っていた



「雨宮……君もその罪を背負う覚悟があるなら、俺に手を貸せ」


佐伯は密かに雨宮を呼び出し、最初で最後の「共謀」を持ちかけた




雨宮の権力と、佐伯の技術


二人は政府が求める「完璧な定数」を完成させつつも、切り離された凛の『心』に、いつか現れる「救世主」へと託す、時限解放式の暗号バグを仕込んだのだ








(……だからか。教官は、雨宮は……ずっと待っていたんだ。この最悪なシステムに風穴をあける、唯一の『正解エラー』が来るのを!)



れんは記憶の深淵、隔離された暗闇の中で膝を抱えて震えている凛を見つめる


彼女は、母との別れの痛みも、三人で笑い合った午後の光景も、すべてを「自分だけの罪」として閉じ込めて一人で耐えてきた



だが、今の漣はもう、孤独で....一人だけで背負おうとしていた『あの頃』の少年ではない




烈の無茶な走りに食らいつき、死神の鎌を間近で見て、そして今、凛の魂の叫びに直接触れた


その経験が、漣の中の『源生げんせい』をより研ぎ澄まされた『ちから』へと変えていた。



「凛……。もういいんだ。もう、後ろを振り返らなくていい」



漣の声は暗闇を切り裂くほどに澄んでいた。

最後までお読みいただきありがとうございます!


凛の過去、そしてついに発動した「暗号」

かつて彼女を愛した大人たちが、いつか現れる「誰か」に託した最後の博打を、漣がその手で引き受けました



「道具にして」と願った幼い日の少女を、笑って外へ連れ出す

今の漣なら、そんな無茶苦茶なハッピーエンドさえも現実に書き換えてくれそうです


次話、ついに覚醒した漣と、満身創痍で道を切り拓いた烈の最高にクールな反撃戦が幕を開けます!


「過去編の雨宮の涙にこっちまで泣きそうになった……!」

「凛ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

と胸が熱くなった方は

ぜひ、【☆☆☆☆☆】 →【★★★★★】で応援をお願いします!

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