7話 彼は天才。(メアリー)
メアリー視点に戻ります。
「はっくしょいっ!!」
私は風邪をひいてしまった。
一昨日から視察に来てるんだけどね、
今日は手違いで急遽、安い宿に泊まることになった。
びゅーーーー…
ぐぁっぐわっぐぁっ
じりりりりりりり
「さ、寒い…。」
隙間風が部屋の温もりをテイクアウトしていく。
もう秋だからね。ちゃんと寒い。
わあ。虫さん!カエルさん!こんにちはー。
ずいぶんと傍にいてくれるのね。
うぅ…。
じゃがいもを使った新商品の開発のため
今回の視察はだいぶ寒いところに来ている。
そうです!!!!
――――ポテトチップス!!
前世の私の巣ごもりのお供。
この世界に来てから食べてない。
もう禁断症状がぁーーー!
これまでも前世の食べ物をレシピにして売っていた。
ホットケーキとか。
宿はすんごい寒いけど、どうやって売ろう?
今日見た中でどのお芋がいいかな?
とか考えるとへっちゃらだもーん。
とか言ってたら見事に風邪を引いた。
朝起きると体がずーんと重いよぉ。
手違いを起こした従者はめっちゃ謝っていたけど
私もだいぶはしゃいでたからねー…。
一応中身大人だよ。アラサーだよ。 落ち込むわぁ。
心と身体へのダメージがダブルパンチで効いてくる。
羞恥心も相まってへろへろで帰還した私は
二人の優秀なメイドによってあっという間にベッドに放り込まれた。
朝一で向こうを出発したのでまだ空は明るい。
――――
どのくらい眠っていただろうか。
「〇×♯…」
「メアリー様は御身体を崩されて…」
ドア越しにかすかに声が聞こえる。グウェンと…誰かな?
「あ゛ぁ。…寒い。」
わあ。声がかっすかすだあ。
寝ぼけ眼で毛布をかぶったままドアを開けてみる。
「メアリー嬢っ!」
「メアリー様っ。」 ハーモった。
まんまるおめめのグエンと、、、誰だっけ?
あ。
「あるふぃーどさま?」
我が国の第三王子。
そして、私の婚約者様。
王家を表す真っ白な髪に深い緑の瞳。
芸術的な、彫刻のような顔立ちだがどこか甘い雰囲気だ。
二つ名は――――
「王家の秘宝」
第一王子は王にふさわしい貫禄がある。
(伝説:目線で、いや雰囲気だけで人を殺せる)
第二王子は社交性に極めて優れている。
(伝説:紅茶を一杯共にするだけで誰でも動かせる)
第三王子は天才。
(伝説:実は脳がコンピューター)
伝説は、私のイメージ。
この世界にコンピューターはない。
だけど、彼は本当に天才。
数学においては誰も勝てっこないほどつよつよだし
ほんとにいろんな分野の研究で活躍してる。
そんな彼はあまり表舞台に出ないがたまに出ると
その美貌で熱狂的なファンを大量生産しているのだとか。
彼も私も結婚願望が信じられないほどうっすいので
間に合わせで婚約が結ばれたっぽい。
経緯は知らない。気づいたら婚約してたからね。
だから会ったことすらなかったのに。
なんでここにいるんだろう?




