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ヒトとキツネの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第三章 大柄な蜘蛛と調和を乱す者達
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ミズガルズハイウェイ

 都市の幹線道路に飛び降り、神癒奈とエイルは特殊警察署まで真っ直ぐに走る。エイルの装甲戦闘服に装備されたローラーダッシュがうなり、車が通る道をすり抜けながら走る。

 だが、四課のオフィスで起きた騒動に気付いたのか、後方から兵士の乗る装甲車やバイクが迫ってきていた。


「追いつかれますか…流石にこの重装備では逃げ切るのは難しいですね、このまま戦闘を行います、神癒奈さんは私の裏に隠れていてください」


 すると、エイルは追跡してくる車両に自分の体を向けて、腹のケースからサブマシンガンを取り出し、触肢のチェーンガンを構えた。前回のデモ制圧時はこの二つはゴム弾だったが、今度は実弾を積んできた。グレゴリーに属するならば容赦なく射殺する勢いだ。


「撃て!」


 装甲車の天井から機関銃が撃たれるが、エイルはすぐさま前足の盾を構え、射撃を防いだ。

 だが、敵が射撃している間に別の敵のバイクが横まで迫ってくる。そして、バイクに乗ったままこちらに銃口を向けてきた。


「邪魔を…しないで!」


 バイクならばとエイルは片手のサブマシンガンを撃ち込み、兵士を倒す。倒した兵士の乗るバイクは、操縦士を失い、フラフラと道端まで横に走っていくと、ぶつかって爆散した。


「まだきますよ!」

「分かってます…!」


 次のバイクが、今度は二台体勢で走ってくる。エイルはその様子を見ると、少し焦った。


「一般車両の通る幹線道路でここまでやるだなんて…!」


 状況はまるでスパイ映画のカーチェイスだ。一般車両の中を縫うように走りながら敵の猛攻を防ぎつつ、隙があればそれを狙って攻撃を返して走っていくが、敵はそんなことを関係なく銃を撃ってくる為、一般車両に被害が出ていた。


「せめて装甲車の射撃だけでも食い止められれば…! 神癒奈さん、私の腹部のケースの中にプラスチック爆弾が入ってると思います!」

「…これのことです?」


 装甲車が射撃をしてくるせいで、盾を構えたまま戦闘を行うしかない状況に陥っていた。それを打開すべくとエイルは神癒奈に指示を出す。神癒奈は腹部のケースを一つ一つ調べ、その中から四角形のそれっぽい物体を取り出した。だが彼女はこれがなんなのかを知らない。


「それにペン状の信管を指してください! 刺したらEフォンの無線チャンネルをその信管に書かれた数字に合わせて!

 私があれに接近しますから、その爆薬を装甲車に取り付けてください!」


 言われた通り、信管を差し込み、無線チャンネルの数字を合わせる。そして、エイルは盾を構えたまま、前足を上げてガードしつつ装甲車に近づいた。

 ガツンと言う音を立てて装甲車に二人はぶつかる。エイルに言われた通り、神癒奈は彼女の体を伝って装甲車に乗り上げると、爆薬をぺたりと貼り付けた。

 それを見たエイルはスピードをわざと落として装甲車から離れる。


「無線を起動して起爆を…!」

「はい!」


 エイルの指示のままに、神癒奈はEフォンの無線を起動する、すると馬鹿でかい炸裂音と共に装甲車が爆発して吹き飛ばされた。


「よくやってくれました…!」


 これで前足でガードする事がなくなり、エイルは自由な状態で戦えるようになる。追走する二台のバイクの、正面方向のバイクが剣を構えて、後ろのバイクが銃を向けてきた。


「正面は私が!」

「後方はやります…!」


 振られてきた剣を、神癒奈は刀を鞘から少し抜いて防ぐ。鍔迫り合いになるが、空いた足で剣を持った兵士の剣を蹴飛ばすと、そのまま刀を抜いて腹部を切りつけた。それが致命傷になり、前方のバイクはそのまま速度を落として倒れる。

 後方のバイクは飛び上がってそのバイクを避け、兵士が銃を撃ってきた。


「っ!」


 飛んできた銃弾を盾で防ぎ、エイルは盾の隙間から触肢を一本出してチェーンガンでバイクのタイヤを撃ち抜いた。綺麗にタイヤはパンクし、バイクは蛇行運転をしては転んで動けなくなる。


「やりましたね!」

「いえ、まだです…!」


 エイルがそう言うと、空を見上げた、今度は空から武装ヘリが飛んできた。


「冗談でしょう⁉︎」

「逃がしてはくれないみたいですね…!」


 二人が焦りを見せる中、ヘリからロケット砲が次々と撃たれる。エイルは左右に避ける事でその攻撃を回避するが。近くに着弾したロケット弾の爆風が前足のローラーダッシュに当たり、壊れてしまった。


「やられた…!」


 速度が僅かに落ち、回避能力が低下する…敵はそれを見逃さず、ロケット砲とチェーンガンを撃ち込んできた。

 エイルはローラーダッシュの壊れた前足を突き出して盾で防ぐが、直撃したロケット弾の威力に体はのけぞり、攻撃を防いだ片方の盾が吹き飛ばされてしまった。


「トンネルに入ります!」

「っ!」


 ここで運良くトンネルに入り、二人は一時の休息を得られる。だがトンネルを出ればヘリが待っている。

 このまま出れば狙い撃ちにされるだろう。


「あの、私に考えがあります!」

「何でしょうか…?」


 安全なトンネル内で、エイルは神癒奈の提案を聞く。少ししたら、彼女の提案に賛成したのか、頷いた。

 そして、場所はトンネルの出口に移る。トンネルの出口には当然ヘリが待ち構えていた。

 その出口に、神癒奈達がやってくる。ヘリは全兵装を展開し、ロケット砲やミサイル、チェーンガンを全て彼女達に向けて撃ち込んできた。


「ふっ!」


 次の瞬間、ロケットなどが着弾する直前、エイルは腹部のブースターを点火し、空中に飛び上がったうまくロケット砲などの爆風をそれで避け、さらにエイルは糸をヘリに括り付け、そのまま引っ張ってヘリに張り付いた。


「しつこいから、墜ちてください…!」


 コックピットに向けて触肢に取り付けられたパイルバンカーを押しつけると、点火させ、コックピットを貫いた。中にいたパイロットは死に、エイルは素早く幹線道路に飛び降りると、ヘリはそのまま墜ちていった。


「やりました!」

「ふふっ…いい作戦でした…!」


 これで追跡者は全て倒し、彼女達は一直線に警察署へと向かう。

 幹線道路を降りて、市街地の道を走る二人、その先では、警官達が何重にもバリケードを敷いて二人を待ち構えていた。その奥に、警察署があった。


「しっかり捕まっていてください!」


 そう言うとエイルは神癒奈を掴み、朝から糸を出して飛び上がった。二度目のブースター点火で加速し、バリケードを上からすり抜ける、そして糸をしまうと、ブースターの勢いのまま突っ込み、警察署の中に突入した。

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