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超短編集:想像力強化訓練  作者: 小桃 綾


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20/20

開かない扉を開けましょう

"普通の文章"から物語を考えてみました。

 いま営業部の佐々木君と二人っきりで、資料保管室に閉じ込められちゃいました♪


 終業時間になっても帰ろうとしない佐々木君に声をかけたら、明日の会議で使う資料が完成しないみたい。

 前々から気になっていた佐々木君の好感度を上げるために無理やり手伝い始めて、保存してる資料を佐々木君を連れて取りに来て、守衛さんに外から鍵を閉められました。


 なんというテンプレ!


 これは、『意中の人が残業』から始まって、『二人で閉じ込められる』を経由しての、『恋仲になってやがて結婚』っていうラブラブハプニングルートに入っているはず!

 守衛さんグッジョブ!

 きっと何処かに『虹色のファイル』とかが置かれてて確定演出もあるに違いないわ。


 ……ダメよ佐々木君。

 そうやってドアを叩いても大声を出しても、アタシの想いを示すようにそのドアも固く閉まってるんだから。


 ……ずいぶん必死に助けを呼ぶのね。アタシが困ってると思ってるのかしら。すごく優しくて嬉しいけどアタシは平気よ、佐々木君と一晩過ごす気満々だから♪


 ……どうせ開かないんだからもう諦めましょうよ。

 あ、恥ずかしくてこっちを向けないんだ。しょうがない、お姉さんがリードしてあげちゃうんだから♡


「佐々木君。アタシ、寒くなってきちゃった」


 寒いって言いながら上着を脱ぐけど子供じゃないんだから察してくれるよね。


「!? だっ、誰かっ! 誰か助けてっ!」


「ぐへへへ♡ 佐々木君、叫んでも誰も来ないよ(・・・・・・・・・・)



・・・・・・ガチャッ


「誰かいるんですかー?」



 えっ、なんで開くの? この時間なら誰もここに近づかないのに……

 ま、まさか……アタシが口にしちゃったのは──

 "生存フラグ"?


 『小説や漫画、ドラマでもよく聞く、この言葉のあとには8割の確立で助けが来る魔法の言葉』


 ……よ、良かったわね佐々木君。出られたよ。そんなに怯えた目をして、閉じ込められたのがよっぽど怖かったのね。もう大丈夫よ。

 ……なんで守衛さんに抱きつくの? あ、照れてるんだ。もうっ可愛いんだから♪



 ……さっきの悲鳴、本気(ガチ)っぽく聞こえたけど気のせいよね。

 はあ……佐々木君の心の扉は開けられなかったか。しょうがない、今回は諦めて次の機会を待つことにしましょう。



 数日後、セクハラで訴えられることを、このときの私はまだ知らなかった。

ハラスメントだめ! ぜったい!

(※良い子は真似しないでね♡)

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― 新着の感想 ―
最後まで読むと『アタシ』が漢女に思えてきたよ……………。 気が付くと、倉庫のような場所に閉じ込められていた。 窓はなく、唯一の出入り口と思しき扉には鍵が掛かっている。 鉄か何かは解らないが、まあ丈…
 やはりO型蠍座にはそういうところがあるんだ……。(笑)
あーあ。 現実はそんなうまくいかないんだよなぁ。
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