一足早い報告 (侯爵家当主視点)
私の間違い、それはマーリクを婚約者として選んでしまったことだった。
私がマーリクを婚約者として選んだのは、考えなしの行為ではなかった。
マーガレットは確かにすごい。
私など比にならない才能があるし、間違いなくこれからの国を作っていく人間だ。
……けれど、一人で突き進んでしまう時がないわけではない。
そう思ったから、私はマーリクをマーガレットの婚約者にした。
マーガレットの対極の能力を持ち、マーガレットの欠点を見抜く彼なら、きちんと補佐してくれるとそう考えて。
だが、マーリクが実際にその能力を使ったのは、マーガレットを上から押さえつけようとするときだけだった。
それに私は気づいていてさえいなかった。
その結果が、あの日マーガレットが心を折った日で。
──ハンスだけが、あの日のマーガレットを救うことができたのだ。
あの日が信じられない明るい笑顔で笑うマーガレット。
それに、私は小さく笑みをこぼす。
「……これほどマーガレットを支えるに足る存在がいたのに、気づかなかった私はとんだ節穴だな」
そう呟いてから、カーテンをしめた私はマーガレットからもらった書類に目を通し始める。
これまで散々マーガレットの手のひらで踊らされてきたのだ。
最後くらい意趣返しをしても怒られることもないだろう。
「……事前に準備を進めて、マーガレットの度肝を抜いてやるか」
そう口元に笑みを浮かべ、私は書類を読み進めていく。
その最中、私は壁に張り替えた肖像へと顔を上げた。
ふと口を開きかけて、私は苦笑する。
なんてこらえ性のないのだと。
「だが、これくらいは許してくれるよな」
マーガレットの婿になるハンスは全力でマーガレットを補佐してくれるだろう。
それこそ、自分の命さえなげうって。
そう考えて、私は肖像へと……その中にかかれた妻へと語りかけた。
「ようやく約束、マーガレットを幸せにすることができそうだよ」
答えはない。
けれど、肖像の中の妻がほほえんだ気がして、私は強引に口元を笑みの形に変えた。
……これでは、誰が見ても泣いていると言われれるな、そう思いながら。
これで完結となります!
途中更新遅れ気味になってしまい、申し訳ありません!
自称の方も早く終わらせないとなぁ。




