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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第四章 焔月の呪いと秘宝、そして神へ至るキツネ
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カチコミ

永戸が貢ぎ物となった人を助けた翌日、街中には手配書が広まっていた。


「ふむ…お前さんの名が通ってしまったねぇ」

「問題ない」


指名手配書を見る波婆さんは永戸を心配するが、一方の永戸は冷静でいた。

エイルからの支援により聖剣には再び装甲が取り付けられ、いつものパイルブレードへと戻る。

ブレイズエッジの弾薬も補給され、万全の状態で戦えるようになっていた。

同時に、連絡も来ていた。神癒奈から"用事は終わらせた"と。予定通りに行けば今日中に到着する筈だ。

準備は万全、仕掛けるなら今、永戸はそう思い、装備を着込む。


「外に行くのかい? 顔、見られるんじゃ…」

「大丈夫、その必要性はないから」


永戸はそう言うと、偽装装備を解き、普段のコート姿となる、同時に、神社の木の上からエイルが降りてきて武器を整えた。


「お前さん…その姿は…そこの蜘蛛は一体…」


姿が変わり、蜘蛛の女性を従えた永戸を見て、波婆さんは驚く。

それを見た永戸は人が悪いように笑うと、こう答えた。


「今から、この都を救いに行ってくるよ、婆さん」


その背中は、世界を救う英雄の背中をしていた。


ーーー


騒然となる街の中、永戸とエイルは堂々と歩く。周囲の人や妖は手配書に描かれた人相を確認しては永戸達だと知るが、昨日の騒動を知ってか、声をかけられる者がいなかった。


「来てやったぞ」


永戸とエイルが魔殺楼の屋敷の前に立つ。当然、防衛の妖や人がわらわらと出てくるが、二人は恐れずに立った。


「貴様は昨日の…よくもまぁやってきたものだ!」

「急に来て悪いな、手紙が必要だったか?」

「抜かせ、その冗談を言う口をぐちゃぐちゃに潰してくれるわ!」


その直後、戦闘が始まった。まずは人間が刀を持って切り込んでくるが、永戸は腰のホルスターからブレイズエッジを抜くと、やってきた人を次々と撃ち抜いた。


「ふひひ…こちらも戦闘を開始します」


エイルも、触肢と両手に持った4丁のサブマシンガンを撃ちまくり、襲いかかってきた人を蜂の巣にした。


「野郎! 銃なんか持ちやがって! だが、叩き潰してくれる!」


体躯がさまざまな妖怪達が一斉に襲いかかる。永戸達もパイルブレードとバトルアックスをそれぞれ握り、応戦する。


「美味そうな人間だ! 殺した後に食って…!」

「うっさい!」


永戸はまず近寄ってきた小柄な妖怪を殴り飛ばすと、次にやってきた大柄なのにそれをぶつけ、接近してパイルブレードを突き刺すとパイルを射出して壁に突き刺した。


「妖怪が、人間に楯突くのか!」

「私は、友達の為に…戦うだけだから!」


エイルはバトルアックスを振り上げると、中心のベアリングがついた部分に糸を巻き付け、それを思い切り投げた。するとバトルアックスは、ヨーヨーのように回転しながら妖怪達の体を大小関係なくざぱっと切っていく。


「この程度でやられる我々ではないわ!」


一部の敵はどうやら殺生石の力を持っているらしく、体を再生させながら無理矢理にでも永戸達を殺そうとしてきた。エイルは投げたバトルアックスを糸で引っ張って回収すると、永戸と一緒に全ての攻撃をあらゆる武器を盾にして防いだ。


「何⁉︎」


妖怪達が一斉にした重い一撃をたった二人、しかも片方は人間に塞がれて、魔殺楼の妖怪達は驚く。

ギリギリと金属の軋む音が聞こえ、二人は一気に力を解放した。小さな妖怪は屋敷の方に吹っ飛ばされ、大きな妖怪ものけぞる。


「今だっ!」


その隙を見て永戸は殺生石の力を持つ妖怪の上に登ると、白銀鉄針シルバーパイルを突き立て射出する。パイルが突き刺さった妖怪は、体内の殺生石の力と白銀の力が干渉しあい、すぐに腐り果てた。


「死なずの石の力に元の体に戻す白銀の力をぶつけたら、石によって保たれていた体が崩壊すんのか、おーこわ…」


あまりの変化にドン引きしながらも彼は戦闘を続ける。エイルの方は、触肢のマシンガンを撃ちながら、刃の射出機能を持つ白銀製のダガーで敵を一匹一匹削いでいく。


「絶対に破獄様のところへ行かせるな!」

「道を、開けさせてもらいますねぇっ!」


魔殺楼の兵士達が道を塞ぐ。だが、エイルがバトルアックスをふるい、相手を薙ぎ倒しては永戸が通る道を作る。そして、彼が屋敷の中に入った時、入り口を塞ぐように構えた。


「こ、ここからは通しません! 向こうに行きたければ、私を殺していけぇっ!」

「死亡フラグを立てんな!」


ドア越しにエイルはツッコまれた。


ーーー


屋敷の中に入り、永戸は戦闘を継続する


「曲者! 出会え出会えー!」


屋敷の者達が永戸の方に向かって走ってくる。いきなり槍が飛んでくるが、永戸はそれを回避すると、今度は逆にパイルをこちらから打ち出した。

高威力のパイルがまっすぐ飛び、突っ込んできた相手をサンドイッチに突き刺す爪楊枝のように串刺しにする


「イストリアの死神めっ! 我らの邪魔をするなぁ!」

「ちっ!」


側面から刀で斬られ、永戸はガントレットでなんとか受け止める。これが重い巨塔だったならば今頃自分は両断されていたであろう。永戸はそう思うと、腕を振るって弾き返し、腰からブレイズエッジを引き抜いて早撃ちで敵を仕留めた。


「撃てぇっ!」


今度は向こうも鉄砲を持ち出してきたのか、火縄銃が永戸に向けて放たれた。


(避けてみせる!)


体感速度を加速させ、緩やかな時の中で、彼は弾を避けながら走る。全ての弾を避けきり、相手の至近距離まで近づくと、横薙ぎで全ての敵を薙ぎ倒した。


「破獄とか言うやつの部屋は何処だ⁉︎」


屋敷の中を走り回っているがどこが大将の部屋かわからない、その時だった、襖の奥から大量の槍が突き出てきた。


「のわっ⁉︎ テレビの爆笑番組じゃねぇんだぞ!」


紙一重で回避した彼は、ブレイズエッジを壁の方に向けると数発撃った。すると、奥からうめくような音と共に敵が倒れる音が聞こえた。


「こうなったら、1番奥まで突っ込んでやる!」


そうして彼は道中の敵を倒しながら走っていった。部屋を一つ一つ巡るたびに本当に破獄がいるのかと疑ったが、それでも走った。

そして…一際豪華な襖をあけてくぐると、目的の部屋に辿り着いた。


「……騒々しい客人だな、イストリアの死神…いや、英雄殺し」

「俺のことを知っているようだな、だったら話は早い。破獄、お前を殺させてもらう!


永戸は破獄に向けてパイルブレードを構える。彼はベールに覆われていてどんな姿か見えなかった。だが、彼は立ち上がると、そのベールをくぐり、永戸に姿を見せる。

その姿は、半分人で半分化け物と言っても過言ではない姿だった。殺生石を取り込んだ影響か、顔の半分は獣のようになっていて、体には体毛が一部から生えてきていて、尻からは尻尾が四本生えていた。


「その姿…!」

「……くくく、我の姿が醜く見えるか? 殺生石の力を得た我は、頂上の力を得た」


その瞬間、破獄から高熱の焔が溢れ出た。その焔は部屋中に広がり、永戸の目の前を焼く。しかし、この焔の感覚は覚えがある。


「その焔…神癒奈の…!」

「そうだ! これが、焔月一族の"生命の焔"の力! 自らの身体に流れる生命の息吹を、焔にして放つ力だ! だが、この力を維持するには、多くの生命が必要になるがな」


破獄は永戸の方に振り向き、ニヤリと笑う。半人半獣の姿で笑う彼の姿は、おぞましくみえた。


「絶対に狩る!」

「来い! 英雄殺し!」


永戸が走り出したことで、破獄との戦闘が始まった。

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