突撃
ステイリア王国王城への突入作戦が決まり、各々のメンバーはフル装備で戦うことになる
全員が装甲戦闘装備を装着し、全身にありとあらゆる武器を装着した。
「各員、準備はよろしいかな?」
「はい、いつでも」
「いつでも行けます!」
「準備は完了しております」
「戦う覚悟はできている」
「射撃支援、任せてください!」
「どこまでも…ついていきます」
「準備、できたっす」
ユリウスの言葉に、四課のメンバーはそれぞれ答えた。
遠くでは、イストリアの一課となるもの達が転移で現れ、数々の者たちが戦う準備をしていた。
「あれが一課…」
「あぁ、正義の為に剣を振るう、イストリアの精鋭部隊だ」
王都への入り口から、神癒奈は一課の者達を見る。人数が基本少ない四課よりはるかに人数が多かった。装備もこちらより充実していて、強そうな見た目をした者ばかりだ。そして、こちらも全員準備が終わり、全員が、装甲戦闘服のバイザーを下ろす。
「一課が動き始めました!」
「よろしい、では、こちらも作戦を開始する。総員、突撃開始」
ユリウスがそう言うと、四課のメンバーは一斉に王都へ入り、王城を目指し出した。
「街が静かです! これはどう言うことでしょうか⁉︎」
「街の人全員が魔力切れで倒れてるのですよ、ですが…変ですね? 人通りが全く…!」
フィアネリスが疑問を浮かべた時だった目の前にボロボロの体となった人型の生物が現れた。
「あれは⁉︎」
「さしずめ魔力を極限まで吸い取られたひとの成れの果てだろう。ある意味ゾンビとも言える。撃て」
昨日まで楽しそうに暮らしていた街の人たちが、今度は敵として現れる、だがそれに心を痛めている暇はない。装甲戦闘服から各自武器を取り出すと、応戦を始めた。
「数だけ集めようと…!」
「私たちは止められない!」
ここは射撃による殲滅力の高いエイルとコリーの出番だった。圧倒的な弾幕を張る二人を前に、ゾンビ達は次々と撃ち抜かれ、倒れていく。
「前方より高エネルギー反応! 勇者です! 来ます!」
「団体でのお客様だ、対処したまえ!」
街路を走っていると、前方からゾロゾロと勇者達が歩いてきた。そして、勇者達は前衛が走り出すと、後衛が魔法や能力を放って攻撃してきた。
「ここで止める!」
ライが能力を発動させ、進行してくる勇者達の攻撃を全てシャットアウトした。だが、予想以上に数が多いのか、攻撃に押され、彼は押し返されかける。
「持ち堪えて!」
神癒奈がライのバリアに合わせて停止の力場を発生させる。それで二人重ね合わせてバリアで押し返した
「フィーネ!」
「おまかせを! 全弾発射!」
フィアネリスがハイパードライブシステムを起動させると、押し返した勇者達に向けて波動砲の連射とミサイルやバルカンの掃射を行った。エイルやコリーの弾幕と共に撃たれたそれは、勇者達を薙ぎ倒していく。
「行きますよ! 桐枝さん!」
「はい!」
桐枝が聖剣を、神癒奈が刀を抜くと、連続の斬撃で次々と敵を倒し道を開いた。
だがその直後、巨大な人が現れ、道を塞ぐ。
「もうなり損なった者が⁉︎」
「永戸君、ひさびさだが、コンビネーションで行くぞ!」
「はい! 課長!」
永戸とユリウスが正面に立つと、まずユリウスが動き出した。巨大な人のなり損ないに向けてレイピアを次々と的確に刺すと、聖剣アリアンヌで光と共に押し斬った。
「今だ!」
「取った! ぶち抜け!」
永戸がなり損ないの頭に立つと、左手に持ってた簡易式パイルブレードで頭蓋を撃ち抜き、リヴァンジェンスⅡも突き刺し、装填されてた砲弾を撃った。これにより、巨大ななり損ないの頭が弾け飛ぶ。
「くっ…まだまだ敵の数が多い…」
「怯むな! 相手は所詮召喚されたばかりの素人だ! 押し切られる前に一気に突破するんだ!」
すると突然、空から矢や魔法の雨が降ってきた。ライがガードしてそれを防ぐが、横がガラ空きになる。
「全方位一斉射撃!」
ガラ空きになった横から勇者達が攻めてくるが、各々が円を描くように構えると、全員が持てる武器で迫る勇者達に射撃を行った。
「フィーネ! エイル! 遠距離攻撃をする連中をなんとかしてくれ!」
「はい!」
永戸の命令にフィアネリスは飛び立つと、遠距離攻撃を行う敵に向けて波動砲を撃った。
エイルの方は地面に足を突き刺して構え、肩から無反動砲を山なりに撃ち、正確に攻撃ポイントを破壊する。
すると、飛んできた遠距離攻撃が止んだ。
「邪魔をしないで欲しいっす!」
桐枝が聖剣に眩い光を纏わせると、その光のままに正面を叩き斬った。聖剣の光と光の力が合わさり、前方100mほどいた敵がまとめて倒される。
道を次々と切り開いていくが、それでも敵の数は多く、四課は苦戦を強いられていた。その時だった、
四課よりはるかに密度の濃い弾幕が空から降り注いだ。それにより、ゾンビと勇者達がバラバラに消し飛ばされていく。
《四課の者達へ、道は切り開いてやる、これは貸しだ》
どうやら一課の砲撃らしく、圧倒的な弾幕が周囲を焼き払うと、綺麗に倒れる道が出来た。
「感謝しよう、各員、進め!」
『了解!』
そうして四課の者達は城の前まで到達する。
「ここから先はより敵が多くなるぞ!」
「何が何でも押し通る!」
覚悟を決めて城の中に突入し、四課のメンバーは走る。城内も、勇者で一杯だった。
「道を開けろぉおおおっ!」
永戸が身体能力を引き出すと、リヴァンジェンスⅡのブースターを展開し、一つの赤い線となって敵を次々と倒していく。それで開いた道を四課のメンバーは通っていく。すると背後の壁をぶち破り、外からドラゴンが入ってきた。
「ドラゴン⁉︎ なんでこんな所にいるんっすか!」
「そりゃあ異世界ですもの、ドラゴンくらいいますよ」
「落ち着いてる場合か! あれは竜騎士の能力者だろう! 誰か対処しろ!」
永戸が道を切り開く中、後方からドラゴンが火を吹きながらこちらに向かって接近してきている。少しでも遅れればあっという間に追いつかれるだろう。
だがここで永戸の体力の限界が来た。
「まずい! リターンが…!」
「私が代わります!」
永戸と交代するように神癒奈が前に出ると同じように線を描きながら敵を切り進んでいく。
「エイル先輩、背中借ります!」
「はい…構いません!」
そんな中、コリーがエイルの背中に乗ると、二人は背後に振り返り、手持ちの武器を全て構えた。
「バラウール重戦車砲、ボルテックスキャノン、ボルケーノ多連装ミサイル、レネゲイド30mm機関砲、全兵装一斉射…!」
「当たって!」
エイルが手持ちの武装を全てドラゴンに向けて撃ちまくり、同時にコリーはロケットランチャーを放った。それらの大火力は通路に群がる勇者達を貫きながらドラゴンの方へと飛んでいき、命中すると大爆発を起こす。
爆炎の衝撃波が伝わる中、二人は背後の様子を見る。すると、二人が狙ったドラゴンは倒れていた。
好都合な事に、ドラゴンが通路を塞ぎ、他の敵の侵入を阻む形でバリケードとなった。
「今のでほとんどの武器を使い切りました…!」
「構わん! 全部使ってもいい、障害は全て排除せよ」
重い武器をパージし、バトルアックスとサブマシンガンと特殊ダガーだけになったエイルは、コリーを乗せながら先に進む。
「道が!」
「そうはさせません!」
敵の能力で王城の内部の道が塞がれそうになる。そんな中、フィアネリスは加速し、そのわずかな隙間を潜り抜けると、道を塞ごうとした能力者を槍で貫き壁を波動砲で破壊した。
「もうすぐ目標の謁見の間です!」
目の前に謁見の間への扉が見えるが、最後の壁と言わんばかりに勇者達が各々の能力を発動させ、迎撃の構えを取っていた。
「総員! 持てる力を振り絞れぇええっ!」
『うおおおおおおおっ!』
放たれた大量の能力による一撃を、神癒奈とライが防ぐと、そのまま全員が飛び出し手持ちの武装を構え、最大の一撃を勇者達の壁に向けて解き放った。
その一撃によって壁は突破され、同時に謁見の間への扉が破壊され、四課の全員は召喚が行われている謁見へと入り込んだ。
「目標地点に到達!」
「扉を封鎖します!」
神癒奈が神の力を行使すると、破壊された扉が元に戻り、外から勇者が入ってこないように厳重に封鎖される。
この部屋には彼ら四課と、"倒すべき敵"のみとなった。
「さて……目標の召喚魔法陣を確認……いや、これは…」
「召喚魔法陣が…背負われている?」
謁見の間にて、永戸達は、その先にある敵を見やる。するとそこにいたのは、アーリア王女だった。
だが、姿は人の姿から乖離していた。全身が虫の体となり、頭には元の顔が模様のように張り付いていて、腹の部分には鋭い毒針が、背中には大きな羽と、召喚魔法陣が生えていた。その姿を一言で例えるならば…。
「女王蜂…」
「貴方達が、イストリアの異世界特別調査隊四課ね?」
神癒奈がそう呟くと、召喚陣からぐちゃりと人ではない何かを吐き出しながら、アーリアは言う。
「貴方達のせいで、この国の勇者が多く死んでいった…この報いは、ここで果たさせてもらうわ!」
そう叫ぶと、アーリア"だったもの"は虫の咆哮をし、吐き出した何かを動かし、兵隊として前に出した。
「私達のせい? 何を言ってるんすか、元はと言えばあんた達が勝手にやった召喚っすよね! 勝手に召喚して、勝手に暴走させて、何もかもぐちゃぐちゃにしたのはあんた達のせいっす! 異世界から帰れるなんて嘘まで吹き込んで!」
桐枝が叫び返すと、アーリアはぴたりと止まった。
「ん? 貴方…見覚えがあるわね……あぁ、思い出したわ、召喚した時に帰れるかと聞いてきたガキね」
「ガキ? あんたも大して変わんないでしょうが! そのクッソデカい態度、今からへし折ってやる!」
桐枝が聖剣を構えると、四課のメンバー全員が武器を構えた。
「行くぞ! これよりアーリア王女の"なり損ない"を排除する!」
『了解!』




