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第11話:揺れる心

庭の奥で立ち止まった三人。黒髪の青年の微笑みは、暗闇に浮かぶ月のように静かで冷たい。

葵の心臓は早鐘のように打つ。期待と恐怖、勇気と不安が入り混じり、胸の奥が締め付けられる。


「……どうして、ここまで知ってるの?」葵が小さく声を漏らす。

青年は答えず、地図の上に手を置きながらゆっくりと頷く。

「全てを知る必要はない。ただ、覚悟を持って進むことだ」


奏は少し後ろに下がり、顔を葵に向ける。

「大丈夫だよ、葵。私たち、一緒だから」

その言葉に、葵の胸に小さな温かさが広がる。

恐怖を抱えながらも、友情と信頼が心を支える瞬間だった。


しかし、倉庫街の奥から、低く不穏な音が響く。

影が壁を滑るように動き、三人の背後で微かに存在感を主張する。

「……まだ何かが待っている」颯が冷静に観察する。


葵は深呼吸をして、手の中の地図をぎゅっと握りしめた。

「怖くても、逃げない……行くしかない」


三人の影がネオンの光に長く伸び、夜の港町に静かに溶け込む。

しかし、その先には、誰も予想しない真実と、さらなる試練が待っていた。


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