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ラグ・コード:〜因果(バグ)を正し、汚名(フェイク)を暴き出す。物理法則が崩壊した世界で少年は全てを上書きする〜  作者: Kaいト
切り捨てし飢餓、その果てに秩序は成る

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最初の依頼人:迷い込んだノイズ

事務所、解析屋『黒猫』。

煤けた看板を掲げた二人の前に現れたのは、一人の少年と、一つの「呪い」でした


【第一章:切り捨てし飢餓、その果てに秩序は成る】

開幕。

九条解析事務所 改め 解析屋『黒猫くろねこ』。


入り口にれつが勝手に打ち付けた 端材に黒ペンキで書かれた粗末な看板は 早くも潮風に晒されて煤けていた。


「……だから、その看板は外せと言っている。僕の仕事は 隠密性が命なんだ」


「固いこと言うなよれん。記念すべき第一歩だろ? ほら 看板猫の『クロ』も気に入ってるぜ」


烈が指差した先では あの日以来居着いた黒猫が精密機器の排熱で温まったサーバーの上で不遜に欠伸をしていた。

漣がこめかみを押さえて溜息をついた その時だった。



――コン、コン。



震えるような 遠慮がちなノックの音。

烈と漣の視線が交差する。数秒の沈黙の後 表の扉がギィと音を立てて開いた。


「……あの、ここ……助けてくれるって、聞いたんだけど……」


立っていたのは 一人の少年だった。


煤けた顔に ぶかぶかのコート。その手には まるで生き物のように不気味な「赤いノイズ」を放つ 歪んだ記憶チップが握られていた。


「これ……治してほしいんだ。僕の……『家族』なんだ」


少年が語るには 中央区の端にある『廃棄場』で拾ったのだという。


漣は無言でチップを受け取ると 作業デスクに置いた。



少年の指がチップを離す瞬間に 指先が凍りついたように白く震えたのを 漣は見逃さなかった。


「……烈、基板の固定を。エイジャス 展開」


漣がデバイスを接続し 思考をダイブさせた直後...!

網膜に投影されたのは これまでのどんなバグとも違う「地獄」だった


「……っ!? なんだ、これは……」



通常、壊れたデータは無機質な文字列の羅列だ。



しかし このチップの内部は まるで剥き出しの血管がのたうち回っているかのような 有機的なコードに侵食されていた。


漣の指先がキーボードの上で凍りつく

赤い奔流がモニターを塗り潰し 一つの単語を刻印した



【 飢 餓 】



「……飢餓? 冗談じゃない」


漣の背筋に 氷柱が差し込まれたような悪寒が走る。

それはシステム用語でも暗号でもない。

ただの 剥き出しの「本能」がそこに鎮座していた。


「漣 どうした? 顔色が悪いぜ」


「烈……下がってろ。これは故障じゃない。データ自体が、外部の情報を拒絶して『捕食』しようとしている……。エイジャスが こいつを認識するのを拒否しているんだ。まるで 見つめたら最後、こちら側が喰われるとでも言いたげに」



その直後 デスクの上のチップが「ドクン」と脈打った。



赤いノイズが実体化し 細い触手のように少年の腕に絡みつく。


「あ、あぁ……! いたい、いたいよ……っ!」


「!? 理屈は知らねぇが こいつが『悪者』だってのは分かったぜ!」


烈がパイル・バーストを起動し 最小限の衝撃波でチップを弾き飛ばす


少年の腕を救い出したものの 床に転がったチップは死んでいない。むしろ事務所の電力を吸い上げ、闇の中でより深く 赤く 脈動を続けている


「少年。……悪いがこいつは預かる。今の俺では こいつの『腹の中』を暴くには時間が足りない」


怯える少年を帰した後、静まり返った事務所で漣は隔離ケースの中の「赤」を凝視していた


「なあ漣。こいつ 誰かが『捨てた』んじゃなくて……わざと『解き放たれた』んじゃないか?」


烈の呟きに 漣は答えなかった


ただ一つ確かなのは このチップの暗号化の癖に自分の知るどの組織とも違う、ぞっとするほど冷徹な「秩序」の残滓を感じたことだ


それは 特定の誰かを呼び寄せるための「餌」のようでもあった



事務所の隅で 黒猫が一つ 低く唸り声を上げた。


開けてはならない深淵を自分たちは開けてしまったのではないか

その予感だけが 重苦しい夜の闇に溶けていった

最後までお読みいただきありがとうございます!


持ち込まれたのは、あまりに禍々しい「赤」。

合理の化身である漣のエイジャスですら、その深淵を覗くことを拒絶しました。


画面に刻まれた【 飢 餓 】という不気味な二文字。


「誰かが解き放った」という烈の直感は、この先に待ち受ける巨大な嵐の予兆なのか。

孤独な解析屋と不敵な鉄杭、二人の絆が試される「開かずの箱」の物語が、ここから動き始めます。


【次回の更新告知】

本日、夜19:00頃に

第十二話「赤に奪われし「いぬ」の急襲」

を更新します。


少しでも「この謎、ゾクゾクする!」「続きが気になる!」と感じていただけたら、

ぜひ下の【☆☆☆☆☆】評価とブックマークで応援をお願いします!


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