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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第七章 信仰と病の町
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狂信の神殺し

 巨神アヌバとの戦いが始まり、永戸と神癒奈たちは散開するする。


「周辺には大量のアヌバウィルスが散布されています! 防護服があっても近づくだけで危険です!」

「知ったことか! ここで止めなければ今度は世界が危ないんだぞ!」


 防護服を着た永戸は、忠告をする二課の隊員の話をよそにアヌバに近づく。

 アヌバはまずは永戸に向けて拳を振り下ろすが、いとも容易くそれを回避すると、イクセリオスに光を充填させ、光波として打ち出した。

 アヌバの表面に傷がつく。修復されてる様子はない、回復効果などは持ってないようだ。


「時間との勝負だ! とにかく高い火力の武器や能力で一気に叩くぞ!」

「はい!」


 続いては神癒奈の攻撃、アヌバの背中に回るとその背中を駆け上がり、同時に夜廻桜を切り上げた。


「その身を焼き貫け! 『業火!』」


 空中に飛び出すが、間髪入れずに焔の槍を何本も飛ばした。それは表面に突き刺さるが、流石に相手が巨大すぎるせいか蚊に刺された程度の攻撃にしかならない。


「なら…もっと強大な力で…!」


 神癒奈は加速の力場を発生させると、そこに業火の術式を混ぜた。先ほどより大きく長大な焔の槍が形成される。


「『業火・改!』」


 より威力の高い槍が射出され、アヌバの体を貫く。今度はダメージが大きかったのか、アヌバも怯む。


「エイル先輩、体お借りします!」

「わかりました」


 エイルが支える中、バラウール重戦車砲をコリーはアヌバに向ける。そして照準を合わせると、重戦車砲を撃った。それはまっすぐ飛んでいき、アヌバの胸元に着弾する。直後、かの者の体が一部弾けた。


「フェイタルポイント、着弾確認!」


 だが一撃で終わらせない、次の致命傷を負わせるためにコリーは素早く照準を合わせると、二射目を撃った。今度も上手く命中し、アヌバの体を崩す。


「まだまだ!」


 何度も何度も重戦車砲を撃ち、アヌバの体を削っていく。


「きりちゃんの出番っすね!」


 桐枝が走ると飛び上がって聖剣エルメイルを振り上げる。すると、聖剣は光の力で何倍も光を伸ばしアヌバよりも巨大な剣となった。


「いっけぇえええっ!」


 聖剣を振り下ろすと、アヌバが肩口から斬られた。

 桐枝はやったと思うが、直後、アヌバの顔で光が放たれると。光線が飛んできた。


「危ないっ!」

「ライ先輩! ありがとっす!」


 光線をライがふせぐと、2人は自由落下で落ちていく。


「まだまだ楽しませてくれそうですねぇっ!」


 その上空をフィアネリスが飛び、カメラガンで敵の姿や全体像を記録する。観測データが取れ、アヌバの弱点などが丸裸になった。だが、アヌバは上空を飛ぶフィアネリスを見つけると、光線を発射して彼女を撃ち落とそうとする。


「おっと!」


 寸前で回避を繰り返し、フィアネリスはアヌバの気を引き続ける。腕も振り上げられてくるが、すり抜けるように飛んで避けた。


「切り刻む!」


 永戸がリヴァンジェンスⅡのブースターを展開すると、イクセリオスの二刀流で回転して切りつけた。


「次だっ!」


 聖剣の光をのばすと、零の能力を発動させ、複写で全力の斬撃を重ね合わせた。アヌバの体が突き飛ばされる。

 ダメージは徐々に蓄積されている。このままいけば倒せる。そう思っていたが、アヌバが咆哮をした途端、異常事態が発生した。


「アヌバウィルスの周辺濃度が上昇! ここは危険です! 撤退を!」

「ひけるか! もうとっくに感染されてる! 戦闘を続行するぞ!」


 二課が止めにかかるが、永戸達は引かない。このままこいつを放置していたら次に危険になるのは世界だ。どうせもう感染してるんだと永戸達は止まらない。

 するとアヌバは黒い影を大量に召喚した。


「数が多すぎる!」

「しかもあいつ本体から召喚されてるっすよね⁉︎ 倒すのは実質無理じゃ…!」


 コリーと桐枝がそう言ってるうちに大量の影から線が一斉に飛んできた。永戸達はそれを一つ一つ避けていくが、このままでは攻撃に転じれない。


「くそっ! 避けるだけで精一杯だ!」

「なんとかしてあれからの攻撃を止めないと!」


 そう言ってると、別の方向からアヌバに攻撃が飛んできた。二課の者達が攻撃に参加してくれたのだ。


「死神! 少しでも役に立つなら俺たちも戦うぞ!」

「感謝する!」


 二課が攻撃に加わってくれたことで影からの攻撃が分散された。

 依然として敵の攻撃は激しいがなんとか攻撃を入れられる程度には敵の攻撃は薄くなった。


「神癒奈! ぶっつけ本番だ! 必殺技を試すぞ!」

「はい!」


 そうすると2人は並んで立ち、神癒奈は体内の魔力を全開にして永戸に回し、永戸は聖剣の光を極限まで高め、巨大な剣にした。それは、2人合わせて聖剣を最大火力で解き放つ合体技だった。


「魔力充填できました! いつでもいけます!

「光を放て! イクセリオス!」


 イクセリオスの光線をアヌバにぶつける。アヌバの前に影が立ち塞がるが、その影すらも消し飛ばしながらアヌバを貫いた。

 だが…まだ止まらない。どうやらウィルスで周囲の生気を吸い取って回復しているようだ。


「次弾装填!」


 今の一撃で永戸の魔力は枯渇するも、神癒奈から急速充填を受ける。一撃では終わらせない。もう一度イクセリオスから光を放つと、二度目の光線を飛ばした。二度目の斬撃も命中、アヌバに再び大穴を開ける。


「次弾そうて……ごふっ…!」

「永戸さん!」


 過剰な魔力の供給と奪われていく生気で永戸は血を吐き倒れかける。だがそこで、彼は踏ん張り、再び立ち上がった。


「まだだ…!」


 そうして再び魔力を充填しようとするが、ここでアヌバからカウンターで光線が撃ち返されてきた。


「させない!」


 神癒奈が前に立ち、力場を発生させて光線を防ぐ…なんとか防げているが向こうも相当の魔力を消費しているようで、高威力の光線が力場ごと永戸達を消し飛ばそうとした。


「フィアネリス先輩! きりちゃんを運んで欲しいっす!」

「分かりました、どのようにすれば?」

「あのデカブツの真上まで!」


 桐枝の頼みを聞いて、フィアネリスが桐枝を掴むと、彼女をアヌバの真上まで運んだ。


「ここで降ろして本当によろしいのですね⁉︎」

「はい! あとはきりちゃんにお任せあれ!」


 そう言うとフィアネリスははるか上空から桐枝を離した。アヌバに目掛けて桐枝が垂直で降下してくる。


「エルメイルの最大出力で、ぶった斬る! ちぇええすとおおおおおっ!」


 空中で回転を加えると桐枝はエルメイルから光を放ち、真上からアヌバに向けて切り落とした。その一撃を受けて、アヌバは体が真っ二つに裂け、核が露出する。


「いけぇええええっ! 先輩!」

「ありがとうございます! ……永戸さん!」

「あぁ、これで決める! オーバーチャージ、出力を限界まで高める!」


 イクセリオスの力を限界まで引き出すと、放たれた光が天まで届く。同時に神癒奈は加速の力場多重に発生させアヌバに向けて最大以上の火力を撃ちだす準備をした。


「「いけぇえええええええっ!」」


 2人の声と共に、イクセリオスを振り下ろすと、轟音と共に光が放たれ、加速の力場を通ってどんどん威力を増し、巨神アヌバを貫いた。

 光と共に空を覆っていた黒い雲は晴れ、力の源を失ったアヌバは崩れ落ちる。

 直後、アヌバが奪っていた生気が爆縮し、霧散して元にあった者達へともどっていく。


「……やったな」


 焼けついた大地に剣を突き刺し、永戸と神癒奈は倒れたアヌバの残骸を見る。この町全体の悲劇を起こした巨神の末路だと思うと、永戸は息を吐いて、神癒奈と拳を合わせた。


 ーーー


 その後、アヌバウィルスは根源となるアヌバが倒れた事により消滅し、町はひとまずの平和が訪れた…だが。


「…やりすぎたな」


 聖剣の光を思い切り引き出しすぎたせいか、街にはその余波が降り注いで大穴が空き、遠くの山にすらぽっかりと穴が空いていた。

 町の人も良い状態ではない、殆どの町の人がウィルスに汚染された死体であったことによって、町の住民はほぼほぼ死滅、この町は放棄されることとなった。


「なんだかやりきれませんね」

「そう言う任務もあるさ、俺たちの仕事は、たいていそう言う名の尻拭いだからな」


 神癒奈からの治療を受けて、2人は町を後にする。二課のキャンプでは、戦闘での怪我人の手当てや事後処理などで忙しくなっていた。

 そうだと神癒奈は思い出す。シグナイトの方はどうなったのだろうかと。

 隔離室の方へ走って行き、扉を開ける。すると、直後に中からシグナイトが飛び出してきた。


「神癒奈っちーっ!」

「シグさん⁉︎ 動いて大丈夫なんですか⁉︎

「うん! 神癒奈っちのおかげでみんな元気になれたんや! ほんまに、ほんっまに感謝やわ!」


 尻尾をブンブンと揺らしながらシグナイトは神癒奈と頬擦りをする。取り敢えず彼女達は無事だったようだ。


「よかったです…シグさんが無事でいてくれて」

「……約束、されたもんやからな、あんな約束しといて、勝手に死なれたら神癒奈っちが可哀想やろ。だから気合いで耐えてたんや」


 そう言うとシグナイトは神癒奈を立たせる。


「ごめんな…心配かけて、足引っ張ってもろて」

「良いんですよ、終わったことですから」


 そう言ってにっこり笑うと、シグナイトを抱きしめて頭を撫でた。

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