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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第六章 誰が為に行く英雄と光放つ聖剣
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積み重なる負の連鎖

永戸達が休暇を終え、仕事に戻った時であった。


「勇者召喚を再び行います! 失ってしまった戦力を、もう一度拡充するのです!」


アーリア王女がそういうと、周りの者達が騒ぎ出した。


「しかし、王女様、勇者達はこの前召喚したばかりで、召喚用の魔力も触媒も足りておりません、そんな状況で召喚を敢行したら…」

「やるのです! 勇者達が何者かの攻撃で死んでいっている現状、戦力を拡充して押し返すしかないのです!」


王国側も何故勇者が死んでいっているのか、気付いていた。何者かが勇者殺しを行なっていると。それを考えると、アーリア王女は先日の事を思い出す。


ーーー


「これが、かつてあった大戦の話さ」


黒い影がアーリア王女に爪を突きつけながら、全てを話し合える。


「イストリア…異世界特別調査隊四課…そんな者達が、我々王国の勇者召喚の邪魔をしていると言うのですか?」


アーリア王女が聞くと、黒い影は静かに頷く


「彼らは危険で狡猾だ。異世界で起きる出来事を悪と断定したら、それら全てを抹消するまで動く、下手をすれば、この王国も消されるかもしれないなぁ」


黒い影がニタリと笑うと、アーリア王女は自分たちの危機を察した。


「このままでは我々が消される⁉︎」

「あぁ、全て、皆殺しにしてね」


アーリア王女の耳元で黒い影が囁く。特査四課が自分たちを消しにくる。そう考えると、アーリア王女は恐怖した。


「なら、勇者をもっと召喚しなくては、もっと強力な勇者を召喚して、彼らを撃退しなくては」

「そうだ、彼らを、僕達の手で止めるんだよ」


そう言うと黒い影は闇の中へ消えていく。それを見たアーリア王女は、うわごとのように、四課のことをぶつぶつと一人で呟き続けた。


ーーー


先日あった出来事を思い出し、覚悟を決めると、アーリア王女は指示を出す。


「で、では、王国中の魔力を一点に集中させ、より多くの勇者を召喚する、それでよろしいでしょうか?」

「ええ、とにかく召喚するのです! より強い力を持ち、より気高い心を持った勇者を召喚するのです!」


アーリア王女がそういうと、魔法使い達が召喚用の陣を描き、さらに国中の魔力を使うようにした。

そして、勇者召喚が行われる。


(これで……イストリアと呼ぶ者達を倒す!)


ーーー


休暇を満喫し、通常勤務に戻った四課のメンバー達。のんびりと過ごしていたところに、突然地震が起きた。


「地震?」


カタカタと静かに揺れるのを見て、永戸はEフォンから目を離す。


「これは一体、どう言うことでしょうか?」


神癒奈も不思議に思ったのか、地震で揺れて中身が溢れそうになるマグカップのお茶をずずっと飲む。

すると、キャンプ内に警報のサイレンがなった。


《緊急事態発生! ステイリア王国王城にて、強力な魔力反応を検知! 四課のメンバーは出撃の準備を》


出撃命令を受け、永戸達はすぐに作戦会議室へ向かった。


「来てくれたね、休暇を終えたところで悪いが、予想外の事が起きた」


待っていたユリウスがEフォンの端末からホログラムを出す。するとそこには、大量の魔力が一箇所に集まる映像が映されていた。


「つい先ほど、ステイリア王国で、勇者召喚の儀式が再び行われた」

「再び? またって事っすか?」


桐枝がそう聞くと、ユリウスは頷く。だがと言い、ユリウスは話を続けた。


「今度の召喚は前回とは人数も使用した魔力も桁違いだ。王国中から魔力を集められるだけ集め、城内にてその魔力を用いられ、召喚が行われた」


ユリウスが追加の映像を出すと、そこには国中の街で魔力不足で倒れる人々の映像が映し出された。


「ひどい……」


その光景に、神癒奈は思わず声を漏らす。


「そして、集められた魔力で召喚された人々の数だが……これを見て欲しい」


そうして次の映像が映し出される。そこには、老若男女や身分が関係なく、多くの勇者がどんどん召喚されているのが見えた。


「多すぎる…一人でも厄介なのに、こんな量の勇者の相手だなんて!」

「我々は、この召喚の数をかつての大戦で行われた召喚と同レベルのものと断定した。そして、召喚は今もなお、王城で続いている。このまま召喚を続ければ、罪のない人々が戦いに巻き込まれ、力に暴走するだろう。


典子のような犠牲者がまた増える、そう考えると、メンバー達は焦りを見せた。


「そこでイストリアは、我々四課だけでなく、一課の出撃を決定した」

「一課…?」


一課と聞いて神癒奈は疑問を浮かべる。そういえば初めてだっけと永戸が横で耳打ちした。


「対魔・対悪を目的とした特殊部隊だよ、俺たち四課がイストリアの裏の部隊ならばあいつらは表の特殊部隊だ」


永戸の発言にユリウスが頷くと、次の話へ進む。


「一課が正面で戦闘を行い、召喚された勇者と戦う中、我々四課は王城へ強行突破し、召喚魔法陣の破壊を行う、二面から行う共同作戦だ。皆、気合を入れるように」

『はい!』


そうして四課は出撃の準備に入る。王城で行われている、勇者召喚を止めるために。


ーーー


「召喚、成功しました!」


王城の方では、勇者達が次々と召喚されていた。


「よろしい、もっと召喚するのです! 国中の魔力を使い尽くしても構いません、もっと強力で、もっと強靭な勇者を…!」


狂ったようにアーリア王女が召喚を続けるように言うが、その場にいた者達はどんどん倒れていた。いや、それだけではない。倒れた者から魔力をどんどん吸い上げると、倒れた者は干からびた死体のようになり、いつしか魔物として立ち上がり、徘徊するようになった。


「召喚を続けるのです! それで国が救われるならば、民の命の少し程度、安いもの! あは! あっはははははは!」


国王も魔力切れで倒れる中、アーリア王女だけが、部屋の中で歓喜していた。そして、彼女の身体は、大量の魔力で満たされるこの空間の影響を受けて、悍ましく変化していった…。

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