10話 お名前は?(メアリー)
3の鐘が鳴る頃、
グウェンが少女の到着を知らせに来た。
「お嬢様、どうかご無理はなさらぬよう。」
「大丈夫。もう本当に元気よ。」
そして――――
コンコンコン
規則正しいリズムでノックが響いた。
ガチャっ
「こんにちはっ!ソフィアと申します。よろしくお願いします!」
◆◆◆
息が止まるかと思った。
本当にきれいな子。
手入れはされていないのであろう灰色の髪をおさげにしている。
髪型自体はそこらへんに無限にいる感じ。
でも銀色のなっっっがい睫毛に薄い整った唇、
彫刻、いや人形、、、すらも超えた美貌。
ほんとにこんなきれいな人見たことない。
どこかオリヴィアに似た雰囲気を感じる。
瞳は――――
「アースアイ…」
写真では分からなかった。灰色に見えていた瞳は星の光を
溶かしたみたいな銀色を青みの強い薄紫が炎のように囲んでいる。
宝石と並べても劣らないどころか宝石がかすみそう。
それらを合わせると、もう無敵だよね。
彼女をボロボロの髪や日に焼けた肌、シンプルなメイド服のまま
でいさせることがえげつない重罪に思えてくる。
あの神絵師の絵を実写化させるとこうなるのね…
(天使と出会ってしまった。)
「て…天使と出会っちゃった…」
私の心の声とソフィアちゃんの声が重なる。
私の顔もそこそこ可愛いかもしれないけど、、貴方は別格だよ。
「ふふっ。ありがとう。」
――――私をあなたに出会わせてくれて。
そのあと私は彼女と少し話すことにした。
彼女の故郷の話、働いていたという食堂の話、私の家族の話、
彼女の家族の話。
「私には父がいないんです。」
彼女の父親は彼女が生まれる前に他界したのだという。
だからずっと母親と暮らしていたそうだ。
「母はとても綺麗なんです。」
言葉遣いも仕草も声もお顔も、と彼女が続ける。
彼女が話してくれた母親の姿。
母はとっても強いんです。心が。
大事なものを守るためには手段を選ばず最善を追求する。
って感じで。
前にはこんなこともあったんですよ。――――
「ねえ、お母様のお名前は?」




