1話 お母さん、天使がいるよ。(ソフィア)
ピンク色のピカピカした布が贅沢に使われたシーツやら枕やらには…
(おっきい宝石。こんなん見たことないんだが)
私の爪程もあるカラフルな宝石がちりばめられている。
混乱しすぎて気づかなかったけど改めて部屋を見回すと全てが別格だった。
家具は全部鏡になりそうなほど磨き込まれて細かい装飾が施されている。
シャンデリアって実在したんだ。おとぎ話だけかと思ってた。
そして――――
この部屋の主である少女、メアリー・ロイヤル・マリンフェスト様も別格だった。
「よろしくね、ソフィア。」
そういって微笑んだ彼女は淡い水色のさらっさらの髪に真っ白な肌、
王家の血が濃いことを示す緑色の瞳はふわっふわのまつげで囲まれている。
神々しい、ちょっと大人びた雰囲気をまとう美少女。
12歳って言ってたっけ?幼いながらも洗練され尽くした美貌。
「て…天使と出会っちゃった…」(よろしくお願いします!)
――――やばい、衝撃過ぎて口に出す方間違えた。
やらかしたよね。 首、なくなるかな?
思考停止…
「ふふっ。ありがとう。」
メアリー様は柔らかく微笑んで嬉しそうに言ってくれた。
お母さん。ここに天使がいるよ。
メアリー様と少し話した後、私はきらきらした人、
もといこの屋敷の執事であるレオさんに詳しい説明をしてもらった。
…眩しい。美形だし、なんか纏ってるオーラがすごい。さすが貴族さま。
(メアリー様はまだ幼いから可愛いが勝ったけど)
「ロイヤル家、というのはご存じですね?王家の血を持つ四大貴族家の総称です。」
四つもあるんだ。知らなかった。
「国の海側を管理するこのマリンフェスト家、 鉱山を管理するジェラルド家、
森を管理するフォーリスト家、王都周辺の警備を管理するアリステア家。」
マリンフェスト家は主に貿易や漁業を取り仕切っているんだって。
「この家には旦那様と奥様、14歳の御子息とメアリー様と双子の姉君がおられます。」
「メアリー様、双子だったんですか?!」 …あの天使が二人も?!
「ええ。ナタリー様です。」
その後もこの家のことや仕事内容についていろいろ教えてもらった。
レオさんの方が偉いはずなのにずっと丁寧に接してくれる。
ヤバい扱いを受けたりして…という不安は薄れてきた。
よしっ!まだ頭は追いついてないけど頑張ろう!
もう何も考えんとこう!
この時、私は知らなかったんだよね。メアリー様の苦しみを。