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計算機科学

フロッピーディスク規制の廃止とは?について夜眠れないので考えていたら迷走した!(63)

●FD廃止とはアナログ規制撤廃なのか?夜眠れないので考えていたら迷走した!(63)ーFD3


 ***


 またフロッピーディスクの話です。調子にのって加筆していたら長大になってしまい、幾つかのエピに分けることになってしまいました。


 その一つが今回の話です。以前の話とダブっている部分があって申し訳ないです。


 ***


 2024年6月から7月にかけて「悪名高いフロッピーディスク全廃」とか「フロッピーディスク戦争に勝利した」と言った報道がありました。日本政府の勝利宣言ですかね。


 フロッピーディスク(FD)は生産終了になってから10年以上も過ぎていますから、やがては使用したくても使えなくなるでしょう。FDを止めるのは時代の流れ。でもFDを廃止した後の代替手段は何でしょうね? ...、あ、磁気テープなら今でも元気ですよ。本シリーズの(7)を見てね!。


 多分ですけど、今回の改正前から「FD限定」という運用はあまり無くて、またFDの利用も相当に少くなっていたのだろうと想像されます。新聞記事にはFDの利用状況や改正後の代替手段についての言及が無さげで、具体的なところが不明ですけど。


 政府はリリース時にちゃんとした説明をしていないのかな? リリースでは言及しているけど新聞記事ではカットされているのかな。


 ...、と思っていたら新しいニュースリリースが出てました。2024年7月19日付け「フロッピーディスク等記録媒体に関する規制の廃止について」。アナログ規制とは何かの説明やFD規制の廃止はオンライン手続を可能とするためだ、とあります。


 新聞記事を読むより政府のニュースリリースを直接に読んだほうがノイズが少ない感じで分かり易いです。両方を読んで比較するのが良いのかな。新聞記事では「フロッピーディスクはアナログ“行政”の象徴」とか擦っているし。あははは。


 そんなんで結局のところ、FD規制の廃止で何が変わったのかなと興味がでて、ググっていたら具体例をみつけたので紹介します。


 今回はそんな話です。


 ***


 念の為の補足。


 FD規制の廃止とは、FDの使用を禁止して排除することではなくて、FD使用の義務付け(FD縛り)を無くすことです。

 見直しの方針には「オンライン手続やクラウド利用等に関する規定を整備する」とあります。


 ***


 厚生労働省には「医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・体外診断用医薬品及び再生医療等製品の承認・許可・認定・登録に関係するFD申請」という手続きがあります。「医薬品等FD申請」あるいは「FD申請」と略するらしいです。現在は「電磁的記録媒体申請(FD申請)」ってなってますね。


 「FD申請」なのですから当初はFDのみが使用できたのでしょう。全く詳しく知らないのですがFD申請ができる前はデータを印刷して全部を紙で提出していたようです。紙だと提出する側も、提出される側も大変そう。


 次に「FDその他これに準ずる物として厚生労働大臣が定めたもの」と変更されて「FDに準ずる物」が追加されました。

 これで厚生労働大臣が「FDに準ずる物」としてCD-ROMを指定して、FDでの提出は1%ほどに減ったらしいです。...、でもCD-ROM?


 今回の改正では、この「FDその他これに準ずる・・・」という文字列・・・が「電磁的記録媒体」と変わりました(施行規則の第284条の改正)。


 ***


 具体的に条文を確認しましょう!


 FD申請に関する法令は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」のようです。他にも関係する法令はあるかも知れません。


 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年8月10日法律第145号)

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和36年1月26日政令第11号)

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年2月1日厚生省令第1号)<ーーこれが改正★

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行細則(自治体毎にある?)


 最初、検索していて類似の法令が複数でてきて混乱してました(;_;)。あと「薬事法」って何?「薬機法」という法律もあるようだが...、調べたら皆同じものだった。知らないことばかり。フレームワークのメソッド名のようなものか。名前が長いことや結局はソースコードの確認が必要な点も似ている。


 それはともかく。この施行規則の第284条が、


 「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令」(令和5年厚生労働省令第161号)令和5年12月26日施行


 によって改正されました。省令を改正する省令!


 *


 省令は官報に掲載されて「公布」されるので、今ならインターネット官報のサイトで閲覧したりPDFファイルをダウンロードできます。


 具体的には令和5年12月26日の「号外271号」です。令和5年厚生労働省令第161号は14〜45頁にあり、その第14条(24頁〜)がFD申請関係です。


 官報を見ると、第284条の他にも大量の変更がなされたことが分かります。これは大変な作業です。


 *


 第284条の新旧を並べると「電磁的記録媒体」と「フレキシブルディスクその他これに準ずる物として厚生労働大臣が定めたもの」という部分が変更点ですね。


 ーー 新 ーー ーー ーー ーー ーー ーー ーー 

 (電磁的記録媒体等による手続)

  第二百八十四条 次の表の上欄に掲げる規定中同表の下欄に掲げる書類(医薬品(薬局製造販売医薬品を除く。)、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に係るものに限る。)については、これらの書類の各欄に掲げる事項を記録した電磁的記録媒体(●●●●●●●)並びに申請者、届出者又は申出者の氏名及び住所並びに申請、届出又は申出の趣旨及びその年月日を記載した書類(次項において「電磁的記録(●●●●●)媒体(●●)等」という。)をもつてこれらの書類に代えることができる。

 ーー 旧 ーー ーー ーー ーー ーー ーー ーー 

 (フレキシブルディスク等による手続)

  第二百八十四条 次の表の上欄に掲げる規定中同表の下欄に掲げる書類(医薬品(薬局製造販売医薬品を除く。)、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に係るものに限る。)については、これらの書類の各欄に掲げる事項を記録したフレキシブルディスク(●●●●●●●●●●)その他(●●●)これに(●●●)準ずる物として(●●●●●●●)厚生労働大臣が(●●●●●●●)定めたもの(●●●●●)並びに申請者、届出者又は申出者の氏名及び住所並びに申請、届出又は申出の趣旨及びその年月日を記載した書類(次項において「フレキシブルディスク(●●●●●●●●●●)等」という。)をもつてこれらの書類に代えることができる。


 第二項は省略。


 ***


 では、現在(2024年7月)のFD申請の手順を確認してみましょう!(雰囲気が分かる程度に簡略化すると)


 ・申請ソフトを使って(データ入力した後)、申請書を印刷します。それにハンコを押します。

 ・申請ソフトで出力したデータをFDかCD-Rに保存します。

 ・申請書とFDとかを窓口に提出します。


 現在でも申請に使えるのはFDかCD-Rみたい。FDも電磁的記録媒体に含まれるからね。だとしたら法令の文字列を変えただけでは?


 改正前は、施行規則で「FD or FDに準ずる物」と規定して、通達で「FDに準ずる物はCD-ROM」と指定していました。


 改正後は、施行規則では「電磁的記録媒体」として、通達で「電磁的記録媒体は、FDかCD-ROM」と指定しました。


 だから実態は同じなのですね。テキストフレーバーかな。


 この電磁的記録媒体を指定する通達(通知)は、


 「電磁的記録媒体を利用した申請等の取扱い等について(通知)」(令和5年12月26日付け医薬発1226第5号厚生労働省医薬局長通知)


 です(...、改正前は「厚生労働大臣が定める」という記述がありましたが、改正後はその記述が消えていて、局長通知でよい根拠が分からなかった。局長が指定するのが常識?)。


 これを最後まで読んだら「(7)その他」に、今後にFDの運用が困難になったら各機関で判断してFDは終了してよい旨の記載があり、各機関の事情によって個別に止められる(ことの法的根拠ができた)ことに意義があると理解しました。


 現用のFDDが使える間はFDで受け付けるけど、壊れたら終了って感じ。うん、FDフロッピーディスクの終は...、これで良いと思う。


 いきなり運用変更したら混乱が生じるだろうから。影響が出ないように配慮したのだな。というか、...。


 政府「フロッピーディスクを全廃しました」

  →「eGovで法令検索してもフロッピーディスクは0件です」

  →「フロッピーディスクという文字列は法令から通達に移しました」


 ...。という理解でよいのかな? よいですね?


 ***


 これがFD規制の廃止の具体例の1つです。


 記録媒体なんて5〜10年もすれば入れ替わっていくのだから、運用が楽になったと思えば悪いことではないね。


 もっと本当に意味のあるFD廃止もあるんでしょう。多分。


 ***


 FD申請のQ&Aには「提出いただいた電子媒体は登録後返却いたします」ともあり、感想欄で教えて戴いた通りでした。ありがとう!


 FDなら再利用できるけどCD-Rは無理。返却してくれるならCD-RWを使いたくない? 現場はどうなんでしょう。


 ***


 **


 *


 それにしてもね。この通達では「電磁的記録媒体」として


 ・JIS X 6281 に適合する CD-ROM

 ・JIS X 6223 に適合する FD

 ・DWAP提出データ(...DWAPは申請用WEBのこと)


 の3つを利用できる、としているのよ。正確にはね。


 何故にCD-ROMと指定したらCD-Rが使えるのようになるのさ。別の通達で「この通達のCD-ROMとあるのはCD-Rとする」等、読み替えを定義しているのかも知れないけれど。そうしているんですか?


 CD-RならJIS X 6282です。というかCD-ROMとCD-Rは違うって常識ですよね? 見かけが似ているとOK? CD-RWやDVD-Rで申請したらどうなるんだろう?


 そもそも申請のためにCD-ROMを製造プレスする場合があるのだろうか? CD-ROMは金型を作って工場で作るのだから最小ロット100枚とか作るのだけど。同じ内容のCD-ROMが100枚とか必要な申請があるの? ないよね? 1枚単位の工場もあるかもだけど割高になるよね。何故、CD-ROMとしたのだろう。


 *


 各自治自体で、FD申請や申請ソフトの使い方の説明で、


 >提出用申請データを出力します。「ファイル(F)」から「提出用申請データ出力」を選択し、「FD出力」又は「CD-R出力」を行います。


 >「FD出力」または「CD-R出力」を選択し、申請ソフトで作成したデータをフロッピーディスクまたはCD-R(RW))保存。


 などと案内しているから大丈夫...、なのか? CD-RWもOKになっているけど。電子媒体は自治体で自由に決めて良いルール?


 *


 あとね。DWAP提出データがあるのだけど。データは記録媒体かな。ZIPファイルを記録媒体だと言うような無茶をしているように読めるのだけどさ。「電磁的記録媒体」という用語は他の法令でも使用されているので、用語の概念を歪めるのは良くないですよ。


 この通達は「令和5年12月26日付け医薬発1226第5号厚生労働省医薬局長通知」でググるとPDFファイルが見つかるから読んでみてよ。この通達で廃止された1つ前の通達もググると出て来るから差分を見てみよう。前の通達の文面をほぼ流用しています。これって素直スナオに文面を改めることはできないのかな?


 ちなみに改正前の通達では「FDに準ずる物」とは「CD-ROM」と「DWAP提出データ」の2つと定めている。「準ずる」だから、ゆるーく解釈すればデータでも行けそうかも。でも「物」かと問われればダメっぽい感じ。電気は「物」でないから刑法が改正されたと習ったから、電気信号は物ではないね。...、もしかして「DWAP提出データ」はデータではないのか?「物」なのか?


 思うに、申請は紙による提出の他に電子ファイル(電磁的記録)の提出でも可能とし、ファイルを格納した電磁的記録媒体を窓口持参 or 郵送か、ファイルをネット(電子情報処理組織)で送信することにより行う、と言った感じにするべきでは。


 *


 IT後進国である日本のアナログ技術の象徴は、ここら辺にある気がしませんか?(誤用ですよー)


 ***


 色々ググっていたら、医薬関係の通達(通知)でも、「CD-R」や「光磁気ディスク」と記載しているものもあるのですね。作成者の趣味?


 ***


 **


 *


 このFD申請って、いつ出来たのかを調べてみました!


 FD申請は平成7年(1995年)にできたようです(平成7年2月23日厚生省令第4号)。


 「FDに準ずる物」は平成9年(1997年)に追加されたようです(平成9年3月27日厚生省令第29号)


 ...、多分これで合っていると思いますが調査ミスの可能性もありますので信用しないでね。


 1995年頃ならFDは元気でしたね。ソニー社が開発した3.5インチFDが世界中に広がっていた時代です。本シリーズの(61)でその歴史を紹介しています。


 1997年ならCD-Rの発売初期の互換性問題が克復された頃かな。CD-Rは太陽誘電社が発明し開発したもので、その規格はオレンジブックで、...。


 はっ!...、もしかして?


 CD-RのJIS規格は平成21年(2009年)の制定だから、JIS規格が無かったからCD-ROMにしちゃったのか?(CD-ROMのJIS規格は1992年の制定)


 FD申請される側のお役所としてはCD-ROMとして読み出せれば事実上問題無い、という判断か。当時(1997年)はそれでも止む無しか...、いや「CD-ROMあるいはCD-ROMと同様にリードアクセス可能な光磁気ディスク」くらいの記述にした方がよかったと思うけど。


 お役所の担当者が交代して、法令と通達に忠実になろうとしてCD-Rでの申請を拒絶し始めたら、それを差し止めることができるのか? 今後は旧来の日本人的な常識が通用するとは限らないだろうし。裁判所はどう判断するだろうか? データ記録したCD-RはCD-ROMと互換性があるからOKか?


 CD-RのJIS規格が制定された後はCD-Rに変更すればよいのに。

 CD-ROMのままにしたのはどうしてだろう? 何かお役人っぽい理屈があって、数十年続く伝統ある文面なのか。


 これが現在(2024年)まで引き継がれるとは! これがIT後進国なのか。


 *

 *(勘違いがあったので削除しました)

 *


 ***


 **


 *


 本編(?)はこれで終わりです。以下は余談です。


 ***


 利用可能な電磁的記録媒体について、法令や施行規則などは調べてないですけど、たまたま見かけた他の省庁の様子を、蛇足を添えて。


 *


 国税庁の法人税などの電子申告関係の光ディスク等の案内では、


  |種類 |サイズ   |規格   |記憶容量

  |DVD|12cm  |DVDーR|片面4.7GB

  |CD |12cm  |CDーR |650MB又は700MB

  |FD |3.5インチ|2HD  |1.44MB

  |MO |3.5インチ|※    |230MB又は640MB

  |※ ISO/IEC13963 又は ISO/IEC15041


 といった感じ。CDの規格がCD-Rでよいのかと思わなくもないけど。CD-Rのロゴが付いているCDって感じかな。700MBを利用可能とするの良いよね。FDやMOが残っているのは利用者がまだいるのかな? 国税庁のイメージ通りだな(個人の印象です)。

 Wikiの「(MOの?)規格は2000年代で消滅」という記載は何なんだろう? ISOもJISも現存しているけど? 抹消された規格もあったのかな。


 *


 年金機構は2020年でMOの受付を終了しているけど、年金機構だからな。ここは解体してよいと思う。納付した分を全部返して欲しい。


 *


 総務省。個人住民税の給与支払報告書などの提出で使用する光ディスク等では概ね国税庁の案内と同じなのですが、CD-Rは650MBのみで700MBが無いのがケシカラン感じです。

 現在(2024年11月)でも650MBのCD-Rを購入できるのかな?と思ってヨドバシCOMで検索してみたら、CD-R(650MB)は販売終了していて、販売しているのは700MBだけでした。そもそもCD-Rの国内製造は終了です(輸入するしかない)。

 自治体の案内を幾つか見ていたら700MBを(こっそり?)追加しているところもあってイイね!をしたいと思った。


 驚いたのは文字コードが「シフトJIS」なこと。いつの時代に決めたのか?(平成27年の通達までは遡れた)、...と思ったけれど。Windowsが(今はUTF8だけど)割と最近までデフォルトがシフトJISだったから、シフトJISなのが当り前か。シフトJISといっても色々あるけどマイクロソフト社のシフトJISかな。


 「漢字の水準」はJIS第1水準及び第2水準だって。シフトJISだからな。人名などの扱いが酷いね!


 こんなんではアナログ(アナクロ)行政と非難されて止む無しだよー


 *


 厚生労働省の雇用保険の手続きでは、使用可能な光ディスクについて、


 >CDの場合、CD-ROMで作成する場合は JIS X 6281、CD-Rで作成する場合は JIS X 6282、CD-RWで作成する場合は JIS X 6283 に準拠した記録媒体を使用し(以下略)

 >DVDの場合、DVD-ROMで作成する場合は JIS X 6241 または JIS X 6242、DVD-Rで作成する場合は JIS X 6245 または JIS X 6249、DVD-RWで作成する場合は JIS X 6248 に準拠した記録媒体を使用し(以下略)

 >受理された光ディスク等は返却されません。


 としている。CD-RやDVD-Rなどの実際に利用しそうな媒体が含まれている点は良いと思う。けれどCD-ROMは不要でしょう。JIS X 6282 準拠なら700MBはOKなのかな。準拠って曖昧。


 ***

 ***

 ***


 FD申請について調べていて見つけた通達(通知)などです。まだまだ間違いがありそうなので参考にはしないでね!


 ***

 * 第284条関係

 ***


 * 平成7年(1995年)


 「薬事法施行規則の一部を改正する省令の施行及びフレキシブルディスク申請等の取扱い等について」(平成7年3月31日付け 薬発第347号 厚生省 薬務局長通知)


 という通達(通知)があったようですが内容不明。


 * 平成9年(1997年)


 「フレキシブルディスク申請等の取扱い等について」(平成9年3月27日付け 薬機第52号 厚生省 薬務局 医療機器開発課長通知)


 という通知があって、


 >医療用具に係る各種の申請等については、フレキシブルディスク又は光磁気ディスク(以下「FD等」という。)によるほか、従来どおりの書面による申請も認められること。


 ここでは光磁気ディスク。だけどこの課長通知は「フレキシブルディスク申請等の取扱い」(平成9年3月27日付け 薬発第413号 薬務局長通知)を受けて発せられたものなので、局長通知では光磁気ディスクが具体的にされているかも知れません。


 * 平成17年(2005年)


 「薬事法施行規則第284条に基づくフレキシブルディスク申請等の取扱い等について」(平成17年3月31日付け 薬食発第0331024号 厚生労働省 医薬食品局長)


 >(5) FDに準ずる物として厚生労働大臣が定めたもの

 > 施行規則第284条第1項に規定するFDに準ずる物として厚生労働大臣が定めたものは、次のような構造及び記録方式の再生専用光ディスク(以下「シー・ディー・ロム」という。)とする。

 > イ JIS X 6281 号に適合する百二十ミリメートル再生専用光ディスクとする。

 > ロ シー・ディー・ロムへの記録方法は、JIS X 0606 号に規定する方法とする。


 この通達で下記の2つを廃止。

 ・平成7年3月31日薬発第347号「薬事法施行規則の一部を改正する省令の施行及びフレキシブルディスク申請等の取扱い等について」

 ・平成9年3月27日薬発第413号「フレキシブルディスク申請等の取扱い」


 この通達は平成9年(1997年)の通達を引き継いだのかどうかが興味深いですね。光磁気ディスクと光ディスクという用語の差があるから、...。どうなんだろう。2005年なら、CD-Rの TR X 0025:2000 が出来ていたので参照すればよいのに、と思う(TRは標準情報)。2005年7月には TS X 0025:2005 がでて、2009年にJIS規格になるのですが。


 * 平成26年(2014年)


 「フレキシブルディスク等を利用した申請等の取扱い等について」(平成26年10月27日付け 薬食発1027第1号 厚生労働省 医薬食品局長通知)


 >(5) FDに準ずる物として厚生労働大臣が定めたもの

 > 規則第284条第1項に規定するFDに準ずる物として厚生労働大臣が定めたものは、次のような構造及び記録方式の再生専用光ディスク(以下「シー・ディー・ロム」という。)とする。

 > イ JIS X 6281 号に適合する 120 ミリメートル再生専用光ディスクとする。

 > ロ シー・ディー・ロムへの記録方法は、JIS X 0606 号に規定する方法とする。


 この通達で下記の通知を廃止。

 ・「薬事法施行規則第284条に基づくフレキシブルディスク申請等の取扱い等について」(平成17年3月31日薬食発第0331024号)


 「施行」がないのは作成者の趣味だな。「百二十」より「120」の方が分かりやすよね。横書なら。でも「シー・ディー・ロム」はそのままか。


 * 令和3年(2021年)


 「フレキシブルディスク等を利用した申請等の取扱い等について」(令和3年4月26日付け 薬生発0426第5号 厚生労働省 医薬・生活衛生局長通知)


 >(5) FDに準ずる物として厚生労働大臣が定めたもの

 > 規則第284条第1項に規定するFDに準ずる物として厚生労働大臣が定めたものは、次に掲げる構造及び記録方式の再生専用形光ディスク(シー・ディー・ロム)とする。

 > イ JIS X 6281 号に適合する 120 ミリメートル再生専用形光ディスク(シー・ディー・ロム)であること。

 > ロ 記録方式は、JIS X 0606 号に規定する方式であること。


 この通達で下記の通知を廃止。

 ・平成26年10月27日付け薬食発1027第1号厚生労働省医薬食品局長通知


 ここで「再生専用形光ディスク」と「形」が入りました。



 * 令和4年(2022年)


 「フレキシブルディスク等を利用した申請等の取扱い等について」(令和4年2月16日付け 薬生発0216第2号 厚生労働省 医薬・生活衛生局長通知)


 >(5) FDに準ずる物として厚生労働大臣が定めたもの

 > 規則第284条第1項に規定するFDに準ずる物として厚生労働大臣が定めたものは、以下とする。

 > ア 次に掲げる構造及び記録方式のCD-ROM

 >  (ア) JIS X 6281 号に適合する 120 ミリメートル再生専用形光ディスク(CD-ROM)であること。

 >  (イ) 記録方式は、JIS X 0606 号に規定する方式であること。

 > イ DWAPにおいて作成する、FD等を利用した申請等の対象となる書類の各欄に記載すべき事項について記録した情報を提出するためのデータ(以下「DWAP提出データ」という。)


 この通達で下記の通知を廃止。

 ・令和3年4月26日付け薬生発0426第5号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知


 「シー・ディー・ロム」が「CD-ROM」という表記に。それとDWAPが追加。



 * 令和5年(2023年)


 「電磁的記録媒体を利用した申請等の取扱い等について(通知)」(令和5年12月26日付け 医薬発1226第5号 厚生労働省 医薬局長通知)


 >(3) 電磁的記録媒体として利用できるもの

 > 規則第284条第1項に規定する電磁的記録媒体として利用できるものは、申請等受付機関の体制を踏まえ、以下のものとする。

 > ア 次に掲げる構造及び記録方式のCD-ROM

 >  (ア) JIS X 6281 号に適合する 120 ミリメートル再生専用形光ディスク(CD-ROM)であること。

 >  (イ) 記録方式は、JIS X 0606 号に規定する方式であること。

 > イ 次に掲げる構造及び記録方式のFD

 >  (ア) JIS X 6223 号に適合する 3.5 インチFDであること。

 >  (イ) 記録方式は、トラックフォーマットとして JIS X 6225 号に規定する方式であること。また、ボリューム及びファイル構造は、JIS X 0605 号に規定する方法とすることにより、1.44 メガバイトにフォーマットされていること。

 > ウ DWAPにおいて作成する、電磁的記録媒体を利用した申請等の対象となる書類の各欄に記載すべき事項について記録した情報を提出するためのデータ(以下「DWAP提出データ」という。)


 この通達で下記の通知を廃止。

 ・令和4年2月16日付け薬生発0216第2号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知



 ***

 * 第268条関係

 ***


 * 平成12年(2000年)


 「薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて」(平成12年8月1日付け 医薬審第908号 厚生省 医薬安全局審査管理課長通知)


 という通知があって、第268条による届出に関して、


 >届書については、原則として、フレキシブルディスク(以下「FD」という。)又はCD-R(以下「電子媒体」と総称する。)の内容を紙に出力し、社印等を捺印した書面により届け出ること。


 >CD-Rを用いる場合には、640メガバイト又は700メガバイトの媒体に、追記不可能な形式 (ディスクアットワンス)で記録すること。


 ですって。2000年でCD-Rとする例もあるのですね。「ディスクアットワンス」と指定している点とかしっかりしている印象です。



 * 平成25年(2013年)


 「自ら治験を実施しようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて」(平成25年5月31日付け 薬食審査発0531第4号 厚生労働省 医薬食品局 審査管理課長)


 >なお、届書に加え、届出の内容を入力したCD-R又はDVD-R(以下「電子媒体」と総称する。)1枚を併せて提出することが望ましいこと。


 「自ら」は良いとして、それ以外の者は...、どう取扱いされるのか不安を感じるね。



 ***

 * 第253条

 ***


 * 平成17年(2005年)


 「薬事法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(副作用等の報告について)」(平成17年3月17日付け 薬食発第0317006号 厚生労働省 医薬食品局長)


 では、第253条による報告に関して、ですけど、


 >別紙様式第1から別紙様式第7までによる報告については、各別紙様式に掲げる事項を記録したフレキシブルディスク又はCD-R(ROM)及び報告者の氏名、住所、報告の年月日その他必要事項を記載した書類の提出による報告をもって代えることができること。


 とあります。何故にROMを付けたのか。


 * 平成25年(2013年)


 「「薬事法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(副作用等の報告について)」及び「独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する治験副作用報告について」の一部改正について」(平成25年9月17日付け 薬食発0917第1号 厚生労働省医薬食品局長通知)


 >(2) 市販後局長通知の記5(1)及び治験局長通知の記3(1)中「フレキシブルディスク又はCD-R(ROM)」を「CD-R(ROM)又はDVD-R(ROM)」に改める。


 FDを外してDVD-Rが追加されています。日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)における「個別症例安全性報告の電子的伝送に係る実装ガイド」に係る合意等に基づく改正らしいです。

 ROMが付いているのは国際的に合意されているのか?(笑)


 ***


 第253条、第268条、第284条と3つあるけど、バラバラなのはIT後進国っぽいですね。


 ***

 ***

 ***


 余談になりますが。


 eGovで法令検索してみたら(2024年7月)、「フロッピーディスク」では0件だったけど、「フレキシブルディスク」だと15件見つかった! あれれ?と思ったけれども大丈夫そうです。


 例えば(一部を抜粋します)、


 >同条第二項中「前条第三項」とあるのは「指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令の一部を改正する省令附則第二条第二項の規定によりなおその効力を有するとされる前条第三項」と、「「嘱託人」とあるのは「嘱託人等」」とあるのは「「第一項のフレキシブルディスクカートリッジに記録し」とあるのは「これを出力して書面を作成し」と、「同一性に関する表示」とあるのは「同一の情報である旨の表示」と、「指定公証人名」とあるのは「指定公証人名、その所属する法務局又は地方法務局の名称及び役場所在地」」とする。


 ...。これは? ...、「〇〇〇」とあるのは「△△△」とする、という構文だけど。じっくり読むが理解らない。エディタにコピーして改行して括弧の対応を整理して見ると。...FDは止めているようなのと、そもそも経過措置なので大丈夫。多分ね。


 C言語のマクロ定義って、デバックのときに挙動が読み切れなくて困惑することがありますよね。C言語のマクロは WHILE ループは記述できないけど FOR ループは記述可能で、つまりチューニング完全では無いけれどある程度の算法アルゴリズムを実装できるからです。


 だけど、法令でマクロ定義をやられると驚愕しますね。しかも多重になっている。こんなことをしてデバックできるのかな? 私とっても心配です。


 そう言えば、法令記述言語って整備は進んでいるのかな? PROLOGが流行したときに一部の法学者が反応していたけど。「または」と「ないし」等の法令に特有のトークンって形式的定義が必要ですよね。

 IT後進国だから法令に関するIT技術の導入も遅れているかも。職人さんがお役人にシバかれながら、一太郎を駆使して、地下3階の小部屋で手動で法令の修正作業をしていそう (;_;) (個人の妄想です)


 ***

 ***

 ***


 2024年8月7日現在、eGOVのアクセスが不調。「アクセスが集中しています」ってアタックされているの?


 >2024-08-07 e-Gov法令検索リニューアル後の不具合について

 >7月29日(月)にe-Gov法令検索をリニューアルしましたが、一部法令の条文表示において不具合が発生していましたのでご連絡いたします。当該不具合事象は8月2日(金)18時頃に解消しております。また現在、法令API機能においてレスポンスの低下が発生しておりますが、速やかに対応いたします。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。


 いえ、執筆が遅れた言い訳ではありません。


 ***


 アナログとデジタルが私は気になるのだけど。世の中はもう先に進んでいるのだろうな。


 アナログからデジタルに。ハードウェアからソフトウェアに。スタンドアロンからネットに。実世界から仮想世界に。そうしてスマートな世界に。


 だけど、もう一度アナログが見直される気がする。でなければ人からAIへと世界の主導権は移っていく。


 ***


 間違いの指摘とか疑問とか、ご意見・ご感想とかありましたら、どうぞ感想欄に!


 ***


2024.11.21 推敲と誤記訂正。

2024.11.22 推敲。

2024.11.23 微推敲。

2024.11.24 推敲と加筆を少し。

2024.11.25 推敲とJIS規格について誤解があったので当該部分を削除しました。ごめんね。

2024.12.1 推敲と加筆を少し。





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