紅の執行者
.......遅れました...
こ゛め゛ん゛な゛さ゛い゛!゛!゛
「烈ッ!! 意識を飛ばすな、食らいつけ!!」
漣の叫びが 時速200キロの暴風の中に突き刺さる
背後の死神。
あの子は街灯の光を吸い込む漆黒の姿で 烈の背後数センチの空間に「静止画」のように固定されていた
漣はそんな烈に己の全てを託し 自身のリソース全てをエイジャスによる死神の能力解析に回していた
【解析率:20%】
死神の手刀が大気を断ち 烈のヘルメットのシールドを粉砕する
「ガッ……!? まだだ、.....まだ行けるぜ!!」
烈は視界を奪われながらも アクセルをさらに捻り上げる
あえて死神の「固定域」へと車体をぶつけ カウルを削りながら無理やり進路を抉じ開ける
【解析率:40%】
エイジャスから漣の脳内に直接情報が送られてくる
「烈、あの子の能力の正体が見えてきた! 本来の『追記』は不確実なワープだ。」
「だが あの子は政府の『絶対命令』で....あぁクソッ、この先はまだ解析しきれていない」
「へっ十分だ!! で、この後はどうすればいい!?」
「あと五秒……! それで解析を終わらせる!!」
【解析率:60%】
「五秒だと? ……任せろ!!」
烈の瞳に 獣のような光が宿る
「追記:火事場力 解放率.....! 50%!!」
烈の全身の血管が浮き上がり 心拍数が臨界点を超える
(これは...完全に賭けだな。これまでの俺ならその覚悟が無かっただろうな......だが 今なら...)
烈は左腕のパイル・バンカーを真横、何もない空間に突き出した
「うおおおおおおおおおおおおおッ!!」
ドォォォォォンッ!!
至近距離で炸裂する圧縮空気の衝撃波
あえて反動を利用し ファルコンの車体を「物理的な限界」を超えて横滑りさせる
その無茶な賭けが 死神の手刀によるケガを 烈の鼻先を多少切られる程度に収めることに繋がっていた
【解析率:80%】
「烈……お前……!!」
「漣!こんだけ体張ったんだ!!収穫はあるよな!?」
「無論!!あの子の『絶対命令』、それが強さの根本だ。その実態は ワープ先の座標を世界そのものに直接指定している!!」
「??つまりどういうことだ?」
「ん....FPSでいうところの『オートエイム』に『壁抜けチート』を足したようなもんだ」
「よっしゃ!!ぶっ壊れてんな!」
【解析率:95%】
あの子の瞳が 初めて困惑に揺れた
烈は 無理やり横滑りさせた車体を力技で立て直すと バックステップで車体を蹴り上げ さらに加速する
全身の筋肉が断裂の悲鳴を上げ パイルの反動で左腕の感覚はとうに消えている
だが その限界を超えた「熱」が漣の回路に最後の一ピースを叩き込んだ
【解析率:100%……OVERFLOW】
漣の視界が 真っ白な光に包まれる
脳漿が沸騰するような演算負荷
視界の端から意識が剥がれ落ちていく
その 死と生の境界線
「解析」という概念さえも通用しない深淵の底で 漣はそれを見つけた。
カチリ、と
世界の歯車が噛み合うような静かな音が響いた
暗転
静寂
沸騰していた脳は一瞬にして凍りつき 空中に舞った烈の鮮血が真珠のように丸まって停止する
絶望的な極限の向こう側
システムも数式も届かない漆黒の深淵から それは溢れ出した
(……ああ。これだ。ずっと 俺たちの『中』にあったもの)
データの残滓でも 電子の火花でもない
理を統べ 理を書き換える脈動
ーーーー『源生』発現
その光が漣の神経系を駆け巡った瞬間、世界は一変した
漣はゆっくりと手を伸ばし あの子の背後に渦巻く赤いノイズ
その魂の拒絶反応に 自らの青い光を同調させた
解析を完遂した安堵と 極限状態での「源生」の発現
それが 本来なら物理的に隔絶されているはずの領域を 偶然にも繋いでしまった
「……あ?」
繋がった指先から 漣の意識が濁流に呑まれるように吸い込まれていく
ハイウェイの景色が歪み ノイズのトンネルを逆流し 辿り着いたのは漆黒の虚無に赤い雪が降り頻る 心の最深部だった
「……だれ? わたし、おなかがすいてるの……。ふれたら、消えちゃうよ?」
そこには 無数の黒い数式の鎖に縛られ 膝を抱えて震える一人の少女がいた
Q,いや急に源生って言われても分からねぇよ
A,漣含めて理解してるやつなんていねぇよ。
「考えるな、感じろ」理論だ!!
嘘です。冗談です。今後、必ず正体を判明させるので、今は上記のような雰囲気で読み進めてください...
最後までお読みいただきありがとうございます!
ついに覚醒した漣の『源生』!
そして、ボロボロになりながらも相棒を信じて走り抜いた烈!
「解析」という名のチート攻略が、ついに世界の理を捉えた第十五話、いかがでしたでしょうか。
【次回の更新告知】
今日、夜19:00頃に
第十六話「少女の涙」
を更新します。
「烈のパイル回避、マジで命懸けすぎて熱い!」
「源生に至るまでの解析率の演出に痺れた!」
と思っていただけたら、
ぜひ【☆☆☆☆☆】で応援をお願いします!




