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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第九章 復讐の勇者と英雄達の晩餐
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英雄達の晩餐会に向けて

 朝、いつものファストフード店で食事をとる永戸達、各々がEフォンや新聞から情報を得ながらハンバーガーにかぶりついていた。


「ふむふむ…面白い情報がございますね」


 新聞を見ながら自身の能力で情報を集めていたフィアネリスがそう言う。


「何だよ、何かスクープでも見つけたのか?」

「えぇ、来週、各異世界の貴族や英雄を集めてミズガルズでパーティーをするそうですよ」


 新聞をたたむと、フィアネリスは自身のEフォンでその情報を出した。


「どうしてまた急に?」

「ミズガルズ議会から世間へのアピールかと、『我々は英雄達と共に幸せな世界を作っていきますよ』的な」

「また面倒な話だな…」


 ポテトをケチャップにつけながら、永戸はぶつくさいう。


「すでに各国から著名人が集まっており、この街に滞在してる者もいるそうですよ」

「へぇ…変わったやつもいるもんだ」


 そんな事を言ってると近くの銀行で爆発が起きる。こんなことが日常茶飯事な街だからなぁと3人は思った。

 すると、ピロンと3人のEフォンに通知が来る。


「仕事のようだな」


 永戸達は早々と食事を終えると、カバンを持って四課のオフィスへと向かう。


「今度の仕事は何でしょうかね?」

「どうせまたいつものロクでもない依頼ですよ」


 また今日も楽しい依頼が始まりそうだと3人は思い、オフィスへと向かった


 ーーー


 オフィスについた3人、自分の椅子に座って皆の到着を待ち、全員が集まったことで早速任務内容が公表された


「うむ、集まったようだね、では、今回の任務の説明と行こう、今回は三課との合同任務だ」

「三課って確か、要人護衛を目的とした部隊ですよね?」

「その通り、よく覚えているではないか、神癒奈君」


 ユリウスから褒められ、神癒奈は照れる。で、とユリウスは話を続けた。


「今回の依頼は来週行われる英雄や貴族を集めての議会のパーティーの護衛だ。本来なら三課の仕事なのだが、念には念をと言うことで四課も投入されることになった」

「念には念を? 何か懸念となることでもあるのですか? パーティーには自分で戦える英雄も出席するのでしょう?」

「確かに、このパーティーには英雄も出席する。だがその英雄が騒ぎを起こしたら誰が止める?」


 あーーーっと全員が納得した。そりゃあ四課も投入されるわと、それだけではないとユリウスは言う。


「このパーティーに参加する貴族も主義や思想が多数でね…亜人を許さぬ派閥がいたり能力者の優劣でモノを言う者もいたりと様々なのだよ…」

「そんなのが参加するなら尚更なんで四課呼ばれたんすか…」


 ゲテモノしかいない四課っすよと桐枝は言う。だがユリウスは頭を抱えた。


「厄介な事にその貴族達は全員イストリアに出資してくれている貴族達だ、万が一失態があれば我々の給料が来月から減らされると思ったほうがいい」


 だから四課をry、と全員が納得する。ユリウスも悩ましいのか頭を抱えて書類を眺めていた。


「先に言っておくが今回の任務は安全を考えて聖剣や妖刀、戦車砲などの殺傷能力の高い武装は禁止だ、現場の永戸君に判断は任せるが能力も制限させてもらう。総員、気を引き締めてかかるように」

『了解!』


 全員が敬礼をすると、それぞれ、デスクワークに戻った。


 ーーー


 仕事の合間の自由時間、せっかくなのでと永戸達はイストリア内部にあるジムに来た。


「ほーっ……こんな所まであるんですね?」

「ここにあるのは何も訓練場だけじゃない、プールに射撃場、武道場にこのジムと、隊員の鍛錬に励みやすい場所が揃っている。設備もきっちりしてるし各種能力に対応したトレーニングもできるぞ」


 そう言うと永戸は上着を脱ぎ、動きやすい姿になるとランニングマシンで走り出す。


「私もトレーニングしていきましょうかね?」


 神癒奈もランニングマシンになると、スイッチを入れて走り出す。最初は軽いジョギング程度であったが、数分経つと急に速くなった。


「わっ⁉︎ 速度が上がりました⁉︎」

「使用者の身体能力に合わせて適切な速度に調整されるんだよ、俺の方も同じだろ?」


 神癒奈は横を見ると確かに永戸の方もスピードが上がっていた。


「能力者の能力は何も手にしたらそれで全てじゃない、身体能力強化ならこう言ったトレーニングで効果をより高められるし、各種環境の能力も訓練を受ければ引き延ばせる、日々の鍛錬が大切って事だ」


 永戸はスイッチを押すとスピードをさらに上げ、身体能力にさらにブーストをかけていく。


「きりちゃんもこれやりたいっすー!」

「桐枝さんは…こっち…です」

「……ひぇ」


 桐枝も永戸達のところに参加しようと思ったが、エイルに連れられていく。桐枝のトレーニングの係はすっかり彼女が馴染んでしまったようだ。


「え…エイル先輩、痛くしないで…欲しいかなぁ」


 涙目で桐枝はそう言う。だがエイルは目をキラキラさせながらバーベルに錘を乗せていく。


「桐枝さんは…これくらいまで、いけます、よね?」

「いやーーー!! これ明らかにきりちゃんの体重の倍以上ある!! こんなの持てないっすよ!!! 腕が千切れる!!」

「大丈夫、私が支えてあげますから、だから、鍛えていきましょう?」


 はぁはぁと息を荒げながらエイルが桐枝にバーベル上げを強制する。そんな桐枝は泣きながらバーベルを必死にあげていた。


「君たちの努力の精神は素晴らしいけど、周りから気味悪がられてることも覚えておくといいな」


 そんな事を言うライはサンドバッグ相手に腕に錘をつけてパンチをしていた。こっちは盾で殴る時のトレーニングらしい。


「そうだよー? 無理しすぎて筋肉痛になって仕事に支障が出たら大変だからね」

「そ、そうっす! こんなのしてたら筋肉痛になる!!! だからもう少し重量を落と…うおおおおおなんで余計に重くするんすかエイル先輩!」

「余計な口を聞いたから」


 コリーが桐枝達のトレーニングを見ながら腹筋をする。そんな桐枝はあまりの重さに叫びを上げていた。


「……私もやってみましょうか」


 ほとんど生身となったフィアネリスもトレーニングに参加する。そうして四課のメンバー達は自身の力を高めていった。


 ーーー


 自由時間を過ごし、全員程よく汗を流したところで、お昼の時間がやってきた。食堂にやってきた神癒奈達は、券売機で切符を買っては作られた料理をとっていく。


「おっ、神癒奈っちにエイちゃん、お疲れ様や!」

「あ、シグナイトさん!」


 こっちやでーって手を振るシグナイトにつられて、神癒奈とエイルは同席する。


「聞いたで? 次の任務の話、三課と合同の任務やろ? 四課もあちこちに出張ってたいへんやなぁ、流石死神部隊」

「そうなんですよ、次はどうなることやら、また大きな事件が起きそうで」

「うんうん、分かるで、二課もトラブルが絶えへんからな」


 はははっ! とシグナイトは笑う。そう言えばと神癒奈は思った。


「あれから二課はどうですか?」

「変わらずや、けどレナルド課長があの事件以来よけーにピリピリするようになってしまってなぁ、四課の課長さんと揉めとったわ」

「あの二人……犬猿の仲に見えますものね」


 エイルの言葉で三人は二人の課長のことを頭に思い浮かべた。


【はっはっは、レナルド、部下を思う気持ちはわかるが私の部下にまで狂犬のような目つきをするのはやめたまえ、仕事に手がつかなくなる】

【黙れユリウス! お前の部下は何でもかんでも壊すのが得意な奴しかいないのか⁉︎ 化け物退治でトンチキ武器や大事な命を使うのもいい加減にしろ!】


「こんなこと言ってそうですね」

「まーウチの課長は部下思いやからな、そっちの課長もなんだかんだで助けてくれるかもしれへんけど、基本あの二人はスタンスが違うしなぁ」


 食事をとりながら三人は愉快な話をしていく。そんな中、シグナイトはある噂を言った。


「そういや、こんな噂を知っとるか? 最近、英雄殺しが暴れ回っとるらしいで」

「英雄殺し…永戸さんのことです?」

「いや…それが、なんか違うんらしいんや、四課のあの紅いのじゃないらしいねん」

「永戸さんじゃない? じゃあ誰なんでしょうか」


 英雄殺しと言われると神癒奈は永戸を連想した。しかし、ここ最近の任務では永戸はそこまで暴れ回っている印象はなく、単独任務でも英雄殺しと呼ばれるようなことはしていない。じゃあ誰だろうと神癒奈は思う。


「なんでも、その英雄殺しは本当に英雄を狙ってるらしいんや、なんでも、かつての大戦で活躍した英雄ばかりをな」

「殺されてはいるんですか?」

「されてはおらんな、お陰でイストリアはその事件をただの騒ぎとして処理しとる。殺し回っとったら四課が出るやろけどな」

「じゃあ何が目的なんでしょうか?」


 うーんと神癒奈は考える。すると、シグナイトはある事を言った。


「目的はー、人を探してるらしいんや」

「誰を?」

「誰をと言ったら…分からへんけど、同じ大戦の関係者ちゃうか? まー大戦を知らんうちらからすればかんけーない話やな」


 それを聞いて、神癒奈は永戸の方を向いた。永戸やフィアネリスも大戦の関係者だ。もし、その英雄殺しに襲われたらどうするんだろうと考えると、神癒奈は不安になった…。

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