1話 何歳です…もごっ(ソフィア)
私が貴族となってから2か月ほど経った。
いまだに、メイドの方たちに身の回りの世話をされたり
すっごいキラキラふりふりしたドレスを着るのは全く慣れない。
私はこの二か月レオさんと共にマリンフェスト家に通う生活を送っていた。
意外と近いし住み込みのころより休みが多いからそんなに大変じゃないよ。
そしてこれから一か月。仕事をいったん休んで勉強に専念することになった。
言葉、マナー、数学、地理、歴史…などなど。
正直、平民だった頃通っていた学校とは比べ物にならないくらい
激ムズだった。
まあ、そりゃそうか。
だってお貴族様が幼少期から何年もかけて習うことを
たった一か月で身に付けなきゃだもんね。
私の先生になってくれたのは、レオさんと、、、
「エリスと申します。」
彼はレオさんの遠い親戚で、優秀な先生として有名なんだそうだ。
しかし…
「先生。」
「どうされました?」
「失礼ですが、、御年を聞いても?」
「ごほっ、ごほん。何かおっしゃりました?」
「い、いえ。」
どう見ても、10歳くらいの少年にしか見えないのだ。
紺色の髪にヘーゼルの瞳をしているので、
幼いころのレオさんってこんな感じだったのかなって思ったり。
でも。この先生めっちゃ怖い。
「そこ。まっすぐ。針金でも入れときましょうか?」
「同じ場所を間違えています。私の教え方が悪いのでしょうか。」
何この子っ、、、可愛い見た目して怖いわね。
でも。
「改善が見られます。努力しましたね。」
ちゃんと飴はくれるのだ。自分より幼い子(?)によしよしされると
ちょっとうれしいかも。
私は本当に頑張った。
寝る時間は前よりもずいぶん遅くなった。
起きる時間は早くなった。
メイドとしての仕事をしない分、全部勉強に費やした。
先生は時折私の進捗度合いに目を見張って驚いて、
鋭いアドバイスとは相変わらずだがたまに褒めてくれる。
先生は見た目に対して大人びすぎている。滅多なことじゃ動じない。
(だから驚かせるの、ちょっと楽しいんだよね。)
「これで必要な教育は終わりました。お疲れ様です。」
そう言われたのは月が3分の2ほど過ぎたあたりだった。
そのあとの一週間は少し予習をしつつ、
お茶会に参加して実戦経験を積むことになった。
ヤバい。緊張しかしない。
人としゃべるのは割と好きだ。
食堂の常連さんといろんな話をするのは本当に楽しかった。
でもね。それとこれとは別だって、、。
マリンフェスト家に来てから1年も経たないくらいなのに
もう私はお貴族様の一員になるんだって。
お貴族様の顔なんてできるかな?
そんな心配をしていたのも少しの間だけ。
お茶会は楽しかった。
叩き込んだマナーを携えて美味しいお菓子とともに談笑するのは
今までの努力のお披露目みたい。
貴族という、私には本来全く関わりのないはずの人たちの話は
噂話から過去の愚痴まで何を聞いてもただただ新鮮で面白い。
そうして勉強ずくしの一か月はあっという間に過ぎたのでした。




