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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第八章 神々の世界と全てを識る天使
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天使達の戦い

 天界が編成した天使の部隊と、ネアゼルが作り上げた機械天使との戦いが始まった。開幕の嚆矢となったのは天使達が一斉に放った波動砲だった。

 あらゆる種類の波動砲が放たれ、天界の空にいくつもの光が流れる。機械天使が何百と墜ちていくが、補充されるように新たな機械天使がまた立ち塞がり、今度は向こうが波動砲を撃ってきた。


「散開!」


 バカみたいな数で飛んできた波動砲を避ける。だが避けきれず、数騎が墜ちていった。


「数があまりにも違いすぎる!」

「恐れてはなりません! あの戦力をこのままにすれば、世界を滅ぼされてしまいます!」


 敵の数に恐れをなす天使達に、ミカエルが声を上げる。天使達も反撃で攻撃を開始した。

 空の上は乱戦となり、少数の天使達と大量の機械天使が互いにぶつかり合う。

 そんな中、フィアネリスは真っ直ぐに敵の中に突撃していく。


「敵のど真ん中に飛び込めば!」


 砲撃が飛んでいく中をフィアネリスは駆け巡る。波のように機械天使が迫り来るが、ブースターを展開し、一点突破で突き抜けた。


「熾天使フィアネリスが敵の中に⁉︎」

「あの天使…死ぬ気ですか⁉︎」

「いや…違います」


 他の天使が驚愕する中、ミカエルだけが彼女の意図を読めた。


「ここならば、火器は使えないでしょう!」


 機械天使達が蔓延るど真ん中にフィアネリスは浮く。機械天使達は武器を構えるが、砲撃による攻撃は飛んでこない。

 何故ならば、撃とうとすると、あまりの機械天使の数に、誤射の危険性があると判断され、撃てなくなったからだ。

 だが、機械天使たちにはまだ格闘攻撃が残っている。空中から次々と機械天使が襲ってくるが、フィアネリスはそれを全て薙ぎ倒し、先へと進んでいく。


「もっと早く、もっと突き抜けて…!」


 そう言いながら、彼女は大軍を蹴散らしていく。全身からありったけの弾を吐き出し、一気に突き進む。


「しかし、何処までやってもまだまだ出てきますね! ゴキブリか何かでしょうか!」


 見た目は自分と同じものをゴキブリと履き捨て、フィアネリスは敵を倒す。そうしているうちに敵の大群の中に一筋の光が見えた。


「あそこですか!」


 光が見えた方に波動砲をチャージしながらフィアネリスは飛んでいく。機械天使達もフィアネリスのしようとしたことを察したのか体を使ってでも止めに入るが、彼女を止めることはできなかった。


「ハイパードライブシステム起動!」


 その方向へ向けて、波動砲を連射すると、そのまま突貫した。槍で貫き、盾で防ぎながら真っ直ぐに駆け抜ける。そして、敵の大群を抜けると、目的となる研究棟が見えた。


「よっこいしょっ!」


 研究棟の窓を蹴破り、中に突入する。中は入られることが想定されてなかったのか、最低限の敵しかいなかった。


「そこをどけっ!」


 盾で機械天使を押しつぶし、フィアネリスはさらに先に進む。無機質な廊下を通り、研究棟の奥深くまで潜り込む。奥に行けば行くほど魔力の反応が高まり、生体反応も増大していった。


「ここです…ねっ!」


 ドアを蹴破り、広い部屋に出る。下の方を覗けば、機械端子を製造するプラントがあった。


「ここを破壊すればっ!」


 フィアネリスはプラントのある区画へと飛び込むと、槍を構え、波動砲を撃とうとした。だが直後、何者かに吹き飛ばされて邪魔されてしまう。


「完成した研究を今更破壊しにきましたか。試作機の癖に生意気な」

「くっ…ネアゼル…!」


 そこにいたのはネアゼルだった。普通の天使の装備の五倍以上の大きさの兵器に乗り込んだ彼が、フィアネリスをビットで突き飛ばしてきたのだ。


「ラグナロクプロジェクトは完成した。このプラントがある限り、もうだれにも止められない……だが、君は作り上げた親に反抗して、このプラントを破壊しようとしている」

「貴方が親? はっ、ロクデナシの人形好きをだれが親として認めますか」


 フィアネリスはそう言うとニタリと笑う。こんな状況でも、いつもの余裕そうな態度を崩さなかった。そう、アズウルとの戦いを経て、真の絶望を目の当たりにしたから、だからこそ彼女は立っていられた。


「人形風情が親に向かって歯向かうな。こうなったら君にもう一度初期化を施してやる」


 ネアゼルのその言葉で、フィアネリスに向かって数々の機械天使が襲いかかってきた。機械天使達がフィアネリスに組み付くと、フィアネリスのメモリーが汚染される。


「ぁ…ぐぅっ…!」


 頭の中に再び人形達の声が聞こえる。魂の奔流に晒されそうになるが、彼女はその声に惑わされずに、波動砲を至近距離で撃って機械天使達を退けると、その洗脳を解いた。


「何…?」

「甘く見てましたね? 同じ手が二度も通じるとは思わないでくださいませ」


 不敵な笑いを浮かべながらフィアネリスは言うと、波動砲をプラントに向けて撃ちまくり、機能を停止させた。


「……いいだろう。そこまで歯向かうならば、お前をスクラップにして、天使達の前で首を捧げてやろう! この、"バハムート"でな!」

「ならばこちらは貴方の計画を止める!」


 ネアゼルがバハムートのハッチを閉め、巨大な天使用兵装を起動させる。対してフィアネリスはそれと多数の機械天使が迫る中、青白い波動の光が宿る対艦槍と盾を手に、飛び出した。


 ーーー


 天使達が雲海で戦っている頃だった、神癒奈は数々の神から見られる中、誓いの儀式を取り行われていた

 いつもとは違う大きめの白い巫女服で身を包み、数々の神や天使達が祝福する中、彼女は歩く。そして、儀式の間につくと、そこにいたジュリアスに跪いた。


「全能神神癒奈、君は神としての力に目覚めた。我々天界の全ての者は、神の存在を認めよう。神癒奈、君は神としてどうする?」


 ジュリアスが手を差し伸べると、神癒奈はその手を取った。


「私は、この身に宿った神の力を使い、人と妖が…いいえ、全ての種族が分け隔てなく過ごせる、だれもが幸せになれる、そんな世界を作りたいです」


 そう言うと神癒奈は顔を上げた。その答えに、ジュリアスは微笑む。


「認めよう、君のその力も、君のその心構えも、君はこの瞬間から世界を統べる神だ」


 その言葉で、ワッと天使や神達が歓声をあげた。花吹雪が舞い、祝福される中、神癒奈は思う


(私は必ず、だれもが幸せになれる世界を作って見せます。だから…見ていてください、皆さん)


 これまで関わってきた全ての者達のことを思い浮かべると、神癒奈はそう心に誓った。


 ーーー


 アラートが絶えず鳴り響く中、フィアネリスは飛び続ける。ネアゼルが駆るバハムートと機械天使が追いかけてくる中、彼女は単機で戦っていた。


「このっ!」


 後ろから迫り来る敵へ目掛けて波動砲を撃つ。随伴の機械天使は倒せるが、バハムートには傷一つつかない。


「波動砲が効いてない⁉︎」

「当たり前だ! この兵装は今存在している全ての天使用兵装を凌駕している。魔物の素材が使われたBモデルや、都市伝説とされた最終究極互換装備があったとしても、このバハムートには勝てやしない!」

「ならばやれる限りの手で破壊するまで!」


 するとフィアネリスは脚部のハッチを開き、ミサイルを発射した。放たれたそれは機械天使が盾となって防ぐも、爆風で一瞬視界が見えなくなる。

 その隙をつき、フィアネリスはバハムートに接近し、首元に取りついた。


「高出力のレーザーで焼き切って差し上げますよ!」


 対艦槍を逆手で持つと、彼女はバハムートの装甲の隙間にそれを差し込む。内部が焼き切れる音が聞こえるが、するとここでバハムートはフィアネリスを乗せたまま壁に身体を叩きつけた。


「かはっ…!」


 重いバハムートの機体と壁に挟まれ、フィアネリスの強化骨格が悲鳴を上げる。そのまま壁を擦りながらバハムートは飛び、フィアネリスにダメージを与えた。


「何が…何でも!」


 だがフィアネリスは諦めず、突き刺した槍から波動砲を放つ。これによりバハムートは初めて効果的なダメージを受けた。かの機体は全力で身体を振ると、フィアネリスを引き剥がす。


(右第一、第二、左第一翼が欠損…慣性制御プログラムはまだ動いてる…ブースターは無事…まだ行けます!)


 自身のダメージを確認すると、フィアネリスは今度はプラントの方へ飛んで行った。


「プラントを盾にする気か! そうはさせん!」


 するとバハムートが高威力ミサイル"バルムンク"と弾そのものを自在に動かせるナノマシン波動砲を撃ってきた。ミサイルが飛んできた瞬間、フィアネリスはプラントの隙間に隠れて爆発を防ぐが、横から波動砲が迫り来る。


「不味いっ!」


 盾で防いだが、ここで、度重なる戦闘で限界が来たのか盾が破壊されてしまった。


「ちぃっ!」


 フィアネリスは焦りを見せながらも飛び、攻撃を回避し続ける。だが、敵はプラントへの被害も考えず、容赦なく、砲撃を飛ばしてくるようになった。

 ひたすら回避しようとするも、脚部のブースターが壊れ、装備がどんどんと剥がされていく。


「これで終わりだ! 出来損ない!」


 ネアゼルがそう言うと、バハムートの胸部から、フルチャージした圧縮波動砲が放たれた。高出力のレーザーが壁を焼きながらフィアネリスに接近し、そしてついに、フィアネリスの全ての装備が破壊されてしまう。


「あぁあああっ!」


 耐えられるダメージの限界を超え、フィアネリスは墜ちていく。そのまま地面に墜落すると、彼女は動きを止めた。


「くくく……出来損ないの、最後としようじゃあないか」


 バハムートが彼女を持ち上げると。手の力で彼女を握り潰そうとした。翼はへし折れ、腕や足から人工血液が垂れ流され、フレームが折れる。全身がバハムートの手につぶされると、彼女は投げ捨てられた。


「これで、邪魔をする者はいなくなった! 何もかも全て、この兵器で滅ぼしてくれる!」


 その場には、ネアゼルの笑い声と、機械天使達の拍手しか聞こえなかった。

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