5話 ぼーっと(メアリー)
メアリー視点続きます。
そのあと私が国を滅ぼしたかって?
答えはNO.
カラカラの笑いの後にはもう何も残らなかった。
虚無。
転生してきたときさ、うれしかったんだよ?
オリヴィアが死ぬとは言えこのゲームが好きだったから
周りの風景が夢みたいだった。
ほら、前世でいうデ〇ズニ―みたいなさ、ワクワク感。
物語に入ってるっ!ていう。
それにみんな顔面偏差値高すぎん?!私の顔もなかなかだし
姉と兄の顔もやばい。(姉はほぼ一緒か)
両親もこう、なんか大人の美しさが溢れてる。
お父様の執事のレオだって顔が整ってる。
前世だったら全員数千年に一人の…とか言われてたんじゃないかな?
オリヴィアのためにって始めた商会だって心から楽しいって思えた。
誰かに必要とされてる。私を見てくれている人がいる。
前世、私がどれだけほしいと望んでいたものか。
転生者っていうチートはあるものの、あれだけ意義が見いだせなかった
前世が無駄じゃなかったんだって思えた。
やっとさっ…。
創作物感覚じゃなくてちゃんと生きてるんだって
思えるようになった。
――――オリヴィアを救えないって考えたことがなかった。
神様、なんで私をこのタイミングのゲームの世界に放り込んだんですか?
間違えちゃった?
おかしくなったとみなされた私は医師に診てもらうことになった。
優秀だと有名な医師は「何かショックなことがあったんでしょう。」
とだけ結論付けて帰っていった。
カーテンをきっちり閉め切ってベッド際のランプだけの薄暗い部屋で
ずっと壁を見つめている。
身体って、どうやって動かすんだっけ?
そんな私に家族はいろいろしてくれた。
父は長居はしないけど頻繁に来てくれて話しかけてくれる。
母は何も言わずに手を握って、頭を撫でて長い時は一晩ずっといてくれた。
姉は「今日ねこんなことがあったのよ。」と、なかなか見せないような弱音とともに
話してくれる。
兄は私の商会の事業を継いだらしく、仕事のことや街のことを
絵やお土産を見せながら話してくれる。
絵…ある時、数枚の絵を見せてくれた。
灰色の髪に灰色の瞳を持つ少女の絵。
綺麗な彼女は、眩しい笑顔で食堂?で働いている。
なぜかオリヴィアと重なる。
灰色の髪はオリヴィアの銀色がかった金髪と、
灰色の瞳は描かれる角度が変わるとわずかに青みがかって見えて、
オリヴィアの紫色の瞳と重なる。
「私、この子に会いたい。」
家族の優しい声掛けにも返せなかった凝り固まった喉が
かすれた声を紡ぐ。
ああ。声ってこうやって出すんだったね。




