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第2話:影の主 vs 葵・弟影

影の地面が揺れ、

無数の“影の触手”が地割れから湧き出してくる。


その中心で、影の主が仮面のような顔をゆっくりと持ち上げた。


『壊してやろう……

 お前の心も、記憶も、未来も……

 すべて影に還す』


低く響く声が、空気そのものを震わせる。


葵は息をのみ、拳を握った。

横で弟影が構えを取る。


『おねえちゃん。

 ここからはもう……逃げ場はないよ』


「分かってる。

 でも……負けない」


影の主が手を振ると、

触手の群れが津波のように押し寄せてきた。


「くっ……!」


葵は影拳をたたきつけ、

正面の触手を三本まとめて粉砕する。


だが次の瞬間、

背後から伸びてきた触手が足首に絡みついた。


『おねえちゃん!!』


弟影が飛び上がり、鋭い影刃で触手を切り裂く。


「ありがとう……! 助かった!」


『まだ来るよ!!』


頭上から巨大な影の塊が落下してくる。


葵は弟影を抱えて転がり、

衝撃を避けた。


ドォォン!!


地面が大きく凹み、粉塵が舞い上がる。


影の主はまるで遊ぶように笑った。


『人間……

 想像以上にしぶといな』


「簡単に倒れるわけないでしょ……

 あなたを倒さないと……弟が……未来が……救えない!」


主の仮面がわずかに傾いた。


『未来……?

 人間はいつも未来を口にする。

 だが未来とは──

 “過去を忘れるための逃走”にすぎん』


葵は歯を噛みしめた。


「違う……!

 私は……忘れるんじゃない……!

 あなたを倒すことで……初めて弟と……“前へ”進めるの!」


弟影も叫ぶ。


『おねえちゃんの未来は……ぼくが支える!!

 過去に飲まれさせない!!』


主の周囲の闇が揺れた。


『くだらん絆だ……

 影と人間など、本来相容れぬ。

 証明してやろう。

 その結びつきが……いかに脆いものか』


巨大な両腕が持ち上がり、

空間そのものが震えだす。


弟影が目を見開く。


『おねえちゃん!!

 来る!!』


次の瞬間──


ドォォォォン!!


主が地面を叩きつけた衝撃で、

無数の影柱が地面から噴き上がる。


柱の一本一本が槍のように鋭い。


葵は弟影を抱えるようにして跳ぶ。

影柱が背中すれすれを通過する。


「はぁっ……!! 危なっ……!」


だが避けきれなかった一本が、

弟影の腕をかすめた。


『っ……!』


「弟くん!!」


影でできた腕から黒い粒子が散る。


弟影は眉をしかめながらも笑ってみせた。


『平気……ちょっと痛いけど……

 これくらい……!』


影の主の仮面が静かに笑う。


『見ろ。

 影は壊れる。

 人間には守れぬ』


「黙れ……!!」


葵の体から、強い光が漏れ始めた。


弟影が驚いたように目を丸くする。


『おねえちゃん……それ……!』


葵の拳が光に包まれ、

影拳がさらに強化されていく。


「私は……守るって決めたんだ……!

 何度壊されても……もう目をそらさない!!」


影の主が腕を振り下ろす。


『ならば潰せるまでだ!!

 影の核──“深淵領域”!!』


地面が割れ、

巨大な口のように開いた。


その中から、

真っ黒な“核”が姿を現す。


弟影の顔が蒼白になる。


『やばい……!!

 あれは……本当の影の心臓……!

 触れたら即死だよ、おねえちゃん!!』


「そんなもの出してくるなんて……!!」


影の主がゆらりと腕を広げる。


『終わりだ、人間。

 その心臓を奪えば……

 お前も、弟の影も……永遠に我のものとなる』


弟影が葵の手をきつく握る。


『おねえちゃん……

 恐いなら、無理しないで……』


葵は首を振った。


「恐いよ……

 でもそれ以上に……悔しい……!!

 あなたを奪った“本当のもの”を……

 ここで倒さなきゃ……弟を救えない!」


弟影の瞳が揺れる。


『……おねえちゃん……!』


影の主が核を掲げる。


『来い。

 未来など幻想だと教えてやる』


葵は拳を握りしめ、

弟影と目を合わせる。


「……一緒に戦おう」


弟影が強く頷いた。


『うん……!

 二人なら……壊せる!!』


「いくよ──弟くん!!」


『うん!! おねえちゃん!!』


二人は、影の主へ突撃した。


最終決戦の幕が──

いま、開く。


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