別視点 ふわふわ(アルフィード)
メアリーの婚約者、アルフィード様です。
俺はアルフィード。この国の第三王子。
兄さんたち(第一、第二王子)はえげつなく優秀なので
俺が王になることはないだろう。
小さい頃から頭がいいと言われてきた。
俺はピンとこなかったが。
「アルフィード様こそ次の王にふさわしい。」
「賢王となってこの国を導いてくだされ。」
「神童だ。」
「神に使われし御子だ。」
めんどい。
大体頭がいいって何なんだろう。
ただ「忘れる」という機能が欠落しているだけ。
だから教師が言っていたことを覚えてるだけ。
…俺は自分が無知であることをちゃんとわかっている。
知識をただただ吸収していくことに何の意味があるんだろう。
もうなんか、すべてがめんどい。
そんな時だった。教師を論破して授業をサボり、街を歩いていた時。
屋台のおじさんが「パンはいらんかねー。」と言っている。
おなかすいた。
「一個ちょーだい。」
変装しているので王子だとは誰も気づかない。
隣を歩いている護衛は兄にでも見えているのだろう。
「はいよ。」
…――――パンって何だっけ。
俺、忘れたことないのにな。
俺の知っているパンは酵母を使って膨らませたもの。
渡されたこれはそれに見た目が似ても似つかない。
「なんかこれぺったんこ?丸くない。」
紙に包まれたそれを受け取ってまじまじと見つめる。
そんな俺を見て店主のおじさんは得意げに笑っている。
「だまされたと思って食べてみろ。」
ぱくっ
…「おいしい。」
見た目に反して普通のパンよりもふわふわしている。
ごちそうさま、と言って店を後にする。
そーいえばおじさんが作ってるときなんか白い粉入れてたな。
外国語で重曹って書いてあった。
重曹って食べれるんだ。また知識という名のごみが増えた。
確か重曹あっためたら湯気が出てしゅわしゅわするんだよね。
てことは水と空気みたいなのが出て来てるんだよね。
空気が入ったらふわふわになるよね。
クッションもそうだし普通のパンも中に穴が開いている。
水が入ったらぱさぱさしなくなるよね。
――――
「おじさんっ!このパンどうやって考えたの?」
走ってまた店に引き返す。
「さっきの坊やじゃないか。…これは俺が思いついたんじゃない。」
木の箱を後ろから取って見せてくれる。
「プリムラ商会っつー所でレシピを売ってるんだ。
一回買ったら数年間はうちで独占して売れる。」
兄さんたちにお土産として数個買っていこう。
帰ってきた俺は興味が湧いてプリムラ商会について調べてみた。




