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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第五章 光を抱く少女と暴走していく勇者達
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異世界特別調査隊四課'

イストリアという組織に桐枝が入る事が決まり、桐枝は組織のキャンプの中を歩く。キャンプの中は大勢の人で行き交っていて、忙しなく動いていた。


「こんなに人が…この異世界召喚には、それ程の人数が動かなければならなかった問題なんすか?」

「最初は私ともう一人の二人だけだったんですけど桐枝さんのパーティーの戦闘の跡が発見されてから、危険度が増し、調査団も増員されたんですよ」

「もう一人って言うと、あの吟遊詩人の作詞作曲の方っすか?」

「まぁそうとも言いますね」


あははと神癒奈は笑いながら拠点内を歩く。そしてあるテントの前に立った。


「課長、入りますよ」

「うむ、入りたまえ」


そうして桐枝達は中に入る。するとそこには、白髪で穏やかな表情をした初老の男性が椅子に座っていた。


「戦地だとロクに紅茶も飲めなくて苦労するね…さて、例の者は起きたかい?」

「はい、こちらがその方です」


そう言うと神癒奈は桐枝に挨拶するよう促した。桐枝は前に立つと、若干物怖じしながらも挨拶をする。


「この世界に召喚されてきました! 門崎 桐枝っす! 以後、よろしくお願いします!」


そう言うと、桐枝はぺこりと頭を下げた。それを見たユリウスはうんうんと笑顔で頷く。


「元気があっていい子だ。初めまして、桐枝君、私がここの課長のユリウス・グリフ・レーゲンだ。それで、君はイストリアに所属したいと聞いたが、よろしいのかね?」

「正直ここ数日色々あってわけわかんないっすけど、でも自分の日常を取り戻す為ならなんでもします!」


桐枝がそう答えると、ユリウスは立ち上がり、桐枝の頭を上げさせた。すると彼は真っ直ぐに彼女の瞳を見つめる。


「よろしい、では君が配属されるのは異世界特別調査隊四課だ」

「異世界特別調査隊四課…?」


物々しい名前だと思い、桐枝は聞き返す。するとユリウスはこう答えた。


「そうだ、この四課においての任務活動は異世界での表沙汰にできない出来事の対処、要するに汚れ仕事だ、君はその部隊に組織の監視付きで配属される事になるが、覚悟はできているかね?」

「拾った命っす、どうせもう元の世界には戻れないし監視もされるんすよね? だったら、自分のごく普通の生活に戻る為なら汚れ仕事だろうとやってやりますよ」

「ごく普通に戻れるかは分からないけどね…」


流石に四課は普通の部隊じゃないとユリウスは苦笑いするが、だが覚悟は伝わった。


「うむ、分かった、本来なら試験や手続きがいるが、現地での雇用の為特例で配属を許そう。今日から君は、四課の一員だ、組織の監視下には置かれるが、君の安全は私が保証しよう」

「はい、精一杯頑張るっす!」


ユリウスが頷くと、桐枝はびしっと敬礼をした。だがユリウスは眉をゆがめるとこう言った。


「桐枝君、漫画とか読んで敬礼を知ったのだと思うのだけれど」

「なんでしょうか!」

「敬礼は左手ではなく右手でするものだ」


うっかり間違えて桐枝は少し恥ずかしくなった。


ーーー


四課に配属された桐枝は、現地雇用の為取り敢えずの仮の制服とEフォンが与えられた。


「本当はその服あんまり着ないそうなんですけどね、儀礼用とかどうとかで」

「まぁ、物は形からって言うっすから、以後よろしくお願いするっす、神癒奈先輩」


先輩と初めて呼ばれて少し嬉しくなったのか、神癒奈は照れる。


「さて、ここが四課のみんなが集まるテントですよ」

「わぁ…中にはどんな仲間が待って…」


テントを開けた瞬間、中では四課のメンバー達がトランプで賭博をしていた。


「フルハウスだ、俺の勝ち」

「残念、ロイヤルストレートフラッシュだ、この勝負は私の勝ちだね」

「何とまぁ、私もロイヤルストレートフラッシュですね、被りましたねどう言う事でしょう?」

「イカサマだ!! この勝負なしなし!」

「皆さん…あの……新しい子が来ましたよ。神癒奈さんと一緒に…」

「「「「え"っ」」」」


すると賭博をしていた四課のメンバー達は一斉にトランプをしまうと、営業スマイルで迎えてきた。


「ようこそ四課へ、君を歓迎しよう」

「私の新しい後輩だー! よろしくね!」

「ええと…よろしく…です、えへへ」

「もうっ! 皆さんこんなところで賭博なんかして! 新人の子が引いてるじゃないですか!」

「だって、待機中暇だし」

「私としても、時間が余ると退屈に感じてしまいます」

「だってもへちまもありません! エイルさんを見習ってください!」


みんなが笑う中、桐枝は引き攣った笑いを見せるが、神癒奈が丁寧に説明を開始する。


「じゃあ自己紹介ですね、向こうから、永戸さん、フィアネリスさん、ライさん、コリーさん、エイルさんとなってます」

「よろしくお願いします! 先輩方!」


そう言うと桐枝は元気に挨拶をした。その挨拶にメンバー全員はよろしくーっと手を振る。そんな中、桐枝はある一人のメンバーに目を向けた。


「あ、あんたはあの時の吟遊詩人!」

「永戸でいいよ永戸で、その呼ばれ方はなんか恥ずかしい」


はははと困った顔で永戸は言う。その後ろの四課からはいじられていた。


「ようこそ、クソッタレな職場へ」


永戸は桐枝と握手をすると、説明を始めた。


「お前の荷物はそこにおいてある。今日からはそのベッドで寝てくれ。寝心地は悪いかもしれんが我慢してくれよな」

「はい!」


元気に返事をすると、桐枝は自分のベッドの方に行く。これといって特に荷物は持ってきてなかったが、入隊祝いなのか、各メンバーからお菓子が付いてきた。そのお菓子をばりぼりと口にしながら桐枝は周りを見渡す。

汚れ仕事が主な任務とされている部隊にしては明るい部隊だった。種族もそれぞれバラバラで、自分と同じ人間の者もいれば、亜人となる種族もいた。


「みんな凄そうっすね、みんなそれぞれの目的があってここに所属してる感じっすか?」


桐枝のその話に、永戸達はあーっと思い出す。


「私はごく普通に選ばれた感じの配属だったな? 本来なら一課だけど突出した技能があったからと言う事でここになった感じだ、コリーも確かそうだったな?」

「うん! でもちょっと違ってて、普通に入ろうと思ったら、父が課長の知り合いで、その紹介でここに入った感じかな」


まずはライとコリーが出自を話す。どうやらこの二人はごく普通に入隊した感じらしい。


「私は……人の役に立ちたいと思って…この課を選びました…まさかこんなに辛いことをする課とは思ってもいませんでしたけど」


次に話したのはエイルだった、もじもじとしながら話すが、彼女にも彼女なりの度胸があったらしい。


「私はつい最近入って、英雄を志して入った感じですね」

「まぁ、おっちょこちょいで馬鹿正直な所があるけどな」


神癒奈がにっこりとしながら話すが、永戸が茶化す。英雄かーっと桐枝は思うが、そういえばと神癒奈が話題を上げた。


「そういえば、永戸さんとフィアネリスさんってここにどうして入ったんですか?」


それは神癒奈自身どころかメンバー全員が気になる話だった。一応上から入隊した順を記すと…。


永戸 フィアネリス

ライ

エイル

コリー

神癒奈

桐枝


と、この順番になる。ライ達や1番の課長はともかく、永戸とフィアネリスの入隊時期や理由は不明だった。


「あぁ俺たちか? 俺達は創立メンバーだよ」

「創立…ってことは、最初からいたってことですか?」

「そうですね、ユリウス課長とマスター、それと私は、四課の創立時に最初に入ったメンバーとなります」


へぇ…と神癒奈や他の四課のメンバーが頷く。ってことはこの中で1番先輩なのかと神癒奈達は思った。


「じゃあ何で四課に?」

「それは……」


永戸が話そうとした瞬間だった。全員のEフォンに通知が入る。


「…出撃命令だ、さぁ、愉快な遠足が始まるぞ」


全メンバーが装備を整え、一斉に外に出る。桐枝も遅れず外に出て、作戦会議のところまで向かった。

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