5話 サファイアクラス(メアリー)
「またね、ソフィア!」
「はい。メアリー様もナタリー様も頑張って下さい。」
「ええ。もちろんよ。」
「ソフィアも頑張って。」
◆◆◆
生徒たちで溢れた廊下をしばらく進むと大きな木製の扉が見えてきた。
「わぁ…」
「ここが一年のサファイアクラスよ。」
その扉を開けると圧巻の光景が広がっていた。
ずらっと並んだ重厚感のある長机。
廊下までとは明らかに質の違う調度品の数々。
既にほとんどの人が座っている。
「君がメアリーさんだね。おいで。みんなに自己紹介してみようか。」
「は、はい!」
そう言って私を手招きしたのはこのクラスの担任、ロイ先生。
わっしゃわしゃの明るい茶髪で大きな丸眼鏡と白衣がトレードマーク。
(前世に通ってた高校にいたな。こういう感じの化学の先生。)
促されるまま少し高くなっている黒板の前に立つ。
好奇心いっぱいの目でこちらを見つめる人、
頬杖をついて気怠そうにしている人、
何かを一生懸命書いている人、
時々こちらを見つつ本のページをめくっている人。
(わあ。学校だ。)
「初めまして。メアリーと申します。よろしくお願いします!」
パチパチパチパチ…
「君の席はあそこ。名札置いてあるから。」
指を差された先に歩いてみる。
机の上にはまるで社長の机のような名札が置いてあった。
「メアリー、私はスザンナよ。よろしくね!」
「ええ、こちらこそ!」
隣の席は少し赤みがかったブロンドの髪の女の子。
蜂蜜色の釣り目がとても綺麗な子。
朝のホームルームが終わった後は始業式。
ヨーロッパの何とか宮殿みたいな大きな部屋には全校生徒が集められてる。
「この素晴らしい日に新たな年度を始められることを嬉しく思う。~~~」
周囲より人一人分高くなったところで話し出す学園長。
「この先生の話、長いのよね…。」
とスザンナがぼやいた。
「ねえ、メアリーって体が弱いのよね。大丈夫なの?」
…そういえばそれを入学回避の理由にしてたっけ。
「今は元気よ。でも~学園長の話長すぎて眠い…」
「ふふっ。私たち気が合いそうね。」
一緒に寝ちゃおっか、とすでに30分が経過している学園長の話を
聞き流しながら、前世の学年集会の時座ったパイプ椅子とは格が違う
ふわっふわの椅子で瞼を閉じたのでした。




