8話 私の隠し持ったオタク気質(メアリー)
姿絵は見たことあるから見てすぐ王子だと分かったけど
話したことはおろか、直接見たこともない。
ほんとに何でここにいるんだろう?
ていうか。
(姿絵よりも美しいんだけど。どゆこと?)
眩しいわぁ。この世界に来て美形免疫ついたと思ったのに。
余裕で免疫突破してきたよ。
「メアリー嬢、体調は大丈夫ですか?」
お互いに驚きながら見つめ合って数秒。
アルフィード様が声を発した。
(やだ、声まで麗しいね。反則だよ…)
「ええ。少し寝たら楽になりました。」
「それは良かったです。」
格好いい…――――。
心の中に隠れていたオタク気質が暴れまわってることなんて
絶対に気づかれちゃだめだよ。メアリー。
それはそうとしてっ。
「第三王太子殿下、今日はどうなされたのですか?」
「実は…」
どうやら仕事でマリンフェスト領にしばらく滞在するので
私に会いたいと打診してくれていたらしい。
「旦那様は了承されていましたが
お嬢様が体調を崩されて帰っていらしたので…」byグウェン
…いや、ほんと申し訳ない。
「後日また出直してきます。ゆっくり休んでください。」
単なる俺の我儘ですし、と王子が続ける。
(しゅんとした顔も美しい…)
うぅ…じゃなくて!今はちょうど三の鐘が鳴ったところ。
視察に行った先で買ったお菓子もある。
せっかく来てくれたんだし!
「大丈夫ですわ。お茶でもしませんか?」
彼と話してみたかったんだあ。研究とか面白そうじゃない?
――――
そうして今、私たちはバルコニーにいる。
夕方特有のゆっくりとした時間と共に赤く染まっていく空を見つめる。
「俺は今、この国の人口データから商会と連携して顧客層の研究をしています。」
街と海を眺めて目を細めながら、王子は研究について話してくれる。
話は本当に面白かった。頭いい人って話すのも上手だね。
ついついたくさん質問したけど的確に答えてくれる。
話しているうちにどんな世界になってほしいか。
という話題になっていく。
「私はいつか、誰でも努力が報われてちょっと贅沢ができる、
そんな風になってほしいと思いますわ。」
ぽろっと言葉が零れ落ちる。
商会を立ち上げてもう大分経つけどその中でひそかにずっと思っていたこと。
視察に行くのは豊かな街ばかりじゃないんだよね。
ボロボロの建物の影にうずくまり物乞いをする人、
赤子を抱えてごめんね、と言いながら泣いている母親、
親とはぐれ痩せ細ってギラギラした目でこちらをにらむ子供、
広場の噴水も枯れてカラカラの風が街を切り裂く。
衝撃だった。
日本は割と平和だったし今は貴族として生きてるからね。
そんな光景を見たいわけがない。
そんなこんなで話しているとあっという間に時間は過ぎた。
結論。死ぬほど盛り上がった。
尊すぎるイケメンは中身も尊かった。 以上。
次に会う約束までしてお茶会はお開きとなった。
あんなに素敵な人。私が時間を奪ってていいのだろうか。




