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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第六章 誰が為に行く英雄と光放つ聖剣
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女王蜂

アーリアが指示を出すと、なり損ないの兵隊蜂達が毒針を構えて攻撃を仕掛けてきた。


「っ!」


四課のメンバーはそれぞれの武器で毒針を防ぐが、毒針から滴る液体が飛び散ると、壁が溶けていった。


「こんなのに当たったら…風穴が開くだけではすみませんね…!」

「だから、そうならないようにまずは掃除です!」


神癒奈は自分に襲いかかってきた蜂を斬り倒すと、焔を出す。


「『劫火!』『狐火!』」


室内に焔が撒かれ、焔に燻されてなり損ない達は次々と空中に逃げていく。


「これで簡単には近づけませんよね! フィアネリスさん!」

「はいはい! 空中はお任せください!」


空中に逃げたなり損ないの兵隊蜂に向けて、フィアネリスが空中に飛び出すと、対艦槍で次々と貫いていった。


「バカね、私の兵隊はもっと呼び出せるのよ!」


そう言うと、アーリアは次の兵隊蜂を召喚し、使役し始めた。しかも今度は重装の盾持ちまでいる。盾持ちの方は地上でしか動けないようだが、神癒奈の焔を受けても耐えていた。


「行きなさい!」


アーリアの指示を受けて盾持ちの兵隊蜂は永戸達に襲いかかる。


「こんな雑魚程度で、止まるわけには行かないんだよ!」


ガツンとリヴァンジェンスⅡをぶつけると、永戸はブースターを点火し、盾持ちの兵隊蜂を胴体から真っ二つにした。


「そうだ! この程度で止められると、思うな!」


ライはシールドバッシュをすると、バリアの能力を四方八方で固め、そのまま蜂を四角い箱の形までぐちゃぐちゃに潰した。


「全部叩き切れ! エルメイル!」


桐枝が聖剣を振るうと、盾を持った働き蜂が光で焼き切られた。


「先輩! 援護します!」


コリーが背後からマシンガンで空中にいる兵隊蜂を撃ち落としていく。すると、その中の一匹が、死ぬ間際に針を飛ばしてきた。


「危ない…!」


コリーに向けて飛んできた針を、エイルが弾き返す。そのまま彼女はバトルアックスに糸を巻き付けると、空中の敵に向けて投げつけた。

弧を描くようにバトルアックスが飛び、なり損ないが次々と両断されていく。


「何度やっても同じ、私の兵隊は…!」

「呼ばせない!」


兵隊蜂を呼ばれる前に、神癒奈はアーリアの目の前まで飛び込むと夜廻桜で斬りつけた。ざぱっと音が鳴ってアーリアの体から体液が溢れ出す。


「げほぁっ…! よくも…!」


甲殻を纏った蟲型の敵とはいえ、外殻はどうやらそこまで固くないらしい。これならばと四課の全員は思った。


「総攻撃を加えるぞ!」


飛び上がったユリウスがレイピアを突き刺し、それを切り離しては聖剣で斬りつけた。刺さったレイピアは白銀製の特殊なモノ、喰らったアーリアは身体の力がぬけていった。


「力が…でない!」

「もらった!」


永戸が懐に飛び込むと、ガンブレードで加速して切り上げ、反転して空中から真下に切り落ちた。

アーリアの体は四課の攻撃を喰らい、どんどんとダメージを負っていく。


「よくも私を、傷つけてくれたわねぇえええっ!」


だが、攻撃で怒ったアーリアが、腹の先の針を神癒奈に飛ばしてきた。神癒奈はその場に立ったまま刀を構えると、迎撃の態勢を取った。


「……叩き斬る!」


停止の力場を纏わせ、正面から来た針を一刀のもとに両断した。そのまままっすぐ神癒奈は飛び上がると、もう一度構えを取る。


「焔月式抜刀術……!」

「食いちぎってやるわぁああああっ!」


真正面から、アーリアと神癒奈が相対する。アーリアは顎で神癒奈を食いちぎろうとするが、神癒奈はそのまままっすぐ飛び込んだ。


「壱式!!!」


刀を抜き放つと、大きな一撃を放ち、彼女が地面に降り立つと。巨大なアーリアの体を両断した。

見事に真っ二つになり、アーリアは即死する。


「…これで終わりです」


神癒奈は刀をしまい、振り返る、煙で何も見えないが、よく見ると、巨大な女王蜂の体は綺麗に両断されていた。

ふぅっと息を吐こうとするが、その時だった。


「っ⁉︎」


倒したはずの女王蜂のほうから、針が一本飛んできた。神癒奈はそれを慌てて避ける。


「なんで⁉︎ 倒したはずなのに⁉︎」


なり損ないは倒したはずだった、現に巨大な女王蜂の身体は破壊したはず…そう思っていたが、煙が晴れると、四課のメンバーは驚愕する事になる。


「よくもやってくれたわね…」


煙が晴れると、そこから現れたのは、両手に針を生やし、人型の形をした蜂のなり損ないがいた。


「人型⁉︎」

「第二形態ってやつか」


第二形態となったアーリアのなり損ないを見て、四課の全員は武器を再び握りしめる。次の瞬間、神癒奈になり損ないが一気に近づいてきた。


「まずは貴方から、消してあげるわ!」


なり損ないは針を構え、神癒奈に突き刺す態勢を取っていた。神癒奈はガードできぬまま、攻撃を直に喰らう事になる…はずだった。


「神癒奈!」

「…えっ?」


永戸が神癒奈をポンと突き飛ばす。神癒奈は回避に成功するが、永戸の肩から先が、針に貫かれて無くなってしまう。


「あぁあああっ!」


針で突き刺された痛みと、体に回る毒で永戸は地面をのたうち回る。


「永戸さん!」

「マスター!」


神癒奈とフィアネリスが永戸に近づこうとするが、なり損ないに阻まれてしまう。


「貫いてあげるわ!」

「ぐっ!」


腕から針が放たれ、フィアネリスの盾が壊れ、足に針が突き刺さる。幸い彼女は機械なので毒で苦しむことはないが、地面に降り立つと、片足がぼろっともげ、地面に倒れてしまう。


「このぉおおっ!」


神癒奈が近づいて爆速で斬撃を加えようとするが、ひらりと避けられた。


「かわされた⁉︎」

「さっきとは違うのよ、この身体から溢れる力…私自身が勇者になったみたい!」


すると神癒奈は壁まで蹴り飛ばされ、勢いよく衝突する。追撃で針が飛んできて、それは、神癒奈の腹を貫いた。


「かはっ!」


血を吐き、神癒奈は毒をまともに受けて動きが止まる。不死の力こそ得ているが、毒を受けてしまっては、呼吸もまともにできず、体が動かなかった。


「神癒奈ちゃん!」

「次は貴方ね…♪」


コリーが神癒奈を救出しようと走るが、アーリアの視界に捉えられてしまった。彼女にも針が迫る。もし彼女にも命中すれば、彼女も永戸のように苦しみ悶える事となる。


「させは……しません!」


その時、エイルが糸を飛ばしてアーリアの動きを止めた。高出力のパワードスーツの力で引っ張ってコリーへの攻撃を防ぐ。


「邪魔をしたわね…先に貴方から消してあげるわ! 蜘蛛女!」

「口の聞き方がだんだんと崩れてきてますよ、女王蜂さん…!」


アーリアが糸を解き、エイルに針を刺そうとする。だがエイルは、それを特殊ダガーで防いだ。同時に、触肢に備え付けられていたパイルバンカーを突きつけると、アーリアの胴体を貫いた。


「ごふっ! そんな武器まで…!」

「痛いですよね? これも白銀製の特注品ですから…!」


アーリアの肩にダガーを突き刺すと、エイルは至近距離で脚に取り付けられたハッチを開けた。中から出てきたのは指向性爆薬…クレイモアだった。


「これでバラバラになって…!」


至近距離でクレイモアが炸裂し、アーリアの体に風穴が開く。


「蜘蛛女のくせに、生意気をぉっ!」


白銀製のダガーとパイルを、至近距離からクレイモアを受けてもそれでも再生したアーリアは、腰から生えていた三番目の針をエイルの腹に突き刺した。


「うぐっ!」


ダガーとパイルの刃を外し、エイルはすぐに下がる。毒ならば自身も持ってるためなんとか耐えられたが、装甲ごと貫通された。意識こそあるが、そのまま地面に崩れ落ちる。


「神癒奈ちゃん! 今助けるから!」


コリーが神癒奈から針を引き抜くと、彼女を地面に下ろし、即座にアンプルを打った。不死性のおかげもあって即座に傷が治り、神癒奈は正常な呼吸と意識を取り戻す。


「コリーさん…ありがとうございます」

「いいんだよ、今の私はこれくらいしかできないから」


まだアーリアは暴れ回っている。先程エイルが与えた白銀の効果で肉体の能力こそ低下しているが未だ戦えている状況だ。


「たぁああああっ!」

「このガキ! 捻り潰してやる!」


桐枝が飛び込むと、アーリアの針を避け、クロスカウンターでパイルブレードを打ち出した。だがこちらもかわされてしまい、二人は至近距離で頭をぶつける。


「その顔が憎たらしいのよ! 真面目で普通そうな顔をして!」

「真面目で普通で何が悪いんすか! この腐れボンボンが、首ぶっちぎってやる!」


二人とも空いた手でそれぞれ聖剣と針をぶつけ合う、そして、両手が開くと、桐枝は片手の針を生やす部分を聖剣で叩き斬った。


「あぁああっ! このクソガキィ!」

「きりちゃんの剣の腕、舐めんな!」


もう一度飛んできた針を避けるがそっちは囮で本命の背中の針が彼女の腹に近づく。だが、突然糸が飛んでくると、桐枝はその糸に引っ張られて、アーリアの攻撃を回避できた。


「えへへ……危なかった。桐枝さん……無理はしないで…ね」

「エイル先輩! 助かったっす!」


体は崩れ落ちてこそいるがまだ片手を動かす余裕があったエイルが桐枝を助ける。


「蜘蛛女! また邪魔をして…!」

「私を忘れてしまっては困るな!」


ライがタックルでアーリアを押し出すと、そのまま壁に押しつけた。アーリアはなんとか束縛から抜け出そうとするが、そこで盾に何かがついているのを見た。


「エイル君!」

「ふひひ…これで吹っ飛べ」


エイルが無線を起動させると。ライのタワーシールドに取り付けられていたプラスチック爆薬が炸裂する、爆風と熱で燻され、アーリアは爆風で体の一部が千切れた。


「アァアアアアア!」

「そのまま押し切る!」


空中からユリウスが強襲を仕掛け、レイピアで彼女を地面に串刺しにすると彼女の上に立った。


「これでしまいにしよう、光と共にあれ、アリアンヌ!」


吸血鬼に杭を突き刺すように、ユリウスが聖剣をアーリアに突き刺した。


「ァ…」


今度こそ、アーリアのなり損ないは死に、四課の全員は死闘に勝利した。


「各員、被害状況は?」

「私とエイルさんはダメージを負いましたが大丈夫でしょう、神癒奈さんも再生しました。しかし…」

「…永戸…さんが」


最初に針の一撃を喰らっただけあって、彼の全身には毒が回りきっており、アンプルを打ち込んでも、彼の身体の回復は安定しなかった。そもそも肩から先を無くしている。集中治療で再生をしないとまずい状況だった。


「兎に角、作戦は完了した。召喚魔法も止まったのを確認した。キャンプに戻って怪我を負った者は治療を…」

「いやー、壮絶な戦いだったなぁ、凄いチームワークだったよ、四課のみんな」


その場に知らない声が聞こえ、全員がその方向へ向く。そこには。黒い影が佇んでいた。

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