第10話:死の記憶完全顕現・影王との決戦
廃墟の中心、空気が振動し、光と影が渦を巻く。
葵の胸にあった痛みが、今や力となり、全身を駆け巡る。
死んだ日の記憶、孤独、恐怖、そして守ろうとした人々――全てがひとつに融合した。
影王が翼を広げ、黒い影を一斉に押し寄せる。
──アオイ、これが真の力か。
死の記憶を取り込み、完全に制御するとは……面白い。
葵は拳を握り、胸の光をさらに強める。
「……全て受け止める!
死の私も、生きている私も、守りたい人も、全部!」
黒い渦が襲いかかるが、葵の光が反発し、〈声喰い〉の影が次々に吹き飛ばされる。
影の少女が叫ぶ。
「葵! 光を信じて!」
弟影も手を握る。
「ぼくも一緒だよ! 絶対に離れない!」
光と影が廃墟を揺らし、瓦礫が舞う中、葵は一歩ずつ影王に近づく。
黄金の瞳が鋭く光り、影王の翼が廃墟を叩きつける。
──さあ、来い、アオイ。
全力で受け止める覚悟はできているか。
葵の体から光が迸り、胸の痛みが力へと変換される。
──私は逃げない!
死の記憶も、影王も、絶対に逃がさない!
影王の影が渦を巻き、廃墟全体を押しつぶそうとする。
しかし葵は踏みとどまり、両手を前に突き出す。
光が黒い影を押し返し、〈声喰い〉の群れが散る。
──なるほど……お前の覚悟、力、すべてが私を超えつつある……
影王が翼を広げ、黄金の瞳に光を宿す。
葵は胸の奥で強く叫ぶ。
「これが私の力!
死の記憶も、影王も、すべて私が受け止める!」
黒い影と光が衝突し、廃墟が揺れ、瓦礫が舞う。
しかし葵の光が圧倒的に増し、影王を押し返す。
影王が低く唸る。
──これが……お前の全てか。
ならば、最後の戦いだ、アオイ。
葵は息を整え、目を閉じず、影王の目を正面から捉える。
──逃げない!
死の記憶と影王、すべてを私の手で終わらせる!
廃墟に光と影が激しくぶつかり合い、死の記憶の完全顕現と影王との最終決戦が今、始まった。




