4話 たった1か月ぶりなのに(ソフィア)
「わあっ。」
病院は中も、とても綺麗だった。
私の故郷はマリンフェスト領から山を2つ越えた先にある小さな町。
ロイヤル領と比べて技術や流行はだいぶ遅れてる。
まぁ、いうなれば田舎ですね。
その町にあるたった一つの病院は古びた木造の小屋。
クロードさん(おじいちゃん医師)と数人の地元の看護師で運営していた。
クロードさんは食堂の常連さん。
物知りでいろんなことを教えてくれるので私は大好きだった。
きょろきょろする私を出迎えてくれたのは母さんを診ているお医者さん。
なんとこの病院にはお医者さんが5人もいるんだって。
「ソフィアさんですね?サイモンと申します。」
そう言って母さんの病室に向かいながら注意事項を教えてくれた。
① 20分ごとに休憩をとること。
② 人混みを避けること。
③ 咳が出だしたら薬を飲ませること。
回復してきたとはいえ悪化させないために気を付けないといけないそうだ。
この病院のことも教えてもらって歩いているうちにあっという間に病室に着いた。
木でできた扉を開けると――――
「っ母さんっ!!」
ずっとボロボロのベッドに臥せって、
弱々しく私に謝ってばかりだった母さんが体を起こして微笑んでいる。
顔色が良くなって美しさが増している。
思わず駆け寄って抱き着くと懐かしい匂いがした。安心…。
杖は必要なものの、ちゃんと歩いている母さん。
「久しぶりね。ソフィア、大好きよ。」 どうしよう、たった1か月ぶりなのに
涙がせりあがってくる。
私はそれをごまかすように
「私も大好きだよ。」と言ってまた抱き着く。
サイモンさんにお礼を言いつつ私たちは職人街に出た。
職人街には服や小物の出店のほか、屋台などもある。
少し騒がしい通りを母さんとマリンフェスト家での出来事について話したり、
逆に病院でのことを聞いたりして歩く。
「…、私と同じ病室のサリーさんがそうおっしゃって、…」
「ふふふっ!なにそれ!」二人して苦しいほど笑う。
たわいもない話。
だけど久しぶりに聞いた美しく澄んだ凛々しい声に
幼いころを思い出してうれしくなるのだった。
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