表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/73

第2話:微かな違和感

朝がまだ街を包む前、葵は薄暗い路地を歩いていた。

昨日の紙切れの文字が頭から離れない。「今日、気をつけろ」――ただの悪戯ではない予感がした。


「なんだか……変な感じ」

小さく呟きながらも、足は自然に学校の方向へ向かう。

途中、古い商店の窓ガラスに映った自分の姿を見て、ふと息を呑む。背後の影がほんの一瞬だけ、こちらを見つめていた。


「……気のせいよね」

そう自分を納得させようとした瞬間、背後で声がした。

「葵、大丈夫?」

振り返ると、颯が立っていた。表情は冷静そのものだが、瞳の奥には何か複雑な光が宿っている。


「え、颯……?」

「昨日の紙、見たんだろ?」

一言で、葵の心臓は跳ね上がった。彼がどうして知っているのか、理由がすぐには分からない。


「な、何で知ってるの……?」

颯は無言で葵の前にしゃがみ、目を合わせる。

「危険なことが起こるかもしれない。だから……俺がついてくる」


葵の胸が熱くなる。頼もしさと、心の奥にくすぶる不安が同時に押し寄せる。

しかし、その時、路地の先から低い笑い声が響いた。

振り返ると、誰もいないはずの空間に、微かに揺れる影。


「誰……?」

背後で奏の声がする。彼女も何かを感じ取ったらしい。

三人の間に、一瞬の静寂が訪れる。


葵は小さく息を吸い込み、背筋を伸ばす。

「わかった……一緒に行こう」


それは、何も知らない平穏な一日の終わりを告げる、最初の一歩だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ