4話 笑顔(メアリー)
ゲームが終わっていたことを知ってから、数か月後。
視察に行った先の町で衝撃の物を見る。
『稀代の悪女、オリヴィアを倒した正義のギロチン』
…え、、?
「っっっ。ふざけんなっ。」
あ゛あ゛あ゛~~~~~~~っ!!!!
自分の喉から絶叫が爆発したように放たれる。
視界が涙で埋まって周りの世界を漆黒に蝕んでいく。
このギロチンはこの町の、人気観光名所だった。
は? 何言ってんの? 何が正義だよ。
まだ、、まだ10年もたっていないんだろう?
この、黒い錆のようなものがこびりついた刃は人を殺したんだろ?
なんでみんな楽しそうに、興味深そうに眺めてんだよ。
オリヴィアが作中、悪事を働いたことは一度もない。
ゲーム上での処刑ルートでは悪行を働いている。
だから処刑されちゃった☆
だけどこれには続きがある。
悪行は全て勘違い、もしくは誰かの悪意によるもの。
オリヴィアの死後、ヒロインたちは何らかの方法でそれを知る。
真実を知ったヒーローが絶望する、というルートもあるが
もう遅いでしょ。今更絶望とか身勝手な。
それを知っているから。
「王子に勝手に惚れてエミリア様を殺害しようとした」
「敵国の王子をたぶらかして国を裏切った」
「国の金庫を食いつぶして気に入らなかった者を…」
などなど、、聞こうとしなくても耳に入ってくる噂。
そんな訳ねえだろ。
私は何のために転生してきたんだろう。
それとも私の前世の記憶とやらは勝手な妄想なのかな。
何のために生きていったらいいんだろう。
自分の存在への疑問、ヒーローへの、この世界への負の感情が
どす黒い涙とともに胸から溢れてくる。
こちとら死んでまでオリヴィアを救うことを望んだんだ。
ただの推しに対する愛情とかとっくに超えてんだよ。
どうせもう死んでるんだし…
もう何してもいいよね?
王様、コロシチャウ?コンナ国、滅ビテモイイヨネ?
――――
さっきまでボロボロと流れていた涙はいつの間にか止まっている。
代わりに腹の底からカラカラに乾いた笑いが溢れてくる。
「はははっ。ふふふっ。ははは…」
テンションがジェットコースターみたいに上下してる。
私の様子に周りの人や視察に一緒に来ていた兄たちはフリーズしている。
もう、何もかも滅んじゃえ。




